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終話


「うわあああああああああああああああ」


 悲鳴や絶叫が響き渡る。

 パンッとラズベル陛下の頬を叩く。


「うおぇっ、ゲボゲボゲボ」


 正気に戻ったはいいけど、ショックが強かったようで盛大に床に吐いてる。


『洗浄』


 すぐに洗浄する。


「ラズベル陛下、お水飲みます?」

「ここは…お前は…そうだ。今まで俺はローズマリーだった。あの体験は…」


 ラズベル陛下は、私の手からひったくる様に水をとるとあっという間に飲み干してしまった。


「それは陛下が一番わかる筈ですわ」

「あれは紛れもない現実だった…」

「そう、どれも全部私が体験した事。仕返しなんて生易しい事じゃないんです」

「うっぐぁっ!」

「それは私が1度目に飲まされた毒ですの。とっても苦しいでしょう?」

「なっ!うぼぉゲボゲボ、ああああああ!」

「だって、貴方が黒幕なんだものラズベル陛下」


 私と兄は、床に転がり藻掻き苦しむ陛下を感情の籠もらない目を見つめた。


「本当は陛下から理由でも聞こうかなんて思っていたんですけど。どうでも良くなりましたの」


 しゃがみ込むと、転げのたうち回るラズベル陛下と視線を合わせる。


「だって陛下は、ただやってみたかったんですものね?お兄さま映像を流して」


 兄は頷くと母がジェームズ前陛下になぶられている映像を会場の壁全てに流す。

 あちこちで息を呑み、啜り泣きや、怒りの声が上がる。


「ほら、ここ。わかります?鏡に映ったのが誰か」

「ラズベル陛下貴方です」

「ラズベルあなた…」

「父上…なんて酷い」

「ち、違うんだ…カテリーナ…ユーレン」


 皆拘束されて動けない。

 あら、ステンシル侯爵が怒りに震えてますわね。


「ラズベルお前!お前だったのか!長男を産み身体が弱くなり3年も伏せっていたマリアナが失踪し、1ヶ月の後ボロボロにされたマリアナが屋敷に捨置かれていた!」


 兄は父であるステンシル侯爵だけを動けるようにした。なんて優しい。


『解除』


 動けない衛兵から腰に下げた刀を奪うと、陛下に何度も何度も突き立てる。


 その悲鳴は誰のものか。


「そうそう、その失踪事件。少し調べましたらテレーゼお義母様とジリー・ラベル元伯爵夫人が手引きしたとか。あの日突然やって来たのですよね。お二人は。命が助かったメイドが証言しましたの」

「…テレーゼお前」

「イヤア!やめて!私は悪くないわ!へ、陛下が!陛下が」

「黙れ…」

「あの女がいなければ、貴方は私の物になると!だから!」

「黙れええええ!」


 陛下を滅多刺しした刀は刃こぼれをおこし、斬りにくかったのだろう2本目を掴むと頭から切り裂いていた。

 あら、側に居たリリアナに返り血が掛かってますわよ、ステンシル侯爵。

 悲鳴、鳴き声、怒号、リリアナは気が触れたのか笑いだしている。


 いつの間にかお兄さまに後ろから抱きしめられていた。


「ねぇ、お兄さまなんであんなに目の敵にされていたのでしょう」

「それは母上にそっくりだったからだろう」

「お兄さまの宿願と私のやりたい事、一緒で良かった」

「あぁ、本当に」


 あ、そう言えば。


「お兄さま、この人達どうします?」

「ローズマリー知っていたかい?1人殺せば殺人者、百万人殺せば英雄なんだって」

「まぁ!素敵」


 にっこりと微笑むと挨拶をする。


「では、さようなら皆さん!」











「ねぇお兄さま」

「どうした?ローズマリー」

「いぇ、リリアナがいないわ」

「まぁ逃げても問題はないさ」

「そうですわね」


 右手は兄と繫ぎ、左手にはユーレン殿下の首を髪を掴み引き摺る。城は血の海となり、城下街は兄の子飼い達がすでに火の海にしている。


 夜にバルコニーからみる景色は燃え盛り紅蓮の炎が美しい。

 

 ユーレン殿下とアルバート殿下を侮っていた訳ではないが、刺し違えた兄の身体からは血が流れ命の火が消えかけている。流石王族、流れる魔導の血の濃さよ。


「また繰り返すのか?」

「どうでしょう」

「そうか…」


 兄の手から力が抜ける。


「お兄さま?…先に逝かれたのですね」


 私と殺し合った、アルバート殿下が死にものぐるいで放った一撃で私の身体は壊れた。アルバート殿下もピクリとも動かない。


 私は崩れ落ち、私の世界はもう震えなかった。




 

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