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「また雨ですか……」

顔を上げた荒木さんがそう呟いた。僕はちょうど店内にファイルを取りに来たところで、一呼吸おいてソファーの店長が返事をした。

「最近多いよね」

「ですよね。今日傘持ってきてないんで、帰りまでに止むといいんですけど……」

「どうせまた通り雨でしょ」

楽観的な返事をする店長に、荒木さんも同意するようなことを言った。八月に入ってから通り雨が多くなった。それに比例するように客の入りは減る一方だ。

「瀬川君はちゃんと傘持ってきてる?」

荒木さんの質問に僕は首を横に振って答えた。

「やっぱ置き傘しとかなきゃダメかな?」

彼女は呟くようにそう言い、再び目の前のファイルに視線を落とした。確かに、考えたこともなかったが、置き傘というものはいつか役に立つかもしれない。




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