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勇者パーティーの料理番  作者: ゴン太
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第四十話 焼きそば


肌を刺すような強い日差しと地面から照り返される日差しに挟まれ、うだるような暑さに包まれながら私たちは移動をしていた。季節は本格的に夏に入り連日の高い気温に悩まされていた。向かう先はウヨリズミから南に1時間ほど移動したところに位置する海岸だ。そこで正体不明の魔物が発見され、その場所で漁が行えなくなっているので討伐依頼が勇者に出されたのだ。


「うー・・・あついよー」

「暑いです・・・」


私の背中でぐったりと横たわりながらケフォルとノイリーが唸っていた。猫の獣人であるケフォルは暑さにあまり強くない。特に猫のように全身が毛に覆われている訳でもないのだが種族性の問題らしい。ノイリーは普通の人間なのだが暑さに弱いらしい。暑そうに来ているローブを脱げとエルメアに言われていたが、「これは魔術師にとっての誇りなのです!!」といって頑なに脱がなかったのだ。その結果ケフォルと共に私の背中で横たわっている。いつもならば馬車で移動するのだが、道中は砂地が多く馬車ではなかなか進まないため徒歩である。目的地周辺では船での移動が主流なのだがそれも魔物のせいで止まってしまっている。


到着した後に討伐は速やかに行われた。どうやら目的の魔物はトライスクイッドの亜種でものすごく巨大になっていた。だが巨大になっていただけであったのでエルメアがサクッと切り捨てていた。


早々に依頼を達成したので時刻は昼過ぎである。せっかくなのでここで昼食を作る事にしよう。討伐をしたトライスクイヘッドの亜種も使ったものを作ろうと考え、風呂敷より材量を取り出す。小麦粉で作った麺、サニーキャベツ、竹輪を取り出しそこにトライスクイッドも加えて切っていく。材料を切り終えると、鉄板を火にかけて熱していきそこへ油をひいてトライスクイッドを塩コショウで炒める。さらにサニーキャベツと竹輪を入れてさらに炒め、最後に麺を入れてしっかりと炒める。味付けは私特製の野菜からできたソースを使う。鉄板にソースをかけた瞬間にソースの香りが周囲に一瞬にして広がった。香ばしい香りに日陰でダウンしていたノイリーとケフォルが起き上がってきた。


「美味しそうな香りですね」

『もう少しで出来上がるから少し待て』


軽く混ぜ合わせ皿に盛り付けていく。できたてで湯気が立っているものをみんなで食べ始める。もちもちの麺に少し濃いめのソースの味が絡まり、弾力のあるトライスクイッドは噛めば噛むほど旨味が広がり、しゃきっとしたサニーレタスが食感とみずみずしさを加えてくれる。暑い夏場に鉄板で熱した暑い料理はなかなか好評だった。


「美味しかったね」

「もう食べられません」


復活した2人も満足したようだ。せっかく海に来たのだからと、エルメア達が水遊びを始めた。少しひんやりした海水をかけ合い、楽しそうに過ごしている。後片付けをしながらその様子を眺めているとエルメアがこちらに向かって大きな声をあげた。


「クロも一緒に遊ぼうよ!!」


普段はしっかり者だがこういった時には誰よりも子供みたいに振る舞う。そんなエルメアに苦笑いを浮かべつつ、後片付けもそこそこに私も水辺に向かうのだった。


帰り道、私の背中にはケフォルとノイリーに加えエルメアもはしゃぎ疲れてダウンするのであった。


トライスクイッド

足がたくさんついたイカの魔物。基本的には浅瀬には寄り付かず、深いところで生息しているが、今回出会った亜種は比較的浅瀬に生息していた。珍味として食べられる事が多く、乾燥させたものが主流である。

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