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僕は湯船に右手を突っ込むと、無言でその手を引き抜いた。蛇口をひねって水を出す。お湯の温度を少し熱くし過ぎたようだ。
たまに湯舟に湯を張るとこうだ。僕は風呂は基本的にシャワーで済ますが、冬の寒い日には湯舟に浸かりたくなる。一般家庭では母親が湯を張っておくのだろうが、この家ではそれは姉の仕事だった。そして姉は今いない。
僕はゴボゴボと音を立てて蓄積されてゆく湯を眺める。湯舟がいっぱいになるまであと五分ほどだろうか。帰ってきたばかりで身体が冷え切っているので、早く温かい湯に浸かりたい。




