第二章 【神聖帝国】3. 潜入 パート3
手紙を持って街外れの屋敷に向かう二人。
そこにいたのは・・・
二人は男から渡された地図を頼りに、街外れにある屋敷にたどり着いた。
屋敷には立派な門があり、守衛までいる。
『ここで合ってるよな?』
フィンは、自分が想像していたより大きい屋敷に戸惑っている。
『はい・・・間違いないと思います。しかし、実に立派なお屋敷ですね。』
ノクスも同じ気持ちようだ。
フィンは不安を隠せない様子で、ノクスに尋ねる。
『ほんとに【コムニス】って名前を出せば、取り次いで貰えるんだよな?まさか捕まったりしないよな?』
ノクスは両手を胸の前で軽く広げ、困ったような顔で答える。
『さぁ・・・あの方は【コムニスって名前を出せば会える】とおっしゃっていましたが・・・とりあえず、守衛に聞いてみましょう。ダメだったら他の方法を考えるしかありませんね。』
そう言うと、ノクスは守衛のところに向かって歩き出す。
フィンは、何かあった時のためにノクスから少し離れた所で、逃げ道を探しながら様子をうかがう。
ノクスが守衛に話しかけ、あの男の名前を出した途端、守衛は慌てて門を開き二人を招き入れる仕草をした。
『ほんとだったのか・・・。』
フィンは、あっけなく開いた門を見ながら、信じられない様子で呟いた。
『どうやら入れるようです。フィンさん、行きましょう。』
二人は、屋敷の使用人らしき人物に案内されるまま、屋敷の中庭に通された。
そこには一人の女性が、木剣を片手に稽古をしているところだった。
『失礼します。貴方が【レイラ】さんですか?我々はコムニスさんからの使いで、手紙を届けに参りました。』
ノクスの挨拶に、女性は木剣を置きこちらに振り返るとニコリと微笑む。
―⁉―
その表情を、二人はどこかで見たことがあると感じた。
動きやすそうな服装をした女剣士といった印象だ。
特徴的なの、銀髪に濃く青い瞳。
どこかで会ったことがある・・・?いや、心当たりはない。
そんな二人の戸惑いを知ってか知らずか、女性が口を開く。
『はい、私がレイラです。コムニスからの使いですか。わざわざ持ってきていただき、ありがとうございます。』
そう言って手紙を受け取ると、迷いなく封を開け、読み始めた。
少し読み進めたところで、レイラの眉間にしわが寄り、みるみる表情が険しくなる。
『急がねばなりませんね・・・。』
ボソリと呟くと、紙とペンを使用人に用意させ、少し離れたテーブルで手紙を書き始める。
書き終わると、二人に手紙を渡してこう告げた。
『返事を書きました。これをコムニスに渡してください。私は急用ができたので少し出かけます。せっかく来てくれたのに、もてなす事もできず、すいません。』
そう言ってレイラは屋敷の中に消えていった。
レイラの様子を見て、二人は渡された手紙を見ながら、コムニスの顔を思い浮かべ、同じ事を考えていた。
『・・・断りの返事、でしょうか。』
『だろうな・・・さっきの顔。眉間にしわ寄せてたろ。』
二人は顔を見合わせ、同時にうなずく。
―これはダメだったな・・・―
神殿【潜入】の準備はできました。
二人はエリシアに会う事ができるのか?
続く




