第14話 2度目のデートをする。
俺は、ダリアと一緒に家に帰る。
彼女の目は、酷い事があったにも関わらず、凛々しい表情をしていた。
どうやら自力で女子達に怒りをぶつけられた事によって、ある種の満足感を感じていたようだ。
「ダリア、殴られた割には元気だな。
それに、酷い事をされそうになっていたんだぞ。
大丈夫なのか?」
「うーん、思い返すと怖いけど、もう平気みたい。
泣いたらスッキリしちゃった。
それよりも、自分の言いたい事が言えて満足かな……」
「お前、意外と精神的に強いよな……。
なら、顔の腫れが引いたらデートしないか?
食事と買い物くらいだけど、どうだろう?」
「うふふ、行きたい!」
「じゃあ、今度の土曜日にデートだな!
ちゃんとおめかしして来てくれよ!」
「分かってるよ」
こうして、俺とダリアはデートを取り付け、土曜日にデートする事になった。
彼女の顔の痣も消え、数日後には綺麗さっぱり怪我が治っていた。
彼女をイジメていた連中も本当に大人しくなり、イジメをやめていた。
「もうすっかり平和だな。
ダリアの親父さんも反省していたし、数年後には元気に出所してくるだろう。
それまで、アキラの家でご厄介になるのか?」
杉田も羽田もいつも通りに戻っていた。
この前までのイジメが嘘だったようにさえ思える。
クラスの女子とも、ダリアは馴染み始めていた。
「ああ、一応、親から養育費も貰っている。
俺の彼女として一緒に同居しているよ。
今度の土曜日にデートもする約束だしな……」
「そっか、あいつを幸せにしてやってくれよ!」
「杉田が親代わりでもないだろうが……」
「そうだけど、友達代表かな?」
もうすっかり彼女の周りにも、俺の周りにも幸せな空間が溢れていた。
俺も、いつの間にか、彼女達につられて笑うようになっていた。
ダリアは、俺の笑顔を喜んで見守る。
「最近、良く笑うようになったね……」
「お前も良く笑うように戻ってるよ。
他の奴からしたら、分からないんだろうけどな」
俺がダリアに指摘した通り、彼女は一時期笑いがぎこちなくなっていた。
イジメが起こった時がピークであり、微笑さえも消え失せていた。
その彼女に、天使のような笑みが戻ったのだ。
おそらく、これこそが彼女の本当の笑顔なのだろう。
俺と彼女が会う度に、照れくさい感じになる。
幸せなんだけど、お互いに素直になれない状態だ。
目が合うと、笑い合って手を振っていた。
この頃には、俺は完全にダリアを好きになっており、彼女も俺を好きでいるようだ。
キスこそしていないが、時間の問題のように思う。
「なんか、毎日会ってるはずなのに、もっと会いたくなっちゃうよ。
会っていない時間が長く感じて、会ってる時間が凄く早く感じる!」
「俺も一緒だ。
お前がいないかどうか、ずっと目で追ってしまうよ。
こんな気持ち、生まれて初めて感じた。
放課後になるのが待ち遠しくて、不安になる」
「私も、こんな感情初めて……」
杉田や羽田がいる前ではしないが、2人だけの時はラブラブな感じだった。
俺の生活の一部に、ダリアがいるのが当たり前という状況になっていた。
いないと不安で、辺りを探してしまうほどだ。
(ダリア、好きだ。
一生お前のそばにいたいと思うくらい好きだ!
それを、今度のデートで告白しよう。
誰にも、どんな男にもお前を渡したくない!)
ダリアの近くにいる時にも、同じ事を考えている時はある。
知らない振りをしているが、彼女も分かっているようだ。
顔を合わせないようにして、顔を赤くしている時が度々あった。
そうした数日が過ぎ、ついに土曜日のデートになる。
俺の立てたデートプランはこうだ。
まず、ダリアとどこかへ遊びに行き、食事の時にプロポーズをする。
実は、養父と養母が指輪を用意していた。
当初は、俺も気が早過ぎると思っていたが、彼らの年齢からしたら孫を見たい気持ちもあるのだろう。
俺は、そのちょっと高い指輪を持って、彼女とのデートに臨む。
彼女を喜ばせるのが第一の目的だった。
俺は、ちょっと高めの服を買い、オシャレをしていた。
黒いシャツに、赤いチャックのカーディガン、紺のジーパンを履く。
店で売っているマネキンの服を、そのまま買っただけの格好だ。
だが、その組み合わせは格好良く、俺のお気に入りとなっていた。
「お待たせ、ちょっと遅れちゃったかな?」
俺がダリアの声がして、その方向を見ると、可愛い格好をした彼女が息を弾ませて立っていた。
白いハーフコートに、黒いチェックのスカートを履いていた。
「いや、全然遅れていないよ。
可愛くて、思わず見とれちゃった。
じゃあ、行こうか?」
「うん、行こう。
ほら、宋史君に貰った青色のネックレスだよ!
デートに合わせて付けて来た」
「おお、上着は白いシャツなんだ。
ネックレスと合っているね!
可愛い♡」
「ありがとう、凄い照れる……」
彼女はそう言って顔を赤らめていた。
俺は思わず頰に触れてしまう。
彼女は、目を瞑ってキスする体勢になっていた。
「うおおお、ごめん。
それはまだ早いよ!
まだデートに出発したばっかりだから……」
「そっか……。
キスしたくて、思わず……。
街中でキスしちゃうのが分かるね」
俺は、今日中に彼女とキスしようと考えていた。
どこか、夜景の綺麗な場所へ行って、ムードを高めようと……。
東京スカイツリーが見えるスポットを調査していたので、そこへ行こうと考えていた。
改めてキスしようと考えると、緊張して2人とも体がこわばってしまう。
手を握る事さえもできていない。
「ああ、キスは考えないでおこう。
雰囲気が良ければして……。
機会が無かったらやめておこう」
「うん、なんかごめんなさい。
ちょっとがっついちゃって……」
俺とダリアは、手を繋いで歩き始めた。
目的のレストランに向かってゆっくりと歩き出す。
まずは、高級イタリアレストランを予約していた。




