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六月八日、月曜日。朝起きると頭が重かった。身体も怠い。ここ数年体験していなかったから初めはわからなかったが、そのうち僕はこれを風邪の症状だと認識した。確か昨日の帰りは雨に濡れて、しばらく着替えもせずに仕事をしていた。十中八九それが原因だろう。

僕は五秒で学校を休む決心をすると、再びベッドに横になった。僕は授業をサボったりすることはほとんどないので、一日二日休んだって優に卒業できるだろう。学校なんかどうでもいいが、職場には連絡をしなければならない。僕は枕元のスマホを手探りで引き寄せた。

【風邪引いたので今日仕事休みます】

苦渋の決断だ。本当は学校は休んでも仕事は休みたくなかったのだが、この様子だとどうやら熱があるらしい。店長や荒木さんにうつしてもいけないので、今日は一日家でおとなしくしているのがいいだろう。

店長からの返信は早かった。

【了解。大丈夫?】

僕はそれに【熱があるようですが明日は行きます】と返す。すぐに【別に無理して来なくてもいいよ。薬のんだ?】と返ってくる。

【薬はたぶん家にありません】

この家の救急箱なんてもう年単位で開けていないが、おそらく薬はないだろう。風邪薬が常備してあるような家ではない。むしろ救急箱さえないかもしれない。

どうやら父親は昨日も帰って来なかったらしく、家の中には物音ひとつしない。自分の呼吸音がやけに大きく聞こえた。寂しいってこういう感情だったっけ。

僕は手にしたままのスマホに店長からの返事が届くのをただひたすら待っていた。




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