好きをゴールしたいんだ。
スポーツの秋!!!食欲の秋!!!
ピー!
雲一つない青空の下。
飛び交う青春の声。
年に一度の体育祭が、幕を開ける___。
「ヒナノ、おはよう」
「アミ。おはよう。元気になって良かったね」
「まじそれな。体育祭に間に合ってラッキーって感じ!あっ。あと……。あとでちょっと話したいことある」
「なになに?その顔はなんかいいことあったなー?
ギクッって………顔に全部出てる笑」
「嘘つけないよ、図星です……」
「おっけー、その話、楽しみにしてる」
今年は私たちのクラスは黄組。
隣のクラスのトア君のクラスは赤組。
そしてもう一つのクラスが緑組。
どうしても、この季節になって、この旗を見ると。
黄組はイチョウ組で、赤組は紅葉組で、緑は緑葉組。
秋の自然らしさが、ここにあるのかなって思ったり。
やっぱり体育祭はスポーツの秋。
そしてお弁当の時間は食欲の秋。
今日は、みんなでたくさん食べたくて、つい多めに作ってきちゃったんだよね。
絶対一人じゃ食べきれない量。
楽しみだなぁ。
なんて、考えるのはここまでにして。
今からは、応援に専念しないと!!!
去年は負けちゃったから、今年は勝ちたい。
一競技目は、クラス対抗の長縄。
3分間の中で、連続して跳べた回数を競うものだ。
「黄組ファイトーー!!」
「頑張れーー!!」
私とアミ、二人隣に並んでメガフォンを片手に、声援を送る。
(黄組)「「「「13、14、15、16、17」」」
(赤組)「「「」25、26、27、28、・・・」」」
赤組、めっちゃめっちゃ強い。ずっと続いている。
と思っていたとき、
「赤組、頼む、ひっかかってくれ、ひっかかってくれ」
とぶつぶつ言う声が聞こえた。
「西山君。人の不幸を願う者に幸せがやってくると思うか?」
「……。いえ、思いません……」
「幸せっていうのはなぁ、人の幸せを願う者にやってくるんだ。だから、応援をしないか?勝ち負けにとらわれず、それよりも大事なことがあるのではないかい?」
「……すみませんでした」
「謝らなくていい。今からでも君は変われるんだ。今、気づけたじゃないか。応援、頼んだぞ」
「……はい……!」
「頑張れーーー!!!」
コウトリ先生の言葉から、黄組の声援がより大きくなった。
「それでは結果発表です。第3位、緑組、28回! 第2位、赤組、31回! 第1位、黄組、33回!」
「「「やっったあああああああ!!!!」」」
「お疲れ様ー!!」
温かい声に包み込まれていた。
この空気とは一変。
次の種目は、借り物競走。
これは得点に関係ないから、みんなわちゃわちゃ楽しむ。
恋の始まりだとか何だとかコウトリ先生が騒いでいたなぁ。
「無理矢理お願いして、この種目を入れてもらったのだよ」とか……国語の授業中にずっと言ってたから……。
一方で、周りの女子は「〇〇に借りられたーい」とか、「私を選んでほしーい」とか言いながら、髪を結び直したり、前髪を整えたりしていた。
「ヒナノ、もっと前で見ようよ〜」
「借りられたいと思っている人たちいっぱいいるからいいよ、私は後ろで」
「まあまあ、そんなこと言わずに」
「って、ちょ、ちょっと」
私の言うことなど聞かずに、ぐいぐいと背中を押された。
結局私は一番前になってしまった。
「それで、話したいことなんだけど……」
「うん」
「この前、私、学校休んじゃったじゃん?その時、同じ学校の人が配布物を届けに来てくれたの。それで、最初は信じられなかったけど、幼稚園の卒業アルバムを見て、確信した。その人、私の恋の相手!」
「ええええええ?!?!!うそおおおお!!!この前、言ったじゃん!会ってるかもって!」
「そうそう!それでびっくりしちゃって!まさか同じ学校だったとは思わなかったし。まぁクラスも一緒になったことまだないから」
「私も良かったら協力するよ!だって離れてからもずーーーーっと好きで今も好きなんでしょ?そんなの実らせるしかないもんね」
「ありがとう。じゃあ、発表します。
______『秋本トア』って知ってる?」
「……え?トア君……?」
「え?!なになにその反応?!!知ってるの?!」
「知ってるもなにも、いつも一緒に図書委員やってる」
「そうなの?!!!じゃあ今度図書室お邪魔しちゃおうかなぁ」
「アミったら積極的〜」
「そういうヒナノはどうなのよ?」
「最近、モミジ君といい感じじゃないの?」
「いやいや、私もだけど、向こうも何とも思ってないと思うよ」
「ほらほら、そうとは言わず、当の本人がこちらに向かってきてるよ」
「ヒナノ、おいで」
手を引っ張って、そのままお姫様抱っこでダッシュ。
「「「「キャーーーーー!!!」」」
あちらの女子と混ざって、アミまで一緒にならなくていいから!!
