0 プロローグ 招喚魔法術式
「アリストーマよ。王命により、そなたを招喚魔法術式の最高責任者に任ずる。王国を救う勇者を招喚せよ」
魔法局長官の厳かな任命宣言に、一級魔法士アリストーマは畏まって頭を深く垂れた。
王国は近年、その東の紫魔山に棲みついた魔王の軍によって国土を侵されつつあった。
力のある戦闘魔法士たちが次々と斃されてゆく中、辺境の村々からじわじわと魔物に侵され、村人たちは保護を求めて王宮のある王家の谷へと逃げてきた。
王は難民たちのために谷を解放してやったが、しかし、それにも限界がある。
王は魔物を討伐し、あわよくば魔王を倒すため、遥かなる異世界から勇者を招喚することを決断した。
そしてその招喚魔法士に選ばれたのが、アリストーマである。
招喚魔法式が使える魔法士は、王国の中にも多くはない。
ほとんどの魔法士が戦闘魔法士であり、続いて多いのが治癒魔法士である。復元魔法が使える魔法士は少なく、招喚魔法式については数えるほどしかいない。
そんな中で、アリストーマは抜きん出た力を持つ招喚魔法士であった。
以前彼が初めて行った招喚魔法式では、近異世界から斬魔剣の使い手という勇者を招喚し、北の谷を魔物から守ったのだった。
以来、招喚魔法といえばアリストーマに期待する者たちは王宮内にも多い。
魔王を倒すとなれば、近異世界の者では力不足だろう。
アリストーマは遠異世界からの招喚を試みることにした。それも3人の勇者の招喚を!
そして……
王宮の人々が固唾を呑んで見守る中、魔法陣の中央に現れたのは妙な服装のくたびれた老人3人だった……。
「こ……これは……?」




