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神々の世界で学園生活~ライセンスゼロの私が世界最強!?~  作者: 牛
8章 その物語は、突然に
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秋の繁華街祭再び

「今年はどないするかなぁ」

「何の話?」



ヒルコちゃんと夕飯の日本風定食をパクつきそんな話をする私。



「秋の繁華街祭やねん」

「そっかー……もうそんな時期だっけ」



カノと知り合ったのもちょうどその時だったっけ。

なんか、その時は凄い勢いで怒鳴り込んできたから何事かと思ったけど。

付き合ってみると、普段はクールで大人っぽい子なんだよね。

そして今は絶賛ヒルコちゃんといちゃいちゃラブラブ中。

世の中ってどう転がるか分からないって典型だよ。



「今年も伏見屋(ふしみや)と最下位争いするの?」

「んー……なんかうちらがこないな関係になってもうて、そういうのどうでもようなったっていうか」

「そうなんだ」

「まぁ親父達はそれでも何だか対抗心燃やしてるみたいやけどな」

「そりゃ長年争ってりゃそう簡単に割り切れないよねぇ……」



そんな話をしていると、私服姿のカノがヒルコちゃんのとこにやってきて。



「ヒルコ!今年の繁華街祭は勝たせてもらうわよ!!」



と高らかに宣言するのであった。

ああ……そういえば、カノって勝負事にはむきになる性格なの忘れてた。

そういうとこは恋人同士になっても変わらないんだなぁ……。



「あと今年はアカリと桜花(おうか)は私のとこに借りてくわよ!」

「まぁ別にええけど。あの二人なら」

「ついでに陽花(ひはな)、あなたもこっちに来なさいな」

「え゛。何で私まで」

「でないとアカリがあることない事、吹聴して回るわよ」

「それはやめて。本気で」



ただですら学園内で『狂気の爆発娘』とか呼ばれてるのに。

最近街中でもたまにそういう風に言われてるの聞くんだからね。

それに加えて更に変な噂を立てられたらたまったもんじゃない。



「じゃあ決まりね」

「でも私なんて何の役にも立たないよ、カノ」

「良いの良いの。レジ係でも欲しい位だし。ヒルコのとこはサクヤにテラスちゃんに月依(つくよ)がいるんだしバランス的には丁度いいんじゃないかしら」



テラスちゃんがいるって時点で、生田亭(いくたてい)の勝ちが見えてる気がするんだけど、あえてそれは言わないでおこう。

うーん……しかしテラスちゃんの売り子姿をみれないのはちょっと口惜しい。



「むー……でもなー……」



私が渋っていると、カノはここぞとばかりにタブレットを取り出し私に見せる。



「手伝ってくれたらこの私の秘蔵のテラスちゃん写真集をあげるわよ」

「まじで!」

「まじまじ。だから今回は伏見屋(ふしみや)をよろしくね、陽花(ひはな)

「うんうん。精一杯やらせてもらうよ、カノ!」



そう言って私はカノの両手を握り固い握手を交わす。



陽花(ひはな)はんの裏切り者ーーー……」



そんな私をジト目で見るヒルコちゃんの冷たい視線はとりあえずスルーすることにした。

だって、テラスちゃんの秘蔵の写真集とか、興味あるじゃん。

しかもあのカノが撮りためてたっていうのも驚きだけど。

なので私はここは欲望に忠実に従っておくことにするのだった。

ごめんね、ヒルコちゃん。


―――


繁華街祭の当日。

私は夏の即売会でカノ達が着ていた和風メイド服を着てレジに立っていた。

ううう……この和風メイド服ってスカート短いし、上は和服だからなんか落ち着かないいいい。

まだ全部和服の方が気が楽って言うかなんて言うか。

よくこんなの着て平気な顔してられるなぁ、皆は。

駄目だ駄目だ。

テラスちゃんの秘蔵写真集の為に私は頑張らなければ。

そう思い気分を切り替えることにする。



「いらっしゃいませー。ちょっとそこのお兄さん、寄って行かないー?」

「いらっしゃい、いらっしゃいー、安くしとくよー」



店の外では底抜けに明るい阿呆コンビの声が響いている。

ていうか。

なんか客寄せ&路地販売の声がイケナイ店の客寄せぽく聞こえちゃうのは気のせいかな……!

これはちょっとカノに言っといた方が良いかもしれない。



「ねぇ……カノ、ちょっと」

「ええ、あなたの言いたいことはよーく分かるわ。ちょっと外行ってくるから店内お願いね」



私が声をかけるまでもなく客引きの声が聞こえていたのか、こめかみに怒りマークを浮かべながらカノは私にそう告げる。



「え゛。お願いねって言われても……」

「分かんないことがあったらミヤビに聞きなさい。欲しいんでしょテラスちゃんの秘蔵写真集」

「ううう……。わかりましたよ、やりますよ。やらせていただきます」



渋々と私はレジを離れカノの代わりに店内の注文取りをすることにする。

うー……営業スマイル苦手だよー……。

あー……しんどいよー……。

そう思いながらも精一杯の笑顔を作り接客に勤しむ私だった。



「……陽花(ひはな)お姉様、もう少し頑張ればピークも過ぎるから頑張って」



大人しいながらも、とっても可愛らしい笑顔を浮かべるミヤビちゃんに励まされながら。

あーーー……ミヤビちゃんも可愛いなぁ……。

ついでにミヤビちゃんの秘蔵写真集もおまけに付けてもらっちゃおう。

うん、そうしよう。


―――


結局。

今回の結果も伏見屋(ふしみや)生田亭(いくたてい)に完敗だった。

まぁテラスちゃんと、かわいいとはいえあの阿呆阿呆コンビじゃ比べようがないしね……。



「まぁ勝負は負けたけど約束は約束だし」



そう言って私にテラスちゃんの秘蔵写真集を手渡してくれた。

因みにミヤビちゃんの秘蔵写真集を頼んでみたけど、



「そんなものあなたに渡せるわけないでしょう」



と冷たくあしらわれてしまった。


良いんだ。

このテラスちゃんの秘蔵写真集をいただけたから満足満足。

秘蔵写真集の中身を確認した所。

生徒会室での無防備なテラスちゃんの笑顔や、桜花(おうか)に頬ずりされて嫌がってる姿等。

なかなか絶妙なカットが何枚もあった。

うん。

ごちそうさまでした。

私はとっても満足です。

労働の対価はやっぱり『萌え』だね。

そう思うのは私がどこまでもオタク思考だからなんだろうなぁ……。

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