断食
x月11日-昼過ぎ
総駕は丸一日休息を取り、集めたカードキーを所定の関所に納めに来ていた。
これで次のIVステージ、エリアGへ行く事が出来る。
新たな居住地の住所をマップに入れ、とりあえずそこに向かう事を決める。
エリア間を仕切るゲートに歩き出す総駕、そこで後方から自分を呼ぶ声が聞こえる。
「奈菜さん⁉︎」
現れた七瀬奈菜に驚くと一瞬考えて紫宴が頭に浮かび微妙な顔をする。
ーー心中を察する奈菜
「居ないよ 紫宴君は」。
軽く周りを見たが確かに
「…アイツはどうしたんですか」
「先に次のステージに行ったよ」
奴の実力なら順当な結果
「奈菜さんもこれから次のステージに向かうんですか?」
その問いには首を横に振る
「私はカードキー揃わなかったから…」
まだ期間はあるのに、諦めたセリフ
「じゃあどうして…ここに?」
「もしかしたら総駕君に会えるかなって」
「俺に?…」
頷くと静かに告げる
「紫宴君を助けて欲しいの」
その願いを聞いた総駕の表情が歪む
「はっ?…何言ってんだ…⁉︎」
結衣を倒した紫宴を思い出し深く呼吸する。
「そうだよね、総駕君は許せないよね?」
「当たり前ですよ…」
「私ね紫宴君と最後のカードキーを賭けて戦ったの」
驚くように総駕は奈菜の顔を見る
「アイツから挑んで来たんですか?」
頷く奈菜、それに嫌悪感を表す
「こうなってしまったけど私は紫宴君を憎めない」
「…俺には無理だ」
「助けを求めてる感じがするの戦ってより分かった気がする」
なんで紫宴ばかり、と贔屓目を感じた。
「ーー俺はもうアイツとは何でもないから
それじゃあ」
「総駕君ーー」
「このままじゃきっと紫宴君は自分から滅びに向かう!光郷院と戦うつもりだよ」
一眼総駕は振り向きエリアGに歩き出す。
「なんだってんだ…」
紫宴…俺も憎み切れるわけじゃ無いけど
許す事も出来ない
だが七瀬奈菜の言う事も分かる、自傷し敵を倒すその戦いざまは危うい…
俺は敵意を向けて来た熊闇御堂すら救われて欲しいと思った…
「無視できない気もする、
自分の憎しみや他者の絶望感、俺は何か出来るのだろうかーー」
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x月12日
サードステージが終局を迎えるーー
日が跨ぎーー始まるフォースステージ。
x月13日 -0時00分
全プレイヤー約4000名のスマホにメールが届く。
フォースステージの概要について
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期限は13日から27日迄の2週間。
フォースステージ突破条件はバトルポイントを1000に到達する事。
バトルポイントは勝利時にプレイヤー撃破によって50ポイントを獲得。
更に、撃破されたプレイヤーが持つポイントの半分が追加で加算される。
"期間内にバトルポイントが0"になった場合即時敗退する。
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ここまでを読み終え今回のステージの攻略はそう難しく無いと思われた。
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バトルポイントは配給所にて指定の時間に10ポイントを消費することで食料と交換する事が出来る。
バトルポイントを1日に30ポイント消費しなかった場合、23時55分にて自動的に30ポイントが消費される。
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フォースステージでは最大4名までが同時に対戦可能である、1対1で対戦をしている最中に乱入する事が可能で乱入モードとなるーー
ーーその場合乱入したプレイヤーのTCは半分になってゲームをスタートする。
ーー乱入モードでゲームが進行した場合、1人のプレイヤーが敗退した時点でラストアタックを決めた以外のプレイヤーが続行か離脱を選択できる。
追加ルール
・フォースステージでは試合が行われると街全体が戦場となって移動しながら対戦が可能。
戦場にはクイックスペルと呼ばれるタイムスペルの1種が散布されていて1ターンに1枚、手札には1枚まで持つ事が出来る。
全プレイヤーはこの案内を持って今までの試合の数に応じたバトルポイントからスタートされる。
位置情報は常にオンとなりフォースステージ中
バトルポイントが高い数値から常にA〜Dランクに振り分けられる。
マップにはランクに応じた反応が記される。
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総駕は眉間の皺が離れると一息吐いた
バトルロイヤルが始まる…
"期間内にバトルポイントが0"になった場合即時敗退する。
読んだばかりでは分からなかったが食事をするのに
2週間で420ポイントが失われる。
いや毎日の終わりに食事を取らなくてもポイントは失われるんだ。
「何もしなくても30ポイント失われるなら飯を食ったほうがいいに決まってる…!」
総駕は当然の事にムキになったがパラパラの顔が浮かぶと口元に手を当てブツブツと呟く
「そうか…1日に3度配給所に出向かせる事自体が試合のきっかけを作ってる」
この状況が能動的に戦いが活性化する仕組みになっていやがる。
総駕は考えごとをしながら新しいレオパレスのような拠点を出て街を徘徊。
40分して部屋に戻ると分かった事があった、拠点から大体1kmは位置情報がオフになっている。
そして今の俺のランクはーーAランク。
最高ランクだった…。
思い当たる節があるとすれば、各ステージの必要対戦数を超えて戦った事。
俺は普通のプレイヤーよりも沢山戦っているーー
ファーストステージ
藤堂、レルそしてタッグ戦、そしてシフト、
極道、ディザスター。
セカンドステージ
結衣との2戦、大会での2戦ーー
紫宴、大野崎、パラパラ
サードステージ
野比さん、戸田山さん、セガール
熊闇御堂
340ポイント、ステージと電子ホルダーを使った17戦
ーー1試合20ポイントと考えれば合点が行く。
「このステージすぐ戦いに行ってもAランクの俺は標的になるかもな…」
出向くなら他のプレイヤーのランクが上がり、自分のランクが更新され始めた頃が望ましい。
「くそ、食料を確保して序盤を凌ぐべきだったんだ」
そうすれば配給所に行かず戦いを避けられた。
思えばこのエリアGに来てから食事の確保は決まった時間や場所でしか行えなかった。
幸い水は水道水がある…な
人って水だけで何日持つんだ?
「これは我慢大会か…」
総駕の戦略的?断食生活が始まった。




