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神々の世界で学園生活~ライセンスゼロの私が世界最強!?~  作者: 牛
1章 異世界生活は、突然に。
6/121

しょっぴんぐに行こう

その日は始業式をして、ホームルームを行なった後は、

特に授業も無く放課後の時間になった。

つまり、今日はこれから自由時間。フリータイムだ。

社会人なのにこんなお気楽なことで良いんだろうかと、

普通に社会人をしている方々に対してちょっと申し訳なくなってくる。



「なぁなぁ陽花(ひはな)はん」



今日配られた授業の時間割のプリントやらを鞄に片付けていると、

隣の席のヒルコちゃんに声をかけられた。



「何、ヒルコちゃん?」

「今日はこれから何ぞ用でもあるん?」

「うん?特には何もないよ?」

「なんなら、皆で一緒にショッピングにでも行かへん?」



そう言って身を乗り出してくるヒルコちゃん。



「皆って?」

「そりゃ、ウチと、陽花(ひはな)はん、月依(つくよ)にサクヤはんに決まっとるやろ」

「ちょっと、ヒルコ、勝手に私達を数に入れないでよ」



反対側から月依(つくよ)が抗議の声をあげる。



「行かへんのやったら、別にそれでもええよ。ウチと陽花(ひはな)はんでー、らぶらぶでーとしてくるさかい」



ニヒヒと笑ってそう言うヒルコちゃん。

えっと……らぶらぶでーと……?

私の頭の中に薄い本の妄想がふらふらーっと舞い降りてくる。

違う違う。そうじゃなくて。

ヒルコちゃんにそんな他意はないハズ……たぶん。



「ちょ、らぶらぶでーとって!」



私が固まってる横で、何故か顔を真っ赤にして更に声を高くする月依(つくよ)

そんな月依(つくよ)の声に、教室に残っていたクラスメート達が何事かと私達に視線を集中させる。



「あはははは……何でもないから……」



そう言って、月依(つくよ)は手を横に振り振り空笑いする。



「ニヒヒヒ。月依(つくよ)がこないに取り乱すなんてめっちゃ珍しいことやねぇ」

「もう……。ヒルコの意地悪」



一息ついて落ち着いたのか月依(つくよ)は小声で毒づく。



「そいで。一緒に行くの?行かへんの?」

「行くに決まってるでしょ。もう」



ぷくっと頬を膨らませて月依(つくよ)は答える。



(わたくし)もお供させていただきますよ、もちろん」



ヒルコちゃんと月依(つくよ)のやり取りをニコニコした顔で見ていたサクヤちゃんもそう答える。



「ほなら行こか。何処回るかは歩きながら考えるっちゅうことで」



というわけで、私達四人は学園近くのショッピングモールに行くことになったのだった。



とりあえずお昼を学園のカフェで取ってからという話になったので、私達四人は学園のカフェにいた。

名前はカフェ神楽耶(かぐや)

スタッフの人は皆、何故かメイド服にうさ耳を付けている。

男性のスタッフも何人かいたけどモーニングコートにやっぱりうさ耳。

なんだか変なカフェだなぁ……。

でもまぁ神楽耶(かぐや)姫は月のお姫様っていうし、

月といえば兎さんだから名前通りと言えば名前通りなのかな。

うん。深く考えないようにしよう。

ここは異世界なんだから。


そんなわけで私達四人は神楽耶(かぐや)で食事をとっていたのだけれど。

女三人寄れば姦しいとはよくいったもので。

私達の場合はヒルコちゃんが月依(つくよ)をいぢっては、

月依(つくよ)がプリプリ怒って、そんな月依(つくよ)をサクヤちゃんがなだめるの繰り返し。

このあとどこに行くのかいっこうに話が進まない。

と言うか、そんな話題、綺麗さっぱり忘れられている。

まぁいいんだけどね。

そんな様子を見てるだけで結構楽しいし。

私は昼食のパンを口に運びながら、三人の事をのほほんと眺める。

三人寄れば文殊の知恵って言うけど、絶対アレ嘘だよね……。

三本の矢も力を込めれば結構簡単に折れちゃうっていうし。

私は心の中で強くそう確信するのであった。


三人が何度目かのそんなやり取りを繰り返して小一時間程たった頃、



「おや、そこに居るお嬢さんは月依(つくよ)ちゃんじゃないか」



今時、聞かないような歯が浮くような言葉が聞こえてきた。

そして、その人物は私の隣にやって来て私の肩に片手を置き、

もう片方の手で長い緑色の髪をかきあげると、



「この人が噂の月依(つくよ)ちゃんのお姉さん?月依(つくよ)ちゃんと違って地味だけれど、それはそれでグッとくるよね」



そんなことをのたまった。

な、なんだろう、この馴れ馴れしい人。

私的にかなり苦手なタイプの人だ。



「お兄様……?ちょっとこちらへ……」



え?お、おにいさま?

そう言ってサクヤちゃんがユラリと席を立つと、お兄様と呼んだその馴れ馴れしい人の片耳を掴み、

ズリズリと音を立てて引っ張っていく。



「痛い!痛いぞ、我が妹よ!!」



うわー……いつも物静かなサクヤちゃんの背中から負のオーラが見える。

なんだか怖い。ものすごく、怖い。



「サクヤはんも大変やなぁ、あんな女ったらしの兄貴持って」



その様子を眺めながら、他人ごとのように呟くヒルコちゃん。

実際他人事なんだろうけど。



「私はもう慣れたよ、あの人の事」



呆れ顔でため息をつきながら言う月依(つくよ)



「全然似てないんだね、サクヤちゃんとお兄さん」



私がそう言うと、



「何いうてん。あんたら二人も全然似てへんやないか」



と思いっきり笑われてしまった。

そうでした。似てませんでしたよね、私達二人も。

サクヤちゃんが戻ってきたのはそれから三十分程経ってからのことだった。

そしてサクヤちゃんが戻ってきてからも、

結局その日はショッピングモールに行くこともなく。

延々とカフェで女三人寄れば姦しいを続けていた。

仲良いなぁ、三人とも。

そんな三人の関係を、少し羨ましく思う私だった。

自分は関西人ではないので、関西弁にはあまりあかるくありません。

なのでヒルコの関西弁はえせ関西弁です。

まぁ異世界語が曖昧翻訳されているということで……。

とはいうものの、大阪弁のラジオ聞いたり、ネットで調べたりしながら

できるだけ関西弁ぽくはしているつもりですので生暖かくお見守りくださいませ。

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追記

漢数字に変更しました。

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