Episode #02「Battle Ring Arena」
バトルリングが薄暗い照明で照らされる
アナウンサー
「本戦のバトルフィールドは
ランダムウォールになります!
このフィールドはK・Bの
最も得意とするフィールド!!
挑戦者アインはどう切り抜けるのでしょうか!」
<ランダムウォール>
様々な材質、大きさの壁が不規則に並べられた
メジャーなバトルフィールド。
丸を直線に切った形で道が開けている
障害物が多い為、銃撃戦よりも接近格闘戦や
罠等を設置して待ち構える頭脳戦向き
アインは脚部に取り付けられた
ハンドマシンガンを握り、構えた
アイン
「ランスが言っていた奴の特徴は・・・
罠を仕掛けて待ち伏せる・・・
そして、やられた奴らは全身火傷・・・
なら、仕掛けられる前に仕掛けるか!」
敵機に向かって乱射しながら
一直線にスピードを上げ、突っ込んでいく
K・B
「愚直な・・・」
近くの壁へ即座に身を潜める
アイン
「だよな」
乱射を止め、減速しつつ周囲を警戒する。
アイン
「慎重に行ってみるか?」
恐る恐る前へ進む・・・
数メートル進んだ時、前方から何かが跳んできた
アイン
「グレネード!?」
咄嗟に身を翻し壁の裏へに逃げ込む
その瞬間グレネードらしきモノから煙が噴出した
アイン
「煙幕弾か!コレはマズイかな・・・」
防塵マスクを掛け、
センサーを有視界から熱探知に切り替える
アイン
「なんじゃこりゃあぁぁぁ」
思わず驚嘆の声を上げる
理由は簡単だ、反応がどんどん増えているのである
アイン
「なんかばら撒きやがったな!
火、か?火が出てるって事は焼煙弾か」
次々に熱源反応が増えていく・・・
アイン
「サーモじゃダメだ!えっと・・・コレならどうだ」
電磁探知機能を起動させる
<電磁探知機能>
機体を駆動させた時に生じる、
静電気や電磁波を探知する装置。
主に、隠密行動の阻止に使用される。
アイン
「コレなら行け・・・ねぇ!
ダメだチャフ撒きやがった・・・
あっちの方が一枚上手か」
K・B
「革命戦争のトップエースと聞いてたけど
こんなモノか・・・拍子抜けだな、ふん」
装填されていたマガジンを捨て、
予備の弾を込め直す
アイン
「コレで残るはソナーだけ・・・だが!」
フットローラーを駆動させ
火の壁を抜け直線の通路に躍り出る
アイン
「俺の読みが正しければ・・・」
そう言うと、無作為に銃を乱射し、
壁を殴り倒し、破壊し出した
K・B
「パニックか?情けない
それとも壁を全て壊す気か?
飽いてきたな・・・そろそろ締めるか」
球形のボールのようなものを空中へ放り投げた
アナウンサー
「!!!
皆さん耳を塞いで下さい!」
球はアインの居る中央の中空で破裂した
と、同時に強烈な音を発生させる
何の防備もなくこの音を聞いた場合、
鼓膜が弾ける程度の音が響き渡る
アイン
「よし、読み通りだ
ソナーは切っておいて正解だった
だが、相手の位置が全く分からん
煙幕も消えそうにない・・・どうするか」
完全な手詰まり・・・成す術がない
まだ負けたわけじゃない
でも、勝つ為の答えが出ない
K・B
「さて、そろそろ仕上げといきますかね」
無作為に放っていた弾も切れ
交換をしようと立ち止まる
アイン
「・・・なんだ?
妙な汗が流れる・・・」
そう言いつつも目の前の鉄板の壁を
押し倒そうとすると・・・
アイン
「!!」
押し倒そうとした鉄の壁がバキバキと
音を立て火花をあげる
アイン
「なんだコリャ!?
エレクトロボム?なんて危険なモノを
仕掛けやがる」
<エレクトロボム>
主に扉などに仕掛ける
対人&小型兵器用のトラップ
直接触れると全身が焼け爛れる程の
電流の洗礼を受ける
アイン
「これが全身火傷のトリックか・・・
あいつの予想通りだが
こりゃ迂闊に壁が壊せなくなったな」
八方塞、相手の位置は分からず
察知する方法も全て防がれた
アイン
「こうなったらアレをやるしかない」
脚部の噴出口を開き天高く飛び上がった
K・B
「姿を晒して誘ってるつもりか
乗る程、私の尻は軽くない」
アイン
「撃ってくるほど間抜けじゃないか!
でもコレで煙幕からは抜けられる」
入場口付近へ着地。
アイン
「振り出しに戻っちまったな」
アナウンサー
「アイン選手!リング内へ戻ってください
10カウントで失格とみなします!」
アイン
「そういや、そんなルールだったな」
そそくさと、リングに戻っていった
アイン
「・・・さっきより煙幕が濃いな」
より一層煙幕が濃くなっている
有視界で見える範囲は2m程度が限界だった
アイン
「かと言って他のセンサーはダメ。
更にソナーは危なくて使えない・・・」
あいつの言葉が脳裏を過る
アント
「お前は一生、負け犬なんだよ。」
アイン
「俺が負け犬?ふざけろ、あの頃に戻ってたまるか!
冷静になれ・・・相手は待ちの戦法。
なら、先に動いた方が不利、
ここはこちらも待つのが上等」
何分経っただろうか・・・2分?5分?
両者は一向に動こうとしない
K・B
「動く気がないか正しいといえば正しいが
それではまるで御預けを食らった犬だな
なら直接、御褒美をくれてやろう」
時間の経過と共に徐々にだが煙幕が薄れてきた
アイン
「・・・来る」
気配の方向へ銃口を向け、放つ
弾は数発当たったかと思った矢先、
標的がハジケ飛んだ
K・B
「残念、それはダミー」
アイン
「後ろか!」
咄嗟に腰のホルダーからハンドガンを抜き
襲い来る敵に撃ち放つ
弾は相手の右胸、左腕に当たったものの
敵機は勢いそのままにアイン機の脚部に
置き土産を置き、走り去った
次の瞬間
アイン
「うわぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁあ・・・・」
全身に光が走る
目が白と黒の点滅を繰り返し意識が沈んでいく
直接ボディにエレクトロボムを
貼り付けられたのだ
K・B
「死なない程度に出力は抑えてある
2、3日は満足に動けないでしょうけどね」
アイン
「・・・くっそ、負けるなんて」
アインのバイタルサインが敗北レベルにまで落ちた
アナウンサー
「おっ?勝負が決まったようです!
チャンプの勝利です!
いやぁ~過去の挑戦者の中では
もっとも長持ちしたんじゃないでしょうか!?」
試合終了のゴングがカーンカーンカーンと、
三度鳴り響く
スプリンクラーと換気ファンが回りだす
K・B
「まぁそこらのファイターよりは使えるか」
そう言うと、ヘッドパーツを脱ぎだした
水に濡れながらも
真っ赤に燃えるような深紅の赤い髪
白磁を思わせる透ける様な肌を顕にした
アイン
「!?まさか・・・女!!?
俺が・・・女に・・・負けた!?」
そう漏らすとアインは気を失ってしまった
K・B
「・・・参ったな
連絡事項があるというのに
マネージャーの男に伝えればいいか」
ヘッドパーツを後ろ手に掴み控え室に戻っていった
Episode #02「Battle Ring Arena」 完
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