早く降ろしてええええええ泣
全校生徒の前で、本当に恥ずかしい……。
何で私なんだろう?
と考えてるうちにゴール!
「ヒナノ、ありがとな」
「いえいえ全然……。お疲れ様。ところで何で私?」
「好きをゴールしたいから、かな」
「ん?それってどういうこと?」
「ごめん、何でもない。忘れて」
「?」
私の頭はクエスチョンマークで満たされていた。
玉入れ、リレー、大玉転がしなどなど、様々な種目をやり終えた。
そして、お弁当のお時間。
私が人を集めてる間、アミは食べる場所の確保と準備をしてくれている。
私は今、アミの想い人、じゃなくて。トア君を探している。
トア君のクラスはここだと思うんだけどなぁ。
あっ、いた!
「トア君!お弁当、みんなで食べよう」
あれ、不機嫌そう……。
「どうかした?」
「別に……」
もしかして、一緒に食べたくなかったとか……?
私なにか嫌われるようなこと、しちゃったかな?
「もし嫌だったら全然」
「嫌じゃない」
遮るようにして言われた。じゃあなんで?
ん?待って、あれ、アザクじゃない?
ん?あと、隣に誰かいる。女の子?年齢はあんまり変わんなそう。
まあ、そんなことはよくて。
来てくれたんだ!嬉しい!
「トア君、ちょっと待ってて。
アザクーー!」
って片手を振って会いに行こうとしたその時。
優しく、でもカチッと手首を掴まれた。
その手は絶対離さないとでも言うように。
「アザクって、この前見せてくれた写真にいた、一緒に月を見に行った人か?」
「そうそう」
「へー」
「あのー、そろそろ手……」
「あ、ごめん」
「いいけど」
「いいなら掴んじゃうけど?」
「ダメです」
今、アザクと話すのは諦めて、アミが待っている場所に向かった。
私はアミがトア君の隣になるように座らせた。
「あの、先日は、ありがとうございました」
「全然。体調治ったみたいで良かった」
「私のこと、覚えてくれたんだ」
「まあ、昔よく遊んだからな」
それにしても。
トア君とアミが幼馴染だってことにびっくり!
ちょっとずつトア君が元気になっていって良かった。
「モミジ君、まさかここにあったお弁当箱一人で全部食べた?」
「そうだけど?」
「食欲すごいね」
「ヒナノが作ったものだからな」
「まだまだあるから食べていいよ」
「さんきゅ」
その時、
「何これうまそーー」
と、昔からよく知る声が降ってきた。
「俺もちょっと食べてもいい?」
「いいよ、アザクも食べちゃって!助かる!」
「美味しかったーーー!!!」
「良かった」
「「「「「ごちそうさまでした!」」」」
「よし、午後も頑張りますか!」
そんな楽しい時間あっという間に過ぎていった。
全種目を終えた私たちは、運命の結果発表を待っていた。
「それでは、結果発表!!1の位!!
