表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運命の宝玉~悪役令嬢にはなりません~  作者: らんか


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/61

16. 王立学園入学

 今日はいよいよ王立学園入学の日。

 

 とうとう例の物語の舞台となる学園生活が始まるのだと思うと、昨日の夜は目が冴えて眠れなかった。

 

 健康だけは女神様のお墨付きなので、寝不足くらいで倒れるわけではないが、何となく気が重い。

 

「おい、入学式に遅れるような真似はするな。

 早く行きなさい」

 

 ぐずぐずしている私に不愉快そうに父が言うので、仕方なく早めに家を出る。

 

 ……まだ入学式まで時間があるのに、家でゆっくり気持ちを落ち着かせることも出来ないわ。

 

 馬車に乗り込み、心の中でグレイに呼びかけるも、返事はない。

 

 あの王妃様のお茶会の後、ラケシス様の所に宝玉の事で聞きに行ってから数ヶ月。

 あれからグレイが戻って来ない事が私の心に一番の不安を齎しているのだ。

 

「もう! 何時になったら戻ってくるのよ! 宝玉はグレイが直接取り戻してくれるんでしょ!?

 このままいなくなったら許さないんだから!」

 

 不安な気持ちを誤魔化すように大きく独り言を吐いてしまう。

 馬車に乗っているのが1人で良かった。

 入園式には父母も参加だが、別の馬車で来る予定だ。

 おそらく少し顔見せしたらすぐ帰るだろう。

 

 馬車が学園に到着する。

 私はため息を吐きながら、足取り重く1人で始業式の始まる会場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 入園式────

 

 

 壇上で学園長の挨拶が終わり、生徒会長の挨拶、先生方の紹介へと続いた。

 

「今までは聖属性魔法学は、教会より臨時教員に来てもらっていたが、今年からは聖属性魔法学の正式な先生が来られる事になった。

 さぁ、アストナ先生、こちらへ」

 

 学園長の紹介にて、聖属性魔法学の新任教員が壇上に立つ。

 その姿を見た女生徒達が色めきだったのは言うまでもない。

 

「本日よりこちらにて教鞭を振るう事となりましたジャック・アストナです。新入生の諸君、よろしく頼む」

 

 

 そう挨拶すると、女生徒達は頬を染めている。

 ほとんどが貴族令嬢にて、みっともなく歓声を上げる事はないが、喜んでいるのがとても分かる。

 

 私はといえば、もちろん違う意味で叫びたかった。

 家庭教師最終日、もう会う事はないと思って挨拶をしたが、アストナ先生は、笑顔のままで、

「また会える日を楽しみにしている。学園でも頑張りなさい」

 と言われた。

 

 なるほど。

 その時にはすでにここの教員になる事が決まっていたのね。

 

 人が悪いわ。教えてくれてもいいのに。

 

 でも、やはり運命は変えられないのか。

 とうとうアストナ先生も、この物語の舞台に上がってきてしまった。

 

 あとの4人はこの学園の学生にて、これで攻略対象者は全員揃った。

 

 

「続いて新入生代表の挨拶を行う。

 新入生代表、サンタベルグ王国第1王子、アステル・ド・サンタベルグ。前へ」

 

 名前を呼ばれて、第1王子が壇上に上がる。

 

 定番の金髪碧眼、長身のやや細身の王子は物語の中でも、一番人気だったのだろう。

 

 未だに婚約者が決まっておらず、今の時点では多くの令嬢方も王子に合わせて婚約者を作っていない。

 新入生、在校生共に、目をキラキラさせながら壇上で新入生の挨拶を行なっている第1王子に見蕩れている者が多い。

 

 しかし、前回のお茶会で見せたヒロインとの仲睦まじさであれば、ヒロインとの婚約はまだ発表されていないが、時間の問題かもしれない。

 

 

 そんな中で始まる物語。

 

 本来なら、悪役令嬢である私が何かとヒロインに嫌がらせを行なっていくのだが、私にそのつもりは無い。

 運命の強制力に抗うために宝玉を見つけてラケシス様に壊してもらう。

 

 

 その目標に向かって頑張らないと!

 グレイが戻るまでに、自分でも出来る事を考えなくちゃ!

 

 私は改めて、そう決意した。

 

 

 

 ────

 

 

 

 ここ王立学園は13歳の年から5年もの間、学生として学園に通う。

 魔力が15以上の者なら平民でも入園出来るが、魔力が高い者の殆どが貴族にて、ほぼ平民はいないのが現状だ。

 逆に貴族で魔力が14以下だと、王立学園には通えない為、今後の人生に大きく影響する。

 男なら、出世コースから外れる事は当たり前、女なら望ましい結婚が出来ないなど……。

 

 

 今年の新入生も平民が12名程いるが、殆どが貴族だ。

 クラス分けも、貴族位と魔力の大きさで組み分けされている。

 魔力、貴族位共に高いクラスを特Aクラスとなり、そこから順にA、B、Cの4クラスだ。

 もちろん攻略対象者は特Aクラスにいる。

 そして、聖女候補であるヒロインも当然このクラスだ。

 

 そして……

 

 残念ながら……私も特Aクラスだった。

 

 

 

 

 

 

 入園式から数週間が経ち、新入生もようやく少し学園生活に慣れて来た頃────

 

 

「エマ。今日はようやく初めての魔法学の授業ですわね。ドキドキしますわ」

 

 以前お茶会で友達になったセリーヌが話しかけてきた。

 

 セリーヌは魔力21で、魔法は水属性なのだそうだ。

 もちろん特Aクラスにいる。

 入園式の時は、ヒロインや攻略対象者に気を取られていてセリーヌがいた事に全く気付いていなかった。

 セリーヌから話しかけてくれたので、本当に有難い。

 友達が作れなかった私には、セリーヌの存在がとても心強かった。

 

「初めての魔法学は、まだ属性に関係なく魔法の一般知識なんでしょ? 一般魔法学の先生は誰なのかしら?」

 

 私の質問に、セリーヌは目を輝かして言ってくる。

 

「アストナ先生らしいですわよ! あの方、大人の魅力があって、とても素敵ですわよね」

 

 なるほど。

 さっきのドキドキ発言は、そういう意味なのね。

 

「セリーヌはアストナ先生が気に入っているのね」

 

「やだ! そういうんじゃないですわよ!? あくまで先生として尊敬しているだけですわ!」

 

 真っ赤な顔で私の言葉に過剰反応を示すセリーヌが、とても分かりやすくて可愛い。

 

 

「はいはい、そういう事にしておきましょうね」

 

 

 笑いながらセリーヌと会話を楽しんでいると、授業が始まる知らせの鐘がなった。

 

 

 教室に入ってきたアストナ先生は、クラス全体を見回した後、一瞬私に視線をとめる。

 軽く微笑んでから、みんなの前で挨拶をした。

 

「今日からこのクラスの一般魔法学を教えるジャック・アストナだ。専攻は聖属性。

 一般魔法学では魔法の基礎知識を学び、その後それぞれの属性魔法学を受ける流れとなる。

 このクラスの者は殆どが入園前に事前学習を行なってきたと思うが、もう一度振り返りながら、しっかりとした基礎知識を身に付けてほしい」

 

 そう言ってまた、私に視線をよこす。

 

 私も小さく会釈をして応じた。

 

 幸いヒロインはアストナ先生に対してまだ興味を持ってない様子。

 アストナ先生との入園前の関係性がバレた時、敵視されそうに無いことに、ホッと安心した。

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