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店への暖簾をくぐると、A4サイズのファイルが縦に回転しながら飛んできた。僕は首を捻って間一髪それをかわす。ファイルを投げ飛ばした荒木さんは僕の登場に気付く様子なく店長にこう捲し立てていた。

「いいですか、女の子においそれと体型の話をしちゃダメなんですよ!女性の約九割は万年ダイエッターなんですから!」

「わかったわかった、わかったから物を投げないの」

「反省の色が見えません!」

僕は荒木さんの目の前にある食べかけのコンビニスイーツを確認した。おそらく店長が買ってきた物だろうが、僕はもらっていないのはどういうことだ。

「大丈夫大丈夫、雅美ちゃん普通の子よりスマートだよ。自信持って」

「そんな取って付けた様なお世辞はいりません!」

僕は自分の存在をアピールするために仕方なく二人に近づく。おそらくずっと前から僕に気づいていたであろう店長と、僕の出現に驚いている荒木さんが同時にこちらを向いた。荒木さんは振りかぶった資料の束をそっとテーブルに置いた。

「あ、瀬川君、どうしたの?」

荒木さんは腰を下ろし、居住まいを正すとそう問い掛けた。僕は本棚の資料に用があると答えた。

「リッ君の分のケーキ冷蔵庫にあるよ。チョコレートケーキとプリンどっちがいいかわからなかったから二つとも買ってきた。食べるよね?」

僕は店長に「ありがとうございます」とだけ言って、本棚から目当てのファイルを抜き出すとさっさと店の裏へ戻った。途中で台所に寄り冷蔵庫の中を確認する。ケーキの入ったコンビニ袋を取り出して、少し迷ったが結局自分の部屋へ向かった。店の方からかすかに二人の声が聞こえてきた……。




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