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2章 37話 「理論上可能なら腕力で実現可能?って話」

誠に申し訳ありません、次回10月30日の更新をお休みさせて戴きます。また来週から再開です。


どうもこんにちは、キアーラ・カサッツァです。

現実は小説よりも奇なりという言葉があります。

誰かの空想妄想がいっぱい詰め込まれた物語よりも、現実に起こる方が奇妙奇天烈だったりするという意味です。

これは自分が想像できない、予想外のことが起こったりするからの言葉なんですが、それがどんなに奇天烈に思えても、起こって仕舞えば現実ってことです。



「ごぇっぶ!」


ドゴン! という音ともに、情けないヒョロ眼鏡の呻き声が上がる。

まるでカエルの潰れたようなとはこの事だ。

まぁ、王虎がオモくそ振りかぶってぶん投げた隊員を食らって、呻き声が上げられるだけ上出来だ。

直接ぶつかっていれば、悲鳴も上げれず昏倒する羽目になっていただろうからな。

事実、身を挺してヒョロ眼鏡を守った隊員二人はヒョロ眼鏡に折り重なったままピクリともしない。

これで……残り七人。


入口の五人は自分の本分を忘れず、ヒョロ眼鏡を庇うように立ち塞がる。

一瞬見失ったことで外れていた照準も、バッチリ王虎にロックオン。

流石に五人同時に一斉掃射されれば部が悪いが、救いの一声は他ならぬヒョロ眼鏡から上がる。


「ぎゃァアア! お前ら何をやってる! 早くどかさねぇか! 西に左遷するぞ! 重いぃいいいいい」


有難いことに、ギャンギャンと吠えてわざわざ隊員たちの注意を逸らしてくれる。

目の前に王虎()がいるのになぁ。

だが、それが分かっていても隊員たちはそちらを向かざるを得ない。

力が全てのこの世界で上司(強者)には逆らえない。左遷は怖いもんな?


この部隊の連中は恐らく獣人。しかもその中でも生え抜きの奴らのはずだ。

王虎の人間砲台を咄嗟に庇えたと言う事がその証左だ。

つまり反射神経が人間のそれではないと言うこと。獣人の中でも優れていると言う事。

だがその実力も首魁が馬鹿では十二分に発揮できない。


「オラァ!」


だからその一瞬の隙に王虎の第二撃を許してしまう。


今度は両手に隊員を持って薙ぎ払うようぶん投げる王虎。

モーション的にはソニック○―ム。

その横なぎの範囲攻撃は入り口にいる残りの隊員を巻き込んで___


「クピッ?!」


何っ?! 突然首が絞まったかと思ったら天井が見えて?!

グゥえっ! いつの間にか王虎に襟首の後ろつかまれてる!

ちょっ! 死ぬ! 首絞まって死ぬ!


横に目をやると人間手裏剣を食らった隊員がまたもヒョロ眼鏡の上に重なってるのが見える。

そして俺は子供に引っ張られる凧みたいに地面と水平に浮いてる!

だが王虎よ、窓にはまだ二人隊員がっ! あ、そっちに向けてもう片方の手に持っている隊員を王虎が投げた。


「飛ぶぞ!」


王虎が既に飛びながら言ってくる。

既に飛んでるじゃん! この勢いで飛ぶの?!

地面に衝突して死ぬか首絞まって死ぬかの二択じゃん?!


俺が焦ってなすがままになっていると、窓から飛び出る瞬間にパンパンと乾いた音が聞こえてきた。

音のした方を向くと、倒れたままでこちらに銃を構えている隊員の一人が目に映った。

そしてまた頭上から音が聞こえてくる。もう覚えた、これは誰かを蹴る音。

その音の後すぐに落下する時の独特の浮遊感が俺を襲う。


「ファッ〜?!」


やばいっ、この勢いだとマジで絞殺刑と同じ末路にっ___

と走馬灯がいくつか脳裏に浮かんだところで浮遊感は終わりを告げる。

そしてドズンという音とゴキゴキっという音と軽い衝撃がきた。


「ゴブっ……」


また何かが踏み潰されたような声が聞こえた?

あと、目の前には王虎の顔。

その向こうに空も見える。……青いなぁ。


「何情けない声出してんだよ」


「……情けない声なんて出してませんけど? FU○Kって言っただけなんですけど?」


ニヤけた顔をした王虎に反論しながら、地面に降りる。

男にお姫様抱っこされるとか屈辱っ!

しかもいつの間にか窓にかかっていたカーテンで包まれてたし。

助け出されたお姫様かよ!

既にトントンさんで経験(プレイ)済みじゃなかったら憤死していたところだぜ。


あ、隊員二人が王虎にふみつぶされてる。さっきのは隊員の呻き声か。

ドロップキックで一緒に突き落としたのかな?

しかし隊員クッションがあるにしたって、全く着地の衝撃を感じなかった。

膝の屈伸で衝撃吸収でもしたの?

アブソーバーかなんかが足に入ってんの?


