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神々の世界で学園生活~ライセンスゼロの私が世界最強!?~  作者: 牛
1章 異世界生活は、突然に。
3/121

るーむめいと


翌日。

私は生活必需品と当面の着衣をまとめた荷物と少しの薄い本を手に、那直(ななお)兄さんに案内されて天御中(アメノミナカ)学園の学園寮の入り口に居た。

頭にはタカマガハラ語理解用のヘッドセット、文字解読用のメガネの完全装備だ。



「ここが、学園寮、ですか」



天御中(アメノミナカ)学園の学園寮を見上げながらそう呟く。

タカマガハラ課の入っていたビルも大きかったけど、

この学園寮もそれに負けず劣らず馬鹿でかい。



「何人ぐらい暮らしてるんですか?」

「んー……ざっと千人はくだらないんじゃないかな」

「ほえー……」

「と、そろそろ僕は会社に戻る時間だから、戻るよ」

「え!?」

「もうちょっとしたらルームメイトが迎えに来てくれるから、彼女に案内してもらって」

「ええええ……」



そんなー……。

こんな異世界で一人ぼっちにしないでよ、那直兄さん。



「心配しなくても大丈夫だよ。これからずっと一緒に暮らす同じクラスのルームメイトだし、仲良く水入らずで過ごすと良いよ」



つもる話もあるだろうしね、と付け加える那直兄さん。



「ほえ???」



どういうことだろう?

私の疑問の声に応えることなく那直兄さんは乗ってきた宙を浮く車に乗り込み、タカマガハラ課のあるビルの方へと車を走らせて行った。


―――


しばらくして。



「久しぶり、お姉ちゃん!」



ふいに背後から声を掛けられ思いっきり抱きつかれる。



「え?」



そこには私の妹、霧島(きりしま)月依(つくよ)の姿がそこにあった。

なんで月依(つくよ)がここにいるの?

月依(つくよ)は都内の進学校で寮生活してたんじゃ。

訳が分からない。

と言うか、ちょっと会わない間にますます可愛くなったなぁ、この妹は。

ロングの髪を適度に結って、フレアチュニックにジーパン姿。

なんだかすごいオシャレさんだ。

胸も私と違って目立ちすぎず、かと言って全くないわけでもない。

地味を地で行く私は大違いだなぁ。

今の私は頭にヘッドセット付けてメガネまでつけてるし。

ハッキリ言って今の私、ダサダサだと思う。



月依(つくよ)、都内の進学校で寮生活してたんじゃないの?」

「うん。そうだったんだけど。なんかね、半年くらい前に那直(ななお)お兄ちゃんから誘われてね。私にはなんかカムイとかなんとかいうのを身につける才能みたいなのがあるみたいなんだ。普通に都内の学校で勉強するのも楽しかったけど、なんか面白そうじゃない?異世界で勉強するっていうのも。だからこの世界に来たんだ~」



なるほど……。

そういうことか。だから『私』なのか。

今の妹の言葉で全てが合点がいった。

月依(つくよ)にはカムイをみにつける才能がある。

だから、その姉の私にも、もしかしたらその才能があるかもしれない。

そういう淡い期待もあってタカマガハラ課に採用されたのだろう。


でもたぶん私にはカムイをみにつける才能なんて微塵もない。

だって、私は妹とは違うから。私はどこにでもいる平凡なOL一年生だ。学校の成績だって中の下だった。

それに比べて月依(つくよ)は誰の目から見ても容姿端麗、才色兼備を絵に描いたような妹だ。

私とは全然違うんだよなー。

月依(つくよ)那直(ななお)兄さんがスカウトするくらいなんだから、きっとカムイを身に着ける才能も存分にあるんだろう。



「カムイの勉強は二年生からだから楽しみなんだよね」



本当に楽しそうな表情で話す妹。

そっかぁ……私、妹と同じ学園に通うことになるのかぁ……。

はぁ……。

なんだか気が滅入る話だなぁ。

就職したかと思ったら学園生活に逆戻り。

そして妹と同級生なんてどんなラノベ?って感じだよぉ……。

やだなぁ……学園登校前から登校したくなくなってきた。

でもこれは会社の仕事だからちゃんとやらなきゃいけないし。

うー……。



「どうしたの?お姉ちゃん」

「いや、なんだかちょっと気分がナーバスになってるだけ……」

「大丈夫大丈夫。お姉ちゃんならなんとかなるよ」



だって私の自慢のお姉ちゃんだものと月依(つくよ)は付け加える。

……私はそんな御大層な姉じゃないんだけどなぁ。

はぁ……なんでこの妹は私の事をこんなに高くかっているのか全然わからない。

だってオタクだよ?私。

最近認知されてきたとはいえまだまだ世間様一般では後指さされるような典型的なオタク趣味。

成績も中の下だよ?そして地味を地で行く普通の会社員なんだけどなぁ。



「立ち話もなんだし、そろそろ部屋にいこっか」



月依(つくよ)はそう言い私を先導してくれる。



「うん」



月依(つくよ)は寮の入り口で入寮の手続きを行ってくれた後、学園寮の廊下を進む。

部屋に向かいながら月依(つくよ)は私に話しかけてくる。



「そういえばお姉ちゃん、街の端にあるおっきな防護壁見た?」

「うん。会社のビルから那直(ななお)兄さんに見せてもらった。信じられないくらい大きな壁だよね、あれ」

「そうそう。私も初めて見せてもらったときは驚いちゃった。ちなみに防護壁の外には(あやかし)がうろうろしてるらしいよ。昔話にあった鬼だの河童だの八岐大蛇だのそういうのぽいのが。とりあえず街の中にさえいればそういうのに襲われる心配はまずないらしいけどね」



「結構デンジャラスな世界なんだね、ここ」

「だから科学技術も進んでるしカムイなんて力もあるんじゃないかなぁ」

「……なるほど」



まー、そんな危険な場所なら防護壁の外になんて行く機会は絶対にないかなぁ。

そもそもそんなにデキのよくない私はカムイのライセンスを取る生活を送るだけでいっぱいいっぱいな気がする。



「でねでね、実習で壁の外に行くこともあるらしいんだ。実はそれも楽しみなんだよね」

「え゛!どういうことそれ」

「学園の職業訓練の一環でハンターライセンスの実習もあるんだって」

「はんたーらいせんす……ですか」



鬼やら河童やらを狩るってこと?

こっちの世界の鬼とかどんな姿してるのかわかんないけど、

昔話みたいに出てくるような鬼なんでしょ?

そんなの絶対、私には無理なんですけど。

私はどっちかというとハンティングする方じゃなくてハンティングされる側だよお……。

このたった数十分の妹との会話だけで、これから先の学園生活に不安に駆られる私。

この異世界、一刻も早く卒業したい……!!

数字を漢数字に変更しました。

それだけですorz

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9月20日 追記

月依の人物描写を追加しました。

登場時の服装はフレアチュニックにジーパン姿。

肉付きも目立ちすぎず、全くないわけでもない

いわゆる普通の体型です。

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