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乙女ゲームのヒロインに転生したようですが、私は変身ヒロインになります。メンヘラ男子はお呼びじゃありません。  作者: シャチ
1.幼少期編

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12.初めての長距離移動

新しい朝が来た。

私はノエール様のお家のロータリーに居る。

今日初めて馬車での長距離移動になるのだが、ブロッサム公爵領までは馬車で二日はかかる。

絶対お尻が痛くなると思う。

私は馬車が苦手なのだ。

というかこの時代の乗り物にはサスペンションという考えがないのだろうか?

「またせたわね、エリーカ」

すでに馬車が3台ほど待っているところにノエール様がやってきた。

何時ものきらびやかな衣装よりは一段落ち着いたドレスだ。

流石に、運動するときの格好ではない。

「おはようございます。ノエール様。今日はお招き有難うございます」

「何堅苦しい挨拶してるのよ」

「親しき中にも礼儀ありでございます」

「そういうところ変に律儀よね。まぁいいわ一緒の馬車に乗りましょう」

ノエール様に手を引かれて中間に止まっていたひときわ豪華な馬車に乗せてもらう。

真っ白な塗装に、ブロッサム公爵家の家紋が入っており、金のエングルービング加工がきれいな花模様を描いている。

中に入ると、さらに豪華で落ち着いた赤の毛の長いじゅうたんに、ふわふわのクッション。

ココからは直接見えないが、少し奥には簡易のキッチンがありそう。

家かコレは?キャンピングカーってやつか?


私たちが乗り込むと、ゆっくりと馬車の列は出発する。

ブロッサム家の執事の人が手を振ってくれたので、手を振り返しておいた。

しかし、思ったより馬車が揺れない。

「なんて顔してるのよ」

「いや、この馬車揺れないなぁと思って」

「ほかの馬車は揺れるのかしら?」

「あ、これお金持ちには、わからない話のやつだ」

変なところで格差を感じた。

後で休憩中に揺れない理由を探ってみよう。

「思ったより馬車って遅いですね」

「まちなさい、あなたのバフ全開の全力疾走と比較したら馬が可哀そうよ」

「あー、じゃあ馬に身体強化と回復のバフかければ早く着くんじゃないですかね?」

「…ほう?」

「やってみます?」

「面白そうね、ちょっと待ってなさい」

ノーエル様が御者さんに声をかけると、隊列がストップした。

「じゃ、エリーカやってみましょう」

そういうと颯爽と馬車を降りていくノエール様。

フットワーク軽すぎじゃないだろうか?

最近私に感化されてきているのか、公爵令嬢としてはあるまじきフットワークの軽さで物事を進めている気がする。

今回の公爵領へ行く話も、急だったし。


さて、馬に身体強化や回復魔法をかける方法は、結果的に成功した。

ありえない速さで馬車は突き進み、工程が半分になった結果、日が沈む前にブロッサム公爵家に到着した。

問題は馬車の振動が大きくなったことと、止まれといっても到着まで止まらなかったこと。

私たちは、意図せず昼食抜きになり、そして、腰は死んだ。

なお、一番の犠牲者はノエール様になった。

普段揺れない馬車に乗っているので、あんなに揺れたのは初めてだとか。

可愛そうなので回復魔法をかけておいてあげた。

なお、馬車が揺れない原因は、魔法石だった。

ちょっと浮いているんだとか。

物理的なサスペンションかと思ったら違っていた。

途中で泊まるとのことだったけど、馬車泊予定だったとの事で、どこにも迷惑をかけなかったと聞いてほっとした。


「よく来たね、フローレンス男爵令嬢。ノエールと仲良くしてくれてありがとう」

予定を完全無視して到着したにもかかわらず、ノエール様のお父様である、ブロッサム公爵様がわざわざ出迎えてくれた。

金髪、黒目の長身イケおじ。綺麗なバリトンボイス。

ぶっちゃけタイプである。メンヘラ男子より、そのお父様がたのほうがお近づきになりたい。

自分が子供じゃなければ!!

内面の欲望をよそに、私は完璧なカーテシーをお見舞いする。

「お初にお目にかかります。エリーカ・フローレンスと申します。今は光の戦士をしております」

「話はノエールから聞いているよ。なんでも魔物討伐を手伝ってくれるそうだね」

「はい、ノエール様は領民たちを守るために、戦いたいと常におっしゃられており、そのお手伝いができればとはせ参じました。ご足労をおかけいたします」

「なに、堅苦しい挨拶はいいよ。昨年のスタンピードの際、ノエールは何か思うところがあったようだが…吹っ切れたようだな」

「はい、お父様。私も光の戦士となれましたので…ご心配をおかけいたしました」

「うむ、今日はゆっくり休むといい。そういえばカナンがエリーカ君に会いたがっていたぞ?」

「わかりました」

「エリーカ、夕食を食べたらお兄様に会いに行きましょう」

私は客間に通され、少し休憩してからノエール様に夕食に誘われた。

広すぎるダイニングに、若干引き、最高級料理に引き、話を聞いたら、メイドさんたちがすでに子爵や伯爵家のご令嬢だとのことで、さらに引き、久々に砂を食べているみたいな経験をした。

なお、初めて砂を食べているような経験をしたのは、男爵家での初めての晩御飯だったりする。



「お兄様、入りますよ」

ノエール様に連れられて、カナン様のお部屋に来ました。

カナン様私に何の用でしょうかね?

「あぁ、入っていいよ」

私たちは許可をもらい部屋にはいると、お茶のセットが用意されていた。

カナン様の指示を受けたメイドさんが、てきぱきとお茶の準備をしてくれていて、私たちは座るように言われる。

「お久しぶりです、カナン様」

「元気そうだなエリーカ君」

「はい、おかげ様で」

「ところで、明日なのだが、手合わせ願えないだろうか?」

「は?」

「長距離移動後で申し訳ないが、どうしても君の実力を今一度見てみたくてね」

「いえ、移動は問題なかったのですが、私の実力ですか?」

「そうだ、君と手合わせさせたい相手がいるんだ」

「わかりました、いいですよ」

「エリーカ、いいけど相手を殺さないでよ?」

「さすがに加減はするよ」

「まってくれノエール、なぜ相手が殺される話をしている」

カナン様が慌てて突っ込みを入れる。

「お兄様は、エリーカの実力の一端しか、ご覧になっていなかったのですよ。真のエリーカは、パンチでオークのひき肉が作れるレベルなのですよ?」

「まってくれ、最近の婦女子の方たちは、そんな恐ろしいバーサーカーにあこがれを抱いているのか?」

「バーサーカーとはひどいです。光の戦士は理性的ですよ」

「そうです、お兄様。その発言は許せません」

「ステイ、ステイ、おちついて、お兄ちゃんが悪かった」

ノエール様が拳の前に障壁を展開したので、私もしてみたらカナン様が平謝りし始めた。

これ、脅しになるんだ。初めて知った。

「カナン様、手合わせは構いませんが、良いのですか?」

「ん?負かしてもよいのか?という意味であれば問題ない」

「わかりました。では本気でぶっ飛ばしますね」

「…殺さないでね?」

カナン様が心配そうな顔をする。

「もちろんですよ、殺人は犯罪です」

さてと、誰と手合わせするんだろうな?


ブロッサム公爵様もフットワーク軽いなぁと思う

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