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第41話 ロリ天使さん、壊れる!(中編)

「しかし、参ったな。着替える場所がないぞ」


 この部屋の中にはパーティションがないので、何をするにも彼女たちから丸見えだ。

 さすがに39人に見守られながら全裸にはなりたくない。


「ご、ご心配なく! 私たちは気にしませんから!」


「俺が気にするんだけど……」


「それなら、私たちはその間に目を塞いでますね……!」


 『『『サッ』』』


 シルフィがそう言うと、全員とも両手で目を塞いだ。


「……うーん。まったく落ち着かんが、まぁ、いいか」


 男が恥ずかしがっても仕方ないしな。

 よし、堂々と着替えよう。


 『スチャ』

 『ファサ……』

 『ゴソゴソ……』


 ――というわけで堂々と全裸になったのち、紙パンツに履き替えた。


 股間がスースーする。

 いまさらだが、めっちゃ恥ずかしい。


「もう目を開けていいぞ」


「「「はっ!」」」


 両手を取り払った39人の女の子たちの目線が、紙パンツ一丁の俺の身体へと突き刺さる。


「「「おお……!」」」


 何の『おお……!』だよ。


「それじゃ、早速始めてくれ、マッサージ。とりあえずベッドで横になればいいのか?」


「はい……! あ、そのままだとベッドがオイルまみれになるので、バスタオルを下に敷きますね」


 そう言って、シルフィは後ろからバケツリレーのように渡された複数枚のバスタオルを手に持った。


 お、用意がいいな。

 あらゆる未来を想定しすぎだろ。



「「よいしょ、よいしょ……」」


 複数人の女の子がベッドにバスタオルを丁寧に敷いていく。

 俺の部屋のベッドはキングサイズより遥かにデカいので、頑張れば20人くらいは乗れるかも。


「セージ様! ベッドの準備が完了しました!」


 青髪の女の子が敬礼のようなポーズをする。

 下着まで透けている服を着てそのポーズはなんか新鮮だな。


「ありがとう。それじゃベッドで横になるよ」


 ――『バサッ』


 俺はバスタオルで敷き詰められたベッドで仰向けに寝転んだ。

 ゴワゴワしてるのかと思っていたが、意外と肌触りはいい。

 ふわふわしている。


「……セージ様……オイルには、普通のオイルと、温かいオイルの、2種類がありますが、どちらになさいますか……?」


 カチュアがベッドに両手をついて聞いてきた。

 顔近っ。


「あ、ああ。……へえ、温かいオイル? 面白そうだな。じゃあ、それで」


 パンツ一丁だと寒いからな。


「かしこまりました……」


 そう言うと、カチュアはベッドの上で女の子座りをして、シースルーのポケットから、ペットボトルサイズのオイル瓶を出してきた。


 四次元か。お前のポケットは。



「それじゃあ準備しますね〜! 部屋を暗くしま〜す!」


 ――明るい声の女の子が灯りを消す。


「お香、焚きます……!」


 ――凛々しい声の女の子がお香を焚く。


「音楽流します! 『休息音楽魔法リラックスミュージック』!」


 ――可愛らしい声の女の子が音楽を流す。



「……部屋の明るさとか、お香とか、音楽とかってマッサージに関係あるの?」


 俺がそう質問すると、シルフィは顔を赤らめる。


「は、はい! すべてセージ様のお身体をリラックスさせるためのものです!」


「ふーん、そういうものなのか」


 たしかに、このほどよい暗さはリラックスができるかもな。


 お香も優しくて甘い匂いだ。

 音楽も、どういう原理の魔法かは知らんが、部屋中にオルゴールのようなリラクゼーションミュージックが鳴っている。


 いいね。

 なんか結構リラックスしてきたかも。


 『バシャバシャ』


 カチュアが複数ある小さな桶にオイルを入れて、俺の身体の周りへ1つずつ置いていく。


「セージ様……。オイルマッサージの準備が、整いました……。大の字で、うつ伏せになってください……」


