↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
97/97

097 -Aono-

 試しに律(りつ)の腕を縛(しば)ってみたけれど、思っていたより律(りつ)の反応がいいので蒼乃(あおの)も少し戸惑(とまど)った。蒼乃(あおの)だってこんなプレイをするのは初めてである。しかし、やるならとことんやろうと蒼乃(あおの)は変なところで真面目スイッチを入れた。


「ベッドに行きましょう」


 腕が使えなくて一度立ち上がるのに失敗した律(りつ)を、蒼乃(あおの)は抱(だ)き上げる。念願のお姫様抱(だ)っこだ。


 律(りつ)をベッドの上に寝かせると、蒼乃(あおの)は自分のネクタイも外した。ほどよい幅がある。もっと細くすれば間違った用途で使われないのに、と蒼乃(あおの)は自分を正当化した。


 蒼乃(あおの)は律(りつ)の胸のあたりに跨(またが)りながら、彼女の頭をもう一度撫(な)でる。


「律(りつ)ってセーフワードって分かる?」

「分かんない……」

「やめてって言っても本当はやめてほしくない時ってあるでしょ? だから本当にやめてほしい時に使う合言葉を決めるの」

「私は蒼(あお)ちゃんにされて嫌なことなんてないよ」


 蒼乃(あおの)は思わず口元を手で覆(おお)った。彼女が素直過ぎて、自分が汚れてるのだと認識させられる。


「それでも一応セーフワードは決めましょう。味噌汁でどうかしら」


 食事をする度、猫に会う度に思い出してほしいという下劣(げれつ)な気持ちも含めてのチョイスだった。


「いいよ。無理になったら言えばいいんでしょ」


 蒼乃(あおの)はネクタイの端と端を摘(つま)み、律(りつ)の顔に掲(かか)げる。さすがの律(りつ)も何をされるか分かったみたいだ。怯(おび)えの中に期待の眼差(まなざ)しが含まれている。律(りつ)も大概変態で安心した。


 ネクタイで律(りつ)の目を覆(おお)う。蒼乃(あおの)はいつもにない背徳感(はいとくかん)で背中がぞわぞわした。


「きつくない?」

「大丈夫……」


 もう一度蒼乃(あおの)は律(りつ)の頭を撫(な)でる。落ち着かせるために撫(な)でただけだったが、それだけで律(りつ)の体が小さく跳ねた。新しいおもちゃを与えられた子供みたいに、蒼乃(あおの)のテンションは上がる。


「律(りつ)」


 耳元で彼女の名前を囁(ささや)いただけなのに、色っぽい息遣いが返ってくる。素直に蒼乃(あおの)も興奮していく。


「律(りつ)、キスしていい?」


 声が漏(も)れないように口を結んでいるようで返事が返ってこない。


「律(りつ)ってば。返事をしてくれないと、私が寂しいでしょう」

「……いいよ」


 蒼乃(あおの)は少し体を後方にずらしてから、律(りつ)にキスをする。いつもキスをする時に律(りつ)は大抵目を閉じているが、強制的に視界をシャットアウトされるのはまた違うらしい。


「可愛い、律(りつ)可愛い」


 キスをしながら、律(りつ)の服を徐々に脱がせていく。律(りつ)の肌に蒼乃(あおの)が触(ふ)れる度に熱い吐息が漏(も)れてきた。


「どう? 律(りつ)。いつもより感じてる?」

「んー……」


 感じてそうだった。蒼乃(あおの)の気持ちも急くが、せっかくの催(もよお)しなのでゆっくりいきたい。


 ワイシャツのボタンまで全て外したので、蒼乃(あおの)はキャミソールの中に手を入れる。お腹を親指で撫(な)でると律(りつ)の体がよじれた。面白いので脇腹を通して腰の方まで擦(さす)る。


「……!」

「気持ちいい?」

「……きもちいい……」


 律(りつ)には見えないのに、蒼乃(あおの)は笑顔になってしまう。


「蒼(あお)ちゃん……」

「どうしたの?」


 ギブアップかなと思いきや、律(りつ)は蒼乃(あおの)の気持ちを上げることしか言わない。


「ぎゅっとして……」


 蒼乃(あおの)は律(りつ)の首に腕を回し、体を密着させる。顔も近づいたのでキスもした。


「はー律(りつ)可愛い。本当に可愛い。大好き」


 可愛くて蒼乃(あおの)の理性が保(も)たなさそうだ。もう少しだけ踏ん張りたい。


 蒼乃(あおの)は律(りつ)に口づけをしながら、手を彼女の太腿(ふともも)に運ぶ。律(りつ)はタイツを履いていないので生脚だ。


「本当に内腿(うちもも)好きね」


 内腿(うちもも)を触(さわ)った時の反応が一番良い。いつもなら手で邪魔をしてくるところだが、今日は縛(しば)り上げているので蒼乃(あおの)の自由だった。


「律(りつ)、触(さわ)ってほしい?」

「…………」

「どこをって口にしないとダメ?」

「……さわってください……」


 蒼乃(あおの)は下着の上から触れて、あらあらと思いながら、すぐに下着の中に手を入れた。笑ったら律(りつ)には悪いが、笑いたくなるくらいに律(りつ)はこのプレイがお気に召したようだった。


