第7話 迫間谷という男
第7話 迫間谷という男
(ナ):朝、早々に歩き始めた一行。すると、
珍しい事に人間の声が聞こえた。
(?):おらぁ!ぐらぁ!これでも喰らえっ
てんだ!
(戸):あそこに誰かいるな。
(貴):人間ぽいですね。
(紗):怖い。
(愛):確かに優しくは見えない。
(彩):こんな世界だ。1人でいたらそうなるよ。
(ね)(の):それにしても怖い。
(ナ):その男は高級そうなスーツに竹刀という
何ともアンバランスな格好でゾンビを
薙ぎ倒していた。彼の服は破れるどころか
傷一つなく、あるのはゾンビの返り血だけ。
こんな人間が世界にいたのかと一行は
鳥肌が立った。
(?)あ?なんかこっち見てんなぁ。こっち
片付いたし、見に行くか。久々の人間
だしな。
(貴):こっちに来る!
(?):あら?そちらさんゾンビ飼ってる?
(戸):ゾンビなんて居ませんよ!
(?):あ?下手くそな嘘つくな!そこにゾンビがいるじゃあねぇか。[貴哉を掴み、引っ張り出す]
(貴):やっぱ俺か。
(?):何!こいつ喋っただと?ゾンビのくせになんて野郎だ。と、とにかく倒す![竹刀を
貴哉に向かって振る]
(貴):[竹刀を避ける]危なっ!
(?):なんだこいつ、喋るし速く動くし。
(貴):それは俺だって知りたい。
(?):知っ、知った事か![竹刀を先ほどより
速く振る]
(貴):[竹刀を掴む]話くらい聞いてくれませんか?
(?):くっ、このゾンビ強い。この![竹刀を
取り返し、高速で乱れ打ちする]
(貴):勘弁してください。[全て避け、竹刀を
取り、男を拘束する]
(?):くっ!まいった!まいったから離して
くれ!
(貴):もう危害を加えませんか?[拘束を少し
きつくする]
(?):わっ分かったから!離してくれ!
(貴):わかりました。[拘束を解き、竹刀を
取る]
(?):お、おい!竹刀を返せよ!
(貴):まだ信用したわけでは無いので。
(?):くっ!仕方ねぇな。
(貴):俺は真田貴哉。普通の高2だったが、
なんやかんやあって半分ゾンビになった。
それで、戸坂さん、山本さん、篠崎ねね、
のの、まなお姉ちゃん、妹の紗季。
あなたは?
(?):俺は迫間谷龍。龍崎會會長をやって
たが、息子たちは全員ゾンビになった。
俺はなってないが。
(戸):ちょっと待て!今迫間谷龍って、
言った?
迫間谷龍(龍):ああ。それがどうした。
(戸):迫間谷龍、龍崎會會長といえば
中畑の龍に敵なしと言わしめた最強のヤクザ
じゃないか!
(貴):え?ヤクザ?
(龍):ああ。今となっちゃ會はもうないが。
(龍と貴以外):(やばい、殺される。)
(貴):へぇ。そうなんですか。
(龍):そういえば少年。
(貴):なんですか?(怒ったのかな?)
(龍):お前、その能力俺にくれないか?
(龍と貴以外):(やばい事言ってる……。)
(貴):それが、あげられるならとっくに
誰かにあげてるんですよ。
(龍):ほう、お前だけの特別なもんか。
(龍と貴以外):(絶対怒らせた!)
(貴):そういう事になりますね。すみません。
(龍):まあ、仕方ねぇな。変な事言って
悪かったな。
(龍と貴以外):(よかった……!)
(貴):いえいえ。
(龍):その能力はそれ(ゾンビ)になって
からか?
(貴):はい。俺、元々帰宅部なので運動とか
嫌いなんですよ。
(龍):そうか。
(貴):あの、俺らと一緒に元凶を倒しに
行きませんか?
(龍と貴以外):(何言ってるんだよ!絶対
嫌だって!)
(龍):元凶?お前ら、元凶が誰か分かってるのか?
(貴):ええ。分かってます。
(龍と貴と彩以外):(ちょっと待って!
知らない、知らない。)
(龍):そうか。じゃあ俺も協力させてくれ。
息子たちの敵討ちもしたいからな。
(龍と貴以外):(おっ、OKした!!)
(貴):ちなみに、その元凶は富士川原大学
教授、渋野木聡太です。
(龍と貴と彩以外):(へぇ〜。そうなんだ。
いつ分かったんだろう?)
(龍):そうか。よし、探そうか。
(ナ):ヤクザの世界でも名高い龍崎會。
その會長、迫間谷龍。迫間谷が仲間になり、
更に強力になった一行。道中、迫間谷から
様々な話を聞いた(聞かされた)。部下たち
3万人を竹刀で全て薙ぎ倒した事等。
一行は渋野木を目指し歩く。次回2115年に
生きる者たち、第8話、長い道の始まり。
第7話 完