疑問に思った俺が王虎の足を見やると、そこに血の跡。


「お前、また撃たれてんじゃん!」


「こんなのかすり傷だぜ」


王虎の言う通り、直撃ではなく掠めた跡が。普通なら程度なんだろうが……。


「いやいやいや! 声震えてんじゃん!」


ビブラート効きまくってるよ!

ちっ、さっき窓から飛び降りる時に撃たれたやつか。 ってことはデバフ特攻付きの特効弾じゃん!


「なんとか致命傷で済んだぜ」


ドヤ顔でサムズアップしてくる王虎だが、その毛に覆われた顔の下は真っ青になっているに違いない。


「いや! 死ぬじゃん! 効いてんじゃん! 特効弾マジで効いてんじゃん!」


「特効弾か。言い得て妙だな……」


王虎は茶化してくるが、軽口を叩けるくらいだから、さっきほどではないにしろ

実際はきついんだろう。少しふらついている。

このガタイの人間に即効性となるとよっぽどだな。

麻酔銃のようには見えなかったけど、ファンタジー技術か?

しかし、分析している暇はない。すぐにでもスワット(仮)隊員が追ってくるだろう。


「強がる暇があったら、すぐにでもずらかるぞ。車まで走れるか?」


俺の身長では肩を貸すこともできないから自分で走ってもらうしかない。

いや……待てよ、車を止めた場所は建物を挟んで反対側だ。俺だと身長のせいで運転できないから、このまま走っての逃走もありか?


「いや、走るのもキツいし、歩いて逃げるのも難しそうだ」


そう言いながら王虎は肩をすくめる。

どう言う意味だと問いかけようとして、俺は周りを見渡す。


最悪だ___


「まぁ、外にも待機させとくわな。普通」


いつの間にか上にいた隊員たちと同じ装備のスワット(仮)に包囲されている。

その数ざっと数十人。逃げ道は背後の建物の中だけ。


「万事休すかよ……」


俺がそうこぼすと、王虎がゆっくりと息を吐きながら目を細める。

そして前傾姿勢になり手に持ったカーテンで隠しながら虎の爪を生やす。


前に見た王虎の本気(ガチ)だ……。


前回はフレアさんとの口論の末と言う情けない状態での本気モードだったが、この場では頼もしく思える。

そして王虎の足元で倒れている仲間を見て、隊員たちからの圧力も増す。

明確に敵と認定されたようだ。

お互いに口上を述べるわけでもなく、無言のままジリジリとしたヒリついた時間が過ぎて行く。

その悠久にも思える静寂の時間を破ったのは王虎だった。


「しこたま弾を食らってへし折れたアバラはまだ完全につながってねぇ」


突然負傷していることを語り出す王虎。


「ポーションを飲んだらしいが、まだまだ血が足りねぇのか、頭がくらくらする」


そう言いながらも、先ほどまでふらついていた王虎は、地に根が生えたかの様に小揺ぎもしない。


「俺とあんたらの距離は十数メートル。当然あんたらの銃の方が有利だ」


ともすれば敗北宣言に聞こえるそれに、隊員たちがわずかに体を揺らす。


「おまけに傍には戦力にもなりゃしねぇお荷物がいる」


……誰がお荷物だ。

しかし、側から見れば幼女の俺を見て隊員たちの揺れが大きくなる。

一応この国では子供を直接殺すと天罰が降るってことになっているからな。

誰も信じちゃいないが、少なからず抵抗はあるんだろう。

動揺する隊員たちをリーダーらしき隊員が一喝する。


「動揺するな!」


王虎の真正面で先ほどから全く動揺することなく、銃の先を揺らすこともないまま相対していた人物が続ける。


「命乞いでもするつもりか? 傷だらけで戦えないから、子供が近くにいるから、助けてほしいと?」


確かに命乞いのようにも聞こえたかもしれない。

だがしかし王虎は獰猛な笑みを浮かべ答える。


「いいや、今の俺はクソつえぇってことさ」


爆発するような音ともに地面を蹴り巻き上げながら、一瞬で彼我との距離を詰める王虎。

その衝撃で情けなくも俺は地面を転がってしまう。

慌てて地面に臥したまま前を向けば、今回は流石に距離があるため、まだ半分ほどしか近づけていない。そしてそれは相手にとって十分な距離だ。


「撃て!」


リーダーの号令と共にばっと広がる赤い色と轟音。

そしてバスバスっという連続した音と共に、赤い色が消えて……?


「はぁ?」


今度こそ俺の口から漏れた声だ。

あまりの光景に漏れた声。


___広がった赤はカーテンの赤。


___バスバスという音は弾丸がそれに絡め取られる音?


「赤けりゃ3倍、当たらなければどうということもない……だったか?」


皆が唖然とする中、王虎のその声だけが異様によく聞こえた。


そして王虎の手が……届く。

お読みいただき誠にありがとうございます!


ワクチンは明日でしたw

こえぇー副反応こえぇー!

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