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第三章 【神の子】3.決断 パート2

神殿深部に向かう一行。

そこで待ち受けていたものとは?


三人は無言のまま、神殿中央にある玉座の間を目指していた。

神殿の敷地に入ったと思われる辺りから、地鳴りのような祈りの声が微かに聞こえてくる。

その声量だけで、どれほどの人々が神殿へ押し寄せているのか想像できた。


『凄いな……。』


思わずエリシアが呟く。


『確かに、ここまでとは思っていませんでした。』


バッカライも小声で応じた。


『でも、好都合なんじゃねぇか?これだけ騒がしけりゃ、多少音を立てても気づかれねぇだろ。』


フィンが口元を吊り上げる。


『おいフィン、油断は禁物だ。』


『はいはい、分かってるって。』


肩をすくめながら舌を出したフィンは、ふいに前方を指差した。


『もうすぐ神殿の井戸だ。先に外の様子を見ておこうぜ。』


『そうだな。ここから侵入する可能性もある……バッカ、どう思う?』


『確認しておくべきでしょう。フィン、登って外を見られるか?』


バッカライがジェスチャーで合図を送る。

フィンは無言で親指を立てると、壁を蹴りながら軽々と登っていった。

その姿を見上げながら、バッカライが小さく漏らす。


『……あいつ、狩人にしておくには惜しいですな。』


『いや、あいつは狩人以外の生き方はできんよ。』


エリシアは苦笑混じりに答えた。


『軍の規則も、信仰の戒律も、あいつには向いていない。……あいつは、自由なんだ。』


『はは……確かに。』


バッカライは肩を揺らして笑う。


『ですが最近、一緒に動いていて思ったんです。あいつの【勘】は本物だと。

もし軍で正式な訓練を積めば――勲章をいくつもぶら下げる英雄になれたかもしれない。』


『……英雄、か。』


エリシアは俯き、意味ありげに呟いた。

その瞬間。

ストン――と軽い音を立てて、フィンが目の前に降りてくる。


『井戸の周りには誰もいねぇな。神殿の入口側に人が集中してるみたいだ。』


報告を聞いたエリシアは、どこか優しげに微笑んだ。


『フィン、ありがとう。助かった。』


『……何だよ。気持ちわりぃな。』


怪訝そうに眉をひそめるフィン。

それを見たバッカライが、わざとらしくため息をつく。


『飛び降りてくるな。音で見つかったらどうする。やっぱりお前、軍人には向いてねぇよ。』


『音を立てるなんてヘマはしねぇっての。それに、俺は軍人じゃねぇからいいんだよ。

それより、先を急ごうぜ。』


親指で玉座の間を指し示す。


『……だそうです。エリシア様、参りましょう。』


『……バッカ、ありがとう。』


『本心を言っただけですよ。』


二人は顔を見合わせ、小さく笑い合う。

その様子を見ていたフィンは、露骨に顔をしかめた。


『気持ちわる……。』



玉座の間へ通じる出口の真下まで辿り着いた三人は、慎重に床上の気配を探った。

外の喧騒とは対照的に、上は不気味なほど静まり返っている。

どうやら、まだ信者たちは中へ通されていないらしい。

気配を探り終えたフィンが、親指を立てた。


『人の気配はあるけど薄いな。今のうちに出口を開けようぜ。』


『ああ。外に出て少し探りを入れておくべきかもしれんな。』


バッカライはエリシアへ向き直る。


『目的の人物が、いつ現れるか分かりません。……心の準備を。』


その言葉に、エリシアは深呼吸をすると静かに頷いた。


『もし接触が不可能なら、即座に撤退します。』


『分かった。』


短く答えたエリシアの指示で、フィンとバッカライが石畳をどける。

まず、フィンが外へ身を乗り出した。

――その瞬間だった。


『ノクス……!?』


驚愕に染まった声。

その声に、エリシアは反射的に地上へ飛び出していた。

そして。

その視線の先にいたのは――


はたして二人はノクスに出会えたのか・・・

パート3へ続く。

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