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「聞いてくれよ瀬川~」
冨永はイスの上で身を捻るなりそう言った。僕は机に広げていた教科書とノートをきれいに揃えて引き出しに入れる。
「スマホ壊れたんだよ。昨日ネットしてたらさ、いきなりぷっつり切れて」
冨永は身振り大きくそう説明する。僕は「大変だね」と返した。
「だろー?瀬川ならわかってくれると思ってたぜ。お前いっつもスマホいじってるもんな」
そう言われた僕の指は、もうすでにスマートフォンの画面を滑っていた。
「瀬川っていつも何見てんだ?YOUERTUBE?」
冨永が画面を覗き込もうとしたので、僕はあからさまな動きでそれを回避した。今見ているのは何でも屋従業員の掲示板のようなものである。極秘事項だ。
「でさ、俺今日スマホ買い換えに行こうと思ってんだけどさ、よく考えたら今日放課後部活なんだよな」
冨永はここで気の済むまで笑い声を上げると、また喋り出した。
「なら明日って思ったけど、明日も明後日も部活なんだよ。うちの部活休みねーの」
そりゃあそうだろう。この学校のサッカー部は数年前に全国優勝したことがあるし、サッカー推薦での入学者も多い。要するに、冨永の参加しているサッカー部はこの学校の主軸なのだ。
「仕方ねーから土曜の朝行こうかなって思ってんだけどさ。っていうか俺土日も昼から部活なの。マジ多忙」
冨永が演技がかったため息をつく。その時、教室の前のドアから出し抜けに教師が現れ、その早めの登場に生徒の何人かがブーイングをした。
「授業始まる前に昨日のプリント返すぞー。名前順に取りに来い」
プリントをバサバサと掲げてアピールする教師に、前に向き直った冨永が「まだ休憩時間なので休憩したいでーす!」と叫んだ。教師が冨永のところまでやって来て、その頭をプリントでパンと叩いた。