「お、準備できたか。じゃあ始めてくれ」


 俺はベッドの上でゴロンとうつ伏せになり、指示どおりに大の字で寝そべった。

 用意された枕は中心に丸い穴が空いてあるため、楽に呼吸ができる。


「それじゃあ、背中から塗っていきますね……」


 カチュアはそう言うと、俺の尻の上に座った。


 ――あ、軽い。

 体重は40kgもないだろうな。


 こんなに可愛らしくて小さな少女までハーレムに加えるとは、ロリ天使め……。

 しかし、彼女たちを助けるためには仕方なかったことだ。


 ……ほとぼりが冷めたら全員を解放しよう。


 『タラ……』


 オイルを背中に垂らし、そしてカチュアはすぐに両手で塗り拡げた。


 ん……?

 お、おお……!

 なんだこのオイル……本当に温かいぞ!


 塗られた瞬間、オイルは少しヒンヤリしていたが、すぐに温かくなった。

 どういう原理なんだ? これも魔法かな。


「セージ様、気持ち、いいですか……?」


「……うん、気持ちいいよ」


「良かった……。それじゃあ、手足にも塗っていきますね……」


「ああ、よろしく」


 俺がそう言うと、周りから「「は〜い!」」と言う複数人の声が聞こえてきた。


 『バタバタ……』


 そして、十数人ほどの女の子がベッドの上へ次々と上がってくる。


「お、お? なんだなんだ?」


「セージ様! わたしはセージ様の左手をマッサージしますね!」

「私は右手!」

「左足、いきます……!」

「あたしは右足にしますね~!」

「じゃあ、あたしも右足~!」


 などと言って、ベッドに上がった女の子たちは、俺の手足のそれぞれに3~4人ずつ付き、胴体にも追加で3人付いた。

 シルフィも俺の顔の前で女の子座りし、俺の首元をさわさわと撫でた。


 ……1人だけじゃなくて、各部位を複数人で対応するのか……!


 そして、それぞれの近くに置かれていたオイルの桶を手に取り、タラーっと手足や胴体にオイルを垂らし、馴染ませていく。


 『ヌル……ヌル……』


「お、おお……! これは、気持ちいい……!」


 通常のマッサージ店では1人の指圧師が徐々に全身をマッサージしていくものだ。

 しかし、彼女たちは集団でそれぞれの部位を担当することにより、最初から全身をマッサージできている。


 足の裏から首元まで、全身フルコースだ。

 しかも、中々上手いぞ……!


「セージ様! 気持ちいいですか……!?」


 俺の首を丁寧にマッサージしながら、シルフィは俺に尋ねた。


「うん! 凄く気持ちいいよ。正直驚いたよ、この調子で頼む」


 俺がそう言うと、シルフィは心底嬉しそうに「は、はい!」と答える。

 可愛い。


 ……これで生前の心残りも消えるというものだ。

 俺はいま、とても満たされている……。


 ――しばらくすると、ベッドの周りで見守っていた女の子たちも数人ほど近づいてきた。


「セージ様、少しお寒いでしょうか? 空調魔法で少し温度上げますね……」

「セージ様、喉渇きませんか? お飲み物をお持ちしますね!」


 ベッドの定員オーバーで、マッサージに参加できずにいる周りの女の子たちも、別の方法で色々気を使ってくれているようだ。


「ありがとう。どちらもよろしく頼む」


「「はい!」」


 元気よく返事をする少女たち。

 可愛い。


「――セージ様……」


 後ろから声がする。

 カチュアだ。


「うん、なんだ?」


「良ければ……少しだけ、腰を浮かせられますか……? こう、カエルさんみたいになる感じで……」


 カエルさんって。


「あ、ああ。分かった。……こうか?」


 俺はうつ伏せの姿勢のまま、クイっと尻を上に突き上げた。


「ありがとう、ございます……。では、失礼しますね……」


 ……ん?


 『ピチャ……ヌル、ヌルル……』


 !?


 なんと、カチュアが俺の紙パンツの中に手を入れ始めた。

 しかも『前』だ……!


