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神々の世界で学園生活~ライセンスゼロの私が世界最強!?~  作者: 牛
2章 その想いは、突然に。
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こんな私にできること

その日の夜、私達『(たま)入れ』組の三人は、私と月依(つくよ)の部屋で作戦会議をすることにした。



「役割分担どうしようか」

「うーん……単純に考えるなら、お姉ちゃんをポインターにするしかないっぽいんだけど」

「ですよねー……私のカムイ絶対失敗するしね」

「でもね……ポインターがカムイ無しで下から籠に玉入れるだけじゃ絶対に勝てないと思うんだよね」

「それは確かに」



投げてる玉に対して相手チームからカムイによる妨害があったらどうすることもできない。

ディフェンダーに助けてもらうにしても限界ありそうだしなぁ。



「そもそも、お姉ちゃん、籠に正確に玉入れる自信ある?」

「ありませんね、はい」



だって私運動音痴だし。

筋力ありませんし。

歩くことだけが取り柄のインドア派のオタクですおし。



「だから、ポインターはちゃんとカムイを使える私かサクヤちゃんがやった方が良い気がする。んで、ディフェンダーもちゃんとカムイを使えないと駄目だと思う。だから残ったのはアタッカーなんだけど……」

「アタッカーってカムイ使えないと何にもできなくない?」

「そうなんだけどね。でも使っていいカムイは仮ライセンスでも良いっていうのは、実はお姉ちゃんにとってメリットなんだよ」

「どういうこと?」

「例えば、お姉ちゃんの水呼(すいこ)は水の代わりにお酒を呼んじゃうけど、相手の陣地をお酒だらけにするっていう妨害には十分使えるんだよ。お酒だらけの陣地に転がってる玉を拾うのは結構大変だと思う」

「おー……」



それはまったく考えつかなかったなぁ。



土呼(とこ)木呼(もくこ)鉄喚(てつよび)なんかもそう。お姉ちゃんの土呼(とこ)は土は呼べないけど、相手の陣地を泥まみれにできるし、木呼(もくこ)は木は呼べないけど、相手の陣地を草まみれにできる。鉄喚(てつよび)は鉄は呼べないけど、相手の陣地を砂鉄まみれにできるよ」



なんていうか、発想の転換ってやつなのかな。

うちの妹、頭いいなぁ。

全然考えつかなかったや。



「というわけで、お姉ちゃんはアタッカーで決まりかな」

「が、ガンバリマス」

「んで、ディフェンダーは色々サポートしないといけないから、私が良いと思う」

「そうしますと(わたくし)がポインターということですね」

「そうなるね。サクヤちゃんなら浮風(うきかぜ)もちゃんと使えるし、籠に玉を入れやすい位置まで飛んで行って、そこから玉を入れればいいんじゃないかな」



ふむむ……なんだかやれそうな気がしてきた。



「あとはそうだね……今日申請したカムイの中で使えそうなのをそれぞれ探して練習って感じかなぁ」

「私の場合、何が起こるかわかんないんだけど……」

「お姉ちゃんは二十個全部どんな結果になるか一度試すしかないね」

「まじですか」

「うん」

「本気で?」

「本気だけど」



にっこりと笑顔で言われてしまった。

その笑顔が一瞬かわいいと思ってしまったのは秘密だ。

とりあえず、まずは教科書読むことから始めないといけないなぁ……。

二十個分のカムイのページ数ってどんなんだろう。

今学期分だから相当なページ数な気がするんだけど。

考えるだけで気が遠くなってきた。

頑張ろう……うん。


―――


サクヤちゃんが部屋に戻ってから私はベッドに寝転がってカムイの教科書をめくりめくり、

いい加減そろそろ寝ようかと枕元の灯りを消して暫くした頃。



「お姉ちゃん、起きてる?」



月依(つくよ)にそう声をかけられる。



「うん」

「……私ね、今、お姉ちゃんと一緒に居られて嬉しい。ずっと離れてたから……」

「……」

「きっと、今が人生で一番幸せかな……」



まだまだ長い人生なのに、人生で一番って、気が早すぎじゃないだろうか。

でも……。

月依(つくよ)がそう言うのならきっとそうなのだろう。

そう思ってくれているなら、私も嬉しいけど。

でも私は本当にその言葉通りに受け取っていいのかな。

私は月依(つくよ)の思いに応えてあげられていないのに。

月依(つくよ)は本当に幸せなんだろうか。

だって、私はあの日からずっと月依(つくよ)に寂しい思いをさせ続けているのだから。



「……お姉ちゃん、おやすみなさい」

「うん、おやすみ」



そう言って私達は眠りについた。


―――


というわけで、私達三人は放課後、先生に付き合ってもらって実習テストを始めた。

まず、相手の玉入れの妨害に使えそうかなと思い、風を呼ぶカムイ、風呼(ふうこ)を試してみることにした。

で……試してみたんだけど、普通の風を呼び出したつもりが竜巻を呼び出していた。

言うまでもなく教室は酷い有様になってしまった。

他にクラスメイトがいたら大惨事だったかもしれない。



陽花(ひはな)ちゃんの失敗はいつも斜め上をいくわね……」



教室を片付けながら先生は呟く。



「本当に申し訳ございません……」

「これだと、相手の玉どころかプレイヤーや籠まで吹き飛ばしそうだけど使っても平気なのかなぁ」

「そうだねぇ……」

「まぁあまりオススメはしないけど……これぐらいなら籠は吹き飛ばないんじゃないかしら。とりあえず陽花ちゃん、これも色々危険だから試合以外で使うのは絶対禁止ね」

「あう……」



なんというか、禁止されてるカムイ多くないですかね、私。

四月に習った火を呼ぶカムイの火呼(かこ)は、自分の思った通りに火力調節ができなくて、本当の意味で教室が大炎上しかかったし……。

物を冷やすカムイの冷化(れいか)は、対象物は冷えたけど、対象物のついでに教室中の空気が冬の様に冷えてしまったし。

物を温めるカムイの温化(おんか)も同じで、対象物は温まったけど、対象物のついでに教室中の空気が夏の様に温まるし。

雨を呼ぶカムイの雨喚(あめよび)に至っては、雨を喚ぶことがでずに雪を喚んだあげく、学園周辺に丸一日大雪を降らせてしまった。

しかもそれは先生達が私の雨喚(あめよび)を解除しようとしても出来なかったっていうお墨付きだ。


言うまでもなくこれら四つのカムイも使用することを禁じられている。

そんな事もあって、私についたあだ名は『歩く人間災害』。

カムイの実習テストの時、クラスの皆は私の番になると戦々恐々としている。

そりゃそうですよね……何が起こるかわかんないんだもん。

使ってる自分でも正直、何が起こるのかわかんなくてこわいもん。

というか、なんでこんな『歩く人間災害』状態の私が申請だけはポンポン通ってるんだろうね。

カムイの申請システムって実はザルなんじゃないのかな……!

こんな危険人物に申請許可出さないでよ、本当に。

そう思わずにはいられなかった。

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