黄組『7』、赤組『3』、緑組『4』」
「続いて、100の位!!
黄組『3』、赤組『3』、緑組『3』」
「「「「えええええええ?!?!?!!」」」」
「これで決まります!10の位!!
黄組『4』、赤組『8』、緑組『4』
優勝は赤組です!おめでとうございます!!」
「「「「勝ったぞおおおおおおおお!!!」」」」
赤組は喜びの声で溢れていた。
私たちも、拍手で全力におめでとうを送った。
「負けちゃったね、でも楽しかった」
「私も。来年は勝とうね」
「あの……。お話中申し訳ないのですが、アミさん、今、伝えたいことがあるので、お時間いいですか?」
「もちろん」
リョウ君、急にどうしたんだろう。
待って待って待って。確か、確か……。
アリーナ席の横見て横見て前向いての人たちだよね??
まさか、リョウ君、アミに告白_?!?!
し、しかも……。
"公開"告白?!?!!!
だめ。!
アミが好きなのは___。
いや、ううん。だめとか言っちゃだめだけど。
でも、でも……。
今、いや、ずっと前から。
アミが好きなのは___。
あの人の顔が浮かんだ。
だから、このままいったら、彼にとって体育祭が辛いものになっちゃうかもしれない。
でも、だからといって止められない。
彼なりに出した答えが、告白だったからかもしれないから。
「アミさん。好きです」
言っちゃった……。
じゃなくて。私に今できることは、静かに見守ること。
だから、今は、応援する。頑張れ!!
「付き合ってください」
「リョウ君……。
___ごめんなさい」
「わかった」
それと同時に、周りで見守っていた人たちが、リョウ君の近くに集まる。
頑張ったじゃんとか、かっこ良かったよとか、そんな声が聞こえてきた。
そんな中、一人の女の子が声をあげた。
「リョウ君」
それは、アリーナ席で、リョウ君のことを見ていた、スズだった。
「私は、リョウ君のこと、好きです。
こんなときに伝えるとか、間違ってるかもだし、混乱させちゃうかもだけど。
今から遠い日でもいいから、あなたのものになりたいと、思っています。
返事はまだいらないから、まずは私のこと、好きにさせられるように頑張るから。
これからちょっとでも、私のこと意識してくれると嬉しいです。あと。
借り物競走の時に、あなたを借りたのは。好きをゴールしたかったから。
つまり、私の恋を実らせたかったからなんです。
片想いをゴールしたかったから。
長くなっちゃいました。ごめんなさい。喋り過ぎました。良かったら、このハンカチ、使ってください。それでは」
そう言って走って戻っていった。
リョウ君は、受け取ったハンカチと、スズの背中を静かに眺めていた。
ん?ちょっと待って。
"好きをゴールしたかったから"って__。
振り返って彼を見る。
ちょっと待って。モミジ君、それって、それって……。
どういう意味___?
こんにちは!はづきです(*´▽`*)!!
お待たせしましたー!!第4話ദ്ദി ˃ ᵕ ˂ )
今回は、「スポーツの秋、食欲の秋」をテーマに書きました!体育祭です!
最近恋愛小説多めで、あまり日常系(?)のものが書けてないなぁ、と思ったんです。だから、今回は、ちょっとでもその要素をいれたくて、あえて長縄のシーンをいれました。誰かの幸せを願える者に幸せがやってくると信じて幸せを願う。ですが、もし相手によって傷つけられたのなら、私の考えですが、その相手の幸せを無理に願わなくてもいいと思います。不幸も幸せも、何も願わない。それが自分自身のためにも良いのかもしれません。
今回長くなっちゃいました、、ごめんなさい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました(((o(*゜∀゜*)o)))!!
第5話もお読みいただけたらうれしいです(*˘︶˘*)!
よろしくお願いします( ◍•ᴗ•◍ )!




