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放課後、鞄を肩にかけて席を立った際、黒板の隅に書かれた文字に気が付いた。【四月二十九日、日直は宿題プリント回収して川西まで】と書かれている。今日の日直は僕だ。教卓には乱雑にプリントが置かれている。

僕はその場で教室を見回した。この学校は偏差値が低いせいか、今からプリントをやり始める生徒も何人かいる。教卓に提出された枚数はクラスの半分程だろうか。

僕は鞄から数学のプリントを取り出して教卓に近寄った。まぁ半分も提出してあったら上出来か。何故みんな他の授業中に片付けようとしないのだろう。僕なんて日直の日誌も授業中に書いた程なのに。

なるべく目立たない静かな動きで教卓上のプリントをまとめ教室を出る。今からやり始めた人達に咎められたら迷惑だ。だいたい、この課題が出たのは三日前なのに今やる方が悪いじゃないか。自分で職員室まで持って行けばいい。

「瀬川」

教室を出てすぐ名前を呼ばれて足を止めた。振り返ると男子生徒がプリントを差し出して立っていた。僕の後ろの席の奴だ。確か名前は朝波。

「悪いけどこれも頼めるか」

差し出されたプリントが数学の課題だと認識してから、僕は無表情で快くそれを受け取った。朝波は短く礼を言うとさっさと廊下を歩いて行く。僕はもう誰にも捕まらないことを願いながら、急ぎ足で職員室へ向かった。




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