「ちょ……! なにしてんの……?」


「『鼠蹊部(そけいぶ)』の……マッサージです……」


「え? ソ、ソケーブ?」


「身体の前面にある、腰と、足の付け根の、間……。ここに、大きなリンパ節があるんです……」


 『ヌルヌル……』


「リンパ節……! たしか、聞いたことがある。老廃物を流れ出す的な……?」


「そうです……。ここをマッサージすると、身体の老廃物を効果的に、押し出すことができるんです……」


 なるほど、たしかに疲れが取れていくような感じがする。

 それに……カチュアは一切、俺の物体Xには触っていない。


 とても『健全』だ……!

 変な想像を勝手にしている、俺のほうが不健全だったというわけだ。


「それじゃ、ソフィア……コニー……。同じようにやってみて……」


「「は~い!」」


 お?


 カチュアは別の2人組の女の子と交代した。

 そして、その2人は同じタイミングでズボっと紙パンツの中に手を入れる。


 『ピチャ、ピチャ……ヌルヌル……』


 おお、両側から……!


「「えへへ~、見よう見まねですけど、気持ちいいですか? セージ様」」


 2人組の女の子が謎のハモりボイスで鼠蹊部マッサージの感想を聞いてくる。


「ああ、気持ちいいよ……確かに疲れが取れてくるのを感じる」


 カチュアの繊細さには敵わないが、それでもかなり気持ちがいい。


「「やった~! それじゃ、どんどんいきますね~!」」


 『スチャ! ヌル、ヌルヌル!』


 !?


 速くない!?

 オイルだから、摩擦で怪我をしたりはしないが……。


 ……あ……。


 ……。

 ……なんか、変な感じがしてきた。


 もちろん、2人組は一切、俺の物体Xには触れていない。


 にもかかわらず、かなりきわどい部分をマッサージされているからか……。

 はたまた、血流が良くなりすぎたのか……。


 なにか下半身から危険信号が出てきそうだ……。


 ――と。

 今度は下半身とは全く関係ない場所から異様な音が聞こえてくる――。


 『ネチャ、ネチャ……』


 !?


 ボリュームでかっ!

 これは……。


 『ネチャ、ネチャネチャ……』


 なんと、誰かが俺の右耳を舐めている!


「だ、誰……?」


「ちゅぱ……。気持ち、いいですか……? セージ様……」


 カチュアだ。

 いつの間にか俺の顔付近に移動している。


「え、ええと。右耳を舐めてる、それって……マッサージだっけ、あ――」


 俺が言い終わる前より早く、カチュアは耳舐めを再開した。

 右耳を執拗に『ネチネチ』舐めてくる。


「く、うぉおおお!」


 頭を離そうとするが、両手両足を塞がれてるからか、大して離れることができなかった。

 頭を離してもなお、執拗に耳を舐めてきて、カチュアは一切離してくれない。


「シルフィちゃん、飲み物持ってきたよ……」

「ありがとう」


 カチュアとのそんなバトル中に、上から俺の首をマッサージしていたシルフィの声が聞こえる。


「セージ様、お飲み物です……!」


 シルフィはそう言って、グラスの飲み物を口に含み、俺に顔を近づけた。

 そして――。


 『チュ……』


 !?


 なんと、シルフィが口移しで俺に飲み物を飲ませてきた。


 『ごく、ごく……。ごくん』


 気づけば、全部飲んでしまった。

 俺に全部飲ませ切ったあとも、シルフィは口を離してくれず、そのまま舌まで入れ始めた。


「ん、んん……! ちょ、ちょっと待て!」


 俺は顔を揺らしてシルフィの口を離した。


「い、いまのキスは何……?」


 俺がそう聞くと、シルフィは顔を赤らめて答える。


「は、はい……! これも、セージ様のリラックスのためです。うふふ……!」


 絶対嘘だろ!


 ――さすがに、いくら鈍い俺でもピンときた。

 こいつら、『やる気満々』だ!

 最初からそのつもりだったか……!


 ――そしてふと、ベッドの頭のほうへ目を逸らすと、見慣れた小さな物体が空をぷかぷかと浮かんでいた――。


「いいなぁ~誠司さん、楽しそう……☆」


 楽しくねぇよ!

 いまは騙し騙されの心理戦真っ最中だ!


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