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【シン屋根裏の散歩者】  作者: 石田ヨネ
第三章 調査、GOGO郷田歯科

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12 一種の――、アナロジー的な、知的な思考ゲーム




          (1)




 朝になってからのこと。

 その、六本木の高級ホテルでは、


 ――ドワッ、ン――!!


 と、勢いよくドアが開けられ!! ホテルマンたちがなだれ込んできた!!

 客室から、『いっしょに泊まっていた女が爆殺されてしまった』との内線があったゆえ、急いで駆け付けたのだ!!

「うっ!? うわぁぁ〜ん!!」

 男のホテルマンが、驚きのあまり絶叫する!!

 それも、無理はない――

 ベッドが血で赤くまみれ、顔が、見るに堪えないほど無残な状態になってしまった女の爆殺死体が横たわっていたからだ。

 そして、当然のことながら、警察が呼ばれることになり、今にいたる――

 ――――

 ――



「おっほぉ……、なかなかに、いい部屋っすねい」 


 と、まず、感心したように言ったのは、碇賀元だった。

「は、はい……」

 支配人と思しき男が、困惑した様子で答える。

「ここ、一泊、おいくら万円なんすか?」

「は、はぁ……」

「あ、あの、刑事さん? た、タバコは、」

 とここで、ホテルマンの女が、碇賀が手にしていた電子タバコに気づく。

「ここも、愛擦はダメかねい? 愛・擦チャレンジ、失敗か……」

「チャレンジやめるでござる。てか? ハマってんの? その『愛・擦』?」

 と、相方の賽賀忍に、碇賀元がつっこまれていたところ、 


「うぃ~……、清水子のヤツから頼まれて調査に来たぞぉん。ああ、クッソだっりぃ……、腰痛てぇ」


 と、くたびれた様子の綾羅木定祐が入ってきた。

 また同じく、

「ああ……、腰、痛った」

 と、上市理可も続いた。

「ああ、松もっちゃんの旦那さん」

もとだっての。ぶっ、飛ばすぞ」

 と、碇賀元と綾羅木定祐がやりとしりていると、賽賀忍が、

「ちなみ、綾羅木さんたち? 昨夜、新宿のラブホテルで【怪現象】があったみたいなんだけど……、『床や壁から人間が出てきた』って目撃談が、数件あって……。何か、知ってる?」

「「いや、何にも、知りま、せん……!!」」

「そう」

 と、ふたりは昨夜の調査について触れられ、ドキッ――!? とするも、シラを切る


 それはさておき、

「と、とりあえず、現場を見ましょうよ、ガーさんたち」

 と、気をつかった様子で声をかけてきた群麻と、

「おう!! はぁくしろよ!!」

 と、苛立った様子の中年刑事の谷岡が、把握するように急かしてきた。

「う、ういっしゅ」

 碇賀元は答え、ここはさすがに、ちゃんと調査に加わることにした。

 そのようにして、現場を見てみる。

 まずは、やはり、天井に【穴】が開いていた。

「おっほぉ、やっぱ、天井に【穴】が開いてんねい」

「む、ぅ……」

 碇賀元の言葉に、綾羅木定祐が目を凝らして見てみる。 

「天井に、あ、あなっ――!! あっ、たし、かに」

 と、上市理可も確認しつつ、

「あな、A、N、A――。さて、ここで質問です。【JAL】と、【ANA】が、もし合併するとしましたら、どんな名前の会社にしたい、ですか? おまいら?」

「「「おい、やめロッテ。最低かよ」」」

 と、綾羅木定祐の唐突な問いに、複数人のつっこみの言葉が重なる。

「いやいや、何故に、最低などというのかね? そもそも、そう思うからには、おまいらたちが、やましいナニカを考えているからではないのかね? 少なくとも、おまいらの心が汚いのだ。いいかね? この質問の、隠された意図を考えてみたまえ? これは、一種の――、アナロジー的な、知的な思考ゲームだよ」 

「あ、アナ、ライズ!」

「「「うるせーよ、黙れよ、変人コンビ」」」

 と、綾羅木定祐と上市理可のふたりに、碇賀元たちを除く数人から再びつっこみが入った。


 ――気を取りなおして、話を先に進める。

 穴の向こうの、天井裏について調べたのち、いったん穴のことは置いて、

「それで、このガイシャについても、他と同じく、例の歯科――、【GOGO郷田歯科医院】に通っていたそうだ」

 と、刑事の中年がいうと、

「ご、GOGO郷田って……!! り、理可氏、」

「プッ……!! く、く……、く、」

「おい、笑ってんじゃねぇぞ!! お前ら!!」

 と、歯科医院の名称に、綾羅木定祐と上市理可のふたりは思わず笑いそうになるのをこらえる。

「これで、ガイシャについて、すべてGOGO郷田歯科医院に通っていたということから、この歯科医院について調査をしなければならないな」

 中年が、そう言った。

「マ――?」

 その言葉に、綾羅木定祐が「マジ、すか?」の顔をする。

「ああ。『マ』に対して、『ア、ア』だ」

 と、刑事がドヤ顔で、面白くない返しをする。

 その刑事たちに、また綾羅木定祐が、

「はぁ、そんな、トンデモな説で調査を進めるのかね?」

「トンデモだと? 失礼な」

「ちなみに、綾羅木さんたちは、何か考えがあるんですか?」

 とここで、無二屋が聞いてきた。

「はぁ? 私らの、考えだと?」

「人のことをトンデモというからには、何か考えがあるんだろ? “探偵”様は?」

「はぁ、めんどくせぇな。理可氏、説明してよ」

「は? 私が、するの?」

「うん、そうだ。私は、鉄の意志を持って、説明をすることは、ない……。この、鋼鉄の綾羅木は、な――」

「いや、説明しろよ。めんどい」

 上市理可は嫌そうな顔をしながらも、

「おう、はぁくしろよ」

 と、刑事の谷岡が急かしてくる。



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