「律(りつ)の変態」


 蒼乃(あおの)しか知らない変態性が露(あら)わになって嬉しい。


「でも律(りつ)、このままだと制服もベッドも汚しちゃうからタオル敷きましょう。どこにあるの?」

「……クローゼットの下段の引き出し」


 恥(は)ずかしさからか律(りつ)の顔が真っ赤になる。


 蒼乃(あおの)はベッドの上から下りて、クローゼットの引き出しを開ける。他の引き出しには下着もあるのかなと邪(よこしま)な気持ちが一瞬浮かんできたが我慢した。


「タオルはどれでもいいの?」

「うん……」


 手前にあった桃色のタオルを拝借し、律(りつ)のもとに戻る。


「スカート脱がせるから腰上げて」


 律(りつ)は素直に蒼乃(あおの)に従った。自分でもどの程度下着を汚しているかは分かっているのだろう。蒼乃(あおの)はスカートを脱がせて、代わりにタオルをベッドの上に敷く。


「律(りつ)、お待たせ。もう我慢しなくていいわよ」

「……ぎゅっとされたままされたい」

「仰せのままに」


 律(りつ)を片腕で思い切り抱(だ)き締める。律(りつ)の声が、律(りつ)の匂いが、律(りつ)の体温が蒼乃(あおの)のブレーキを壊していく。


「律(りつ)、律(りつ)、律(りつ)律(りつ)……律(りつ)……」

 必死に喘(あえ)ぐ彼女を全身で感じながら、蒼乃(あおの)は彼女の名前を呼ぶ。幸せが溢(あふ)れて、脳が溶けていく。どうしようもなく満たされていた。



  ◆  ◆  ◆



 五ラウンド目を終えた時、ついに律(りつ)がセーフワードである「味噌汁」を発した。もう途中から目に巻いていたネクタイは取れていたけれど、律(りつ)はぎゅーっと目を瞑(つぶ)っていた。


 律(りつ)はたまに目を開けて蒼乃(あおの)の顔を見ては、顔を赤くしていて可愛かった。


 腕に巻きつけていたネクタイも外す。脱力している律(りつ)を蒼乃(あおの)は抱(だ)き締めて、頭を撫(な)でる。ついでに乱れた髪(かみ)を軽く整える。


「律(りつ)、今日はすごい頑張ったわね」

「……さすがにもう無理……」

「キスはしていい?」


 律(りつ)がこくりと頷(うなず)いたので、蒼乃(あおの)は喜んで律(りつ)に軽い口づけをする。


「蒼(あお)ちゃんはキス好きだよね」

「正確には律(りつ)とするキスが好きだけれど。律(りつ)は好きじゃないの?」

「好きだよ。でもぎゅっとされるのも好き」


 蒼乃(あおの)は腕の力を強くした。


「教室で蒼(あお)ちゃんの上に座った時に、後ろから抱(だ)き締められるのも好き」

「今度後ろからしてみる?」

「そうゆう話でなくて……」


 後ろからしても律(りつ)は喜びそうだけど、蒼乃(あおの)からすると律(りつ)の顔が見えないので寂しい。


「授業中も律(りつ)を膝の上に乗せてたいんだけれどね。さすがに怒られそうだから」

「うん。美術の授業だったとしても怒られると思うよ」

「私ね、学校でやりたいことがあるの」

「えっちなのはダメだよ?」


 律(りつ)が失礼なことを言う。確かに律(りつ)にまつわるえっちなことは考えることが多いが、公序良俗は弁えているつもりだ。いや、保健室で律(りつ)と二人きりになったら理性は機能しないかもしれない。


「で、蒼(あお)ちゃんは学校でなにをしたいの?」

「律(りつ)をお姫様抱(だ)っこして学校中を回りたい。手始めに一年生の廊下を歩くのはどう?」

「どうじゃないよ。恥(は)ずかしいよ……」


 こんなことを言っているが、蒼乃(あおの)が強めに頼めば律(りつ)はさせてくれると思う。


「律(りつ)、服着させてあげる」


 律(りつ)の背中に両腕を回し、下着のホックを探す。律(りつ)の場合、アンダーが細過ぎてサイズを探すのが大変そうだ。


 下着と留(と)めてから、腕に通っていたワイシャツを伸ばし、第三ボタンから留(と)めていく。首元は開けたままにして、蒼乃(あおの)は律(りつ)の鎖骨(さこつ)を噛(か)んだ。


「ちょ、蒼(あお)ちゃん! 服を着させてくれるって言ったじゃん!」

「律(りつ)がじっとしてたらいずれ終わるから」

「いずれっていつー?」


 蒼乃(あおの)は律(りつ)の質問を無視して律(りつ)の首元を吸う。運動をしたあとだからか、律(りつ)の匂いが強い。匂いに吸い寄せられるように蒼乃(あおの)は律(りつ)の肌の上を這(は)った。


「また痕(あと)をつけようとしてる!」

「いいじゃない。明日明後日と休みなんだし」

「よくないよくない。家族に見られる!」


 やだやだと言いつつも律(りつ)は大した抵抗をしてこない。ツンデレと言うやつかもしれない。蒼乃(あおの)はポジティブに捉(とら)えることにした。


「この前キスマークつけた時、お姉さんに何か言われた?」

「言われなかったけど……めちゃくちゃガン見されたよ……」

「じゃあ今週末もまた見られてちょうだい」


 蒼乃(あおの)はよく見えるところにキスマークをつけた。美味しそうだったので、ついでに噛(か)み痕(あと)をつけた。スマホにも収めて蒼乃(あおの)はご満悦(まんえつ)だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。