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Free 〜フライパンから始まるエトセトラ〜 作者:もじゃ
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【祝】総合評価2000P記念特別号

皆様のお陰で総合評価2000Pに到達することができました。
本当にありがとうございますm(_ _)m
ということで、1000Pに続きまして特別号を投稿いたします。
おまけ的な感じで楽しんでいただければ幸いです。
倉科くらしなマリンinリアル~

 ――ピピピピッ! ピピピピッ!

「ふぁあ~」

 マリンの朝は遅い。
 なぜなら、帰宅部の彼女は朝練などで早く学校に行く理由がないからだ。

 ――ピピピピッ! ピピピピッ!

「ん~もう少しぃ……」

 マリンの朝は緩い。
 なぜなら、彼女は朝にめっぽう弱いからだ。

 ――ピピピピッ! ピピ……

「むにゃむにゃ……」

 それこそ、目覚まし時計が諦める程度には。

 だが、彼女は今まで遅刻をしたことがない。
 それはなぜか?

「マリーンご飯できたわよー!」

「むにゃむにゃ……あと50分……」

「マリーン! マリンちゃーん!」

「んふふぅ~カナぁ~ダメだよ~」

「……返事なし……と。この様子じゃ、今日こそカンナちゃんに置いてけぼり食らっちゃ――」

 ――シュバッ! (パジャマを脱いだ音)

 ――シュババッ! (今日付けていく下着を選んでいる音)

 ――シュバシュバッ! (納得のいくチョイスができて満足気に頷いている音)

 ――シュババババーン! (すべての着替えが完了した音)

「おかーさんおとーさんおはよー!」

 環那かんなが遅刻をしたことがないからだ。

 マリンにとって、幼馴染の環那と一緒に登校することは、太陽が東よりづるよりも当然の行為であった。

「うふふ。おはようマリン」

「おはよう。マリンは今日も元気だなー」

「もー子供扱いはやめてって言ってるでしょー!」

「ははっ。ごめんごめん。マリンが可愛すぎて、つい撫でたくなっちゃうんだよー」

「早く子離れしないと知らないよー」

「……え? まさかマリン……彼氏が……」

「ベー! ヒミツー!」

「そ、そんな……こうなったらそいつを見つけ出して……」

「あなたぁ? マリンには親友のカンナちゃんがいるのに、そんなわけないでしょー?」

「あ、そうかそうか。お父さんついうっかり!」

「そうだよーお父さんはいっつも引っかかるんだからー!」

「はははっ、すまんすまん……ん? でも、彼氏はいなかったけど、これでいいの……か? まぁ彼氏はいなかったんだ。それでいいかー!」

 倉科家は今日も平和だった。



 いつもの時間、いつもの場所。
 環那はほぼ同じタイミングで家を出てくる。
 だから、マリンもほぼ同じタイミングで家を出る。
 そして、今日も無防備な環那の背後に襲いかかるのだ。

 ――ターゲット発見! パターンブルー! カナデスッ!

「カーナー!」

 ――ターゲットロックオン。ファイヤッ!

「おーはよーっ!」

「うわっ! もう……びっくりするでしょー!」

 ――プーニプーニデース! ベリーベリーソフトデース!

「むふふぅ。ごめんごめん!」

 ――ナイススメルッ! ナイススメルデースッ!

「もう! 謝るなら早く離せー!」

「あと50分だけー!」

「長いよっ!」

 ――本日のカナ成分の摂取カンリョーデスッ!

「もう……仕方ないなぁ~じゃあこれで許してあげるぅ~!」

 ――腕ギュッ! コレダケハユズレマセーン!

「なんで私が許される立場になってんのよー。まぁ別にいいけど……」

 マリンの中にいるエセ外国人は今日も絶好調だ。
 異性なら完全にお縄な行為も、同性ゆえにすべてが許される。
 ただ、単純にそれだけかというと、決してそうではない。
 マリンが環那とこつこつと築き上げてきたこれまでの関係性があって初めてここまでのスキンシップを可能としているのだ。
 単に慣れさせられたともいうのだが。
 そんなことマリンには関係ない。
 今のこの至上の関係を続けられればそれでいいのだ。

「ほらあの2人……」「いつも仲いいよねー」「