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ブレイクソード  作者: 遊者
交差点に向かって
49/99

第四十九話 交差点の先

~ベータ視点~

「俺達の目標に近づいたな」俺の後ろを付いてきてくれる二人に話しかける。厳密にいえば一人だな。クロは抵抗者であり俺の保護者のような存在。


俺達に含まれるのは言うまでもないが、アミスのことだ。彼女も俺と同じで神の門を探し出そうとしていた人物の一人だ。一度概念が消えたという理由で辞めていたらしいが情報屋の俺の話を聞いてまた再開した。


「うん。でも、ブレイクと、別れる、ことになった」喜びと悲しみが混じった声が後ろから聞こえる。それもそうだ。気の合う仲間なんて中々いないし、三ヶ月間馬鹿みたいに笑って怒って過ごした。いきなりそれを取り上げられたら誰だってこんな反応をするだろう。


「心配すんな。あいつとブランさんは来るよ」振り返ってアミスの頭を撫でる。確証はないが、アイツはあんなところで止まるような奴じゃない。仲間のために行動する男気のあるかっけぇ人間だ。


「本当?」目に涙を浮かべながら聞いてくる。


「本当だ。クロに誓うさ」横にいたクロの胸を鎧を上からコンと叩く。顔が覆われていて見えないからわかんないけど怒っているような気がする。


「なら、行こう」少女は納得したように頷き前を歩き始めた。俺たちは神の門の先、不可思議の領域というところに踏み入っている。複雑怪奇に入り乱れたこの空間に入るにはエンドレスと呼ばれる番人を倒し、かつ三日月が浮いている状態でなければならない。


「そうだな」少女を追いかけるように歩く。後ろからの圧が怖いが無視をしよう。変なことを言って殺されるなんてまっぴらごめんだ。気が付けばアミスを越して俺がまた先頭になった。


ただひたすらに三日月を目指して歩き続ける。なんで俺達がここまでこの空間に固執しているのか。それは死者を蘇らせるというのに起因している。俺は両親を蘇らせたくてここに来て、アミスはかつての戦友に謝りたいということだった。


自分だけ逃げて助かったことに落ち目を感じている、というのは日常生活にも出ていた。他人の目を気にしているのはもちろんのこと、声も上手に出すことができない。


俺たちは彼女の状況を薄々だが気が付いていた。ブレイクは分からないが、俺とコンタクトを取ったときに赤裸々に教えてくれた。その時に俺は彼女のことを少しは信頼してもいいと思った。


完全に信頼を寄せるようになったのは山登りの時だろう。身を挺して俺を護ってくれた。彼女は俺を戦友と重ねていただろうが、心の底が暖かくなった。両親からもらうことができなかった優しさ。それをくれたのが彼女だった。


なんで俺両親に会いたいのか。それは会ったことが無いからだ。言葉で聞いたことはあったが実際に見たことが無い。理由は俺を生んですぐに死んでしまったから。


だから俺はここに来て二人の顔を見て感謝を言いたい。生んでくれてありがとうって。もう円環の理の中に入っていて会えないかもしれないが、それはその時に考えればいい。今はアミスを戦友のところまで案内するのが俺の優先事項だ。


なんて考えていると俺達の目的地である場所に辿り着いた。不可思議の領域の最奥部。想い人の停留所と呼ばれるところ。ここには死んでしまった一番大事な人が現れる。最も転生していないのが条件だけどな。


「ラヴィ、ラヴィ?」アミスは倒木に腰かけ、鼻歌を歌う女性に向かって駆けて行った。枝が自由に伸び、花が咲き誇り、鳥たちがさえずり、遠くからは水が流れる音が聞こえる。辺りを見渡すが俺の両親は,,,いないみたいだな。


「アミス、俺たちは向こうにいるからな」俺は金髪の少女と白髪の女性の横を通り過ぎ、出口に向かう。この場所は俺にとってもう用は無い。返事を待たずに俺達は外に出た。暗闇を抜けると二人の人間が立っていた。蒼い髪の男と赤みのある茶髪の女性。ブレイクとブランさんだろう。


俺の読み通り、ここに来たみたいだな。折角だし、俺の次の目的である上位者を殺すことを手伝ってもらえるか聞いてみるか。アミスは来るかな,,,正直ここで終わりな気がする。彼女は彼女に会うことを望んでいたからな。


「お、ベータどこに行ってたんだよ?クロも。ブランがいなかったら俺は虚無で死んでたぞ!?」俺を見つけるや否やブレイクは俺に掴みかかってきた。そして拳には明らかな殺意が込められていた。


「おっかしいな?俺は右に曲がって良いって言ったんだが??」記憶を思い出しながら詰めていく。こいつがここに来たのは自分の意志があったからだ。死にかけたのを俺のせいにするってのもお門違いな話じゃないか。


「ぐっ,,,,,,,,,,なにも言い返せない」ブレイクは俺の胸元にあった拳を広げ、そのまま地面に倒れ込んだ。所謂土下座と呼ばれる態勢だ。こいつは非があると分かった瞬間に謝罪ができる人間だ。そういうところを含めて俺はブレイクのことを信頼しているのかもしれない。


「だろ?ま、俺はお前が来ることを期待していたからな。助かるよ」肩に手を当て馬鹿にするように笑う。こいつは正直でまじめだ。だから人の手の上で踊ってしまう。本当に面白い。


「馬鹿にしながら言っても説得力無いぞ」手を払いのけてブレイクは威圧する。でも怖くはない。戯れに近しいものだ。


「はは、んなことこの三ヶ月間で分かってるさ」


「ならすんなよ!」的確で素早いツッコミが飛んできた。


「おもろいからな。で、こっから本題だ」


「なんだ?お前が真剣な顔するなんてよほど大事な事なんだろうな」


「あぁ。俺の話を聞いて付いてくるかどうか決めてくれ」


~アミス視点~

ようやく会えた。私の恩人。そして謝らなければならない人。私の力不足が招いた彼女の死。寝る前になるといつも思い出す。ラヴィの最後の顔を。笑顔にも見えたし、泣いているようにも見えた。今答え合わせができる。


「アミスがここに来たってことは死んだわけじゃなさそうね」綺麗な白髪を揺らしながら近づいてくる。長い髪の毛をポニーテールでまとめ上げ妖艶さが際立っている。何よりも宝石のルビーの様に美しい瞳に目線が引き込まれていく。


「それで、何の用で来たの?」頬を撫でながら聞いてくる彼女に嘘は吐けない。嘘を吐くつもりもないけれど。


「謝りたくて来た。私の力が足りなかったからラヴィが死んだ,,,」


「謝罪ならあの時からたくさん聞いたわ。死後の世界にまで聞こえるなんてどんだけ自責してるのよ」謝罪をしようとした私の言葉をかぶせ、最後にはデコピンをして笑った。まるで私の心に取り巻いている感情を見透かしている様に。


「それにね、私はアミスに生きていてほしかった。だから戦場に残った。それだけなのよ。もう自分を責めないで自分の人生を歩んで。それでまたここに来て話をしましょう」彼女はいつもそうだ。私のことを考えて行動や発言をしてくれる。あの時も___

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