幕開け
どうも初めまして、SMACKです。
初投稿初執筆につき拙い小説ではありますが、皆さんの暇を潰せたら幸いです。
人は死ぬ瞬間走馬灯のように今までの人生を振り返ると言うが、それは嘘だ。何故なら俺が死ぬ瞬間は何も思い返す事が無かったからだ。
最初から話そう。
俺はいつものようにコンビニで晩飯の弁当を買い、自宅であるアパートへと帰る途中だった。信号待ちしていると対向車線から猛スピードで走るトラックがいた。危ないなぁなんて思っていると、暴走トラックはカーブを曲がりきれず歩道にそのまま突っ込んだ。
「マジかっ!」
歩道にいたのは俺だけ。つまり俺は暴走トラックのボディーアタックを1人全身で受け止める事になってしまったのだ。勿論勢いを殺すなんて事は出来ず、ピンボールのように跳ね飛ばされた俺は全身の痛みからか即座に意識を失った。
そして現在に至る。
俺は何をしているのかと言うと、自分の死体を上空から眺めていた。俗に言う幽霊って状態なんだろうか。
「それにしても派手に吹っ飛んだなぁ……10メートル以上はあるだろ。それに何ともスプラッタな死に方だな」
俺の体はあちこちから骨が飛び出し関節は曲がっちゃいけない方向に曲がりまくっている。夜の遅い時間帯だ、目撃者はいないしトラックもそのまま走り去ってしまった。
「マジか〜、轢き逃げるかぁ〜」
せめて潔く通報してくれれば事故の責任だけで済むのに、轢き逃げるとは……呪ってやろうか?
「物騒な考えはそこまでにしておけ」
「でもこれじゃあ俺が浮かばれないだろ?」
「あの運転手にはそれ相応の罰が与えられるからそれでお仕舞いじゃよ」
「そっか。それならいいか……って誰!?」
振り返るとそこには杖を持った爺さんがいた。真っ白なローブに身を包み、長い白髪と白髭。何かいかにも神です!と言いたげな風貌の爺さんだ。
「いやいや、儂は神ではない」
いきなり心を読んできたか……
「……じゃあ爺さんは何者なんだ?」
「儂は魂の管理者じゃ」
「魂の管理者ぁ?」
「左様、幾つもの世界で生まれでる命と消え行く魂の管理しておる存在じゃ」
「……そんな爺さんが何故ここに?」
「うむ、実はお主の死は予想外の出来事でのぉ……何と言えば良いのか……その、儂のクシャミでトラックは速度を落とせずにカーブを曲がりきれなかったのじゃよ」
「……つまり俺の死因はあんたのクシャミか?」
「そうじゃ、誠にすまんかった」
「すまんかったで済むかー!!ふざけんな!さっさと俺を生き返らせろ!」
「それが出来んのじゃよ……再び肉体に宿るには新しい肉体が必要なんじゃ。それともあの肉体に戻るか?」
「ふざけんな!傷を癒やして戻せば良いだろうが!」
「儂にはそこまでの干渉は出来んのじゃ……誠にすまんかった」
「はぁ……どうしてくれるんだよ、まだ21だぞ……」
俺は先月誕生日を迎えたばっかりのピチピチ20代だ。こんな若さで死んでしまうとは……親父、お袋、先立つ不幸をお許し下さい。
「ふむ、まぁ1つ手が無い訳じゃあないんだがな」
「マジか!?どうするんだ!?」
「こことは違う世界、異世界に転生するのじゃ」
異世界キタコレ!テンプレトラックときたら、やっぱり次に来るのは異世界か!
「その世界はこちらの世界のように文明的には発展しておらぬ。だがしかし、それを賄って補う程魔法が栄えている世界じゃ。文明は地球で言う中世ヨーロッパ辺りが近いかの。それに魔獣の存在もある」
「爺さん、俺にそんな世界へ裸一貫で乗り込めと言うのか?」
「心配せずとも良い。お主の希望を1つだけ叶えて転生させよう。何かリクエストはあるかの?」
よしっ!ここまでの流れもテンプレ通りだ!さてどんな力を手に入れようか?いっその事、何でもありなチート能力満載で転生するのも悪くないな……
「流石にそれは無理じゃ。人としての能力を大幅に超えちょる」
……そうだった。心は読まれるんだった。そうだなぁチートがダメなら何があるかな……
「そろそろ時間じゃが、決まったか?」
「ん〜……そうだ、俺が持っている鬼オンの全キャラクターの能力をくれ!」
「鬼オン……確か鬼オンラインと言ったの……ふむ、この程度ならまだ許容範囲内じゃな」
「……いけるのか?」
「良かろう」
爺さんは手にしていた杖を俺の体へと突き刺し、ブツブツと何かを唱える。すると杖が光を帯び、同時に体がポカポカとしてきた。これで俺は鬼オンの力を得た事になるのか?
まだ実感が湧かないけどな。
「………………終了じゃ。それ、そこの扉を潜れば異世界へと行けるぞい」
爺さんが指差した方を見ると、空間に破れ目が出来ており、その先から光が溢れ出していた。
「お主には本当にすまん事をした。今度の転生先では儂の加護を掛けておく。いつか役に立つじゃろう」
「……今度はうっかりだけは止めてくれよな」
異世界転生というフラグ回収をした俺は、地球での自分の死を受け止め、新たな世界へと旅立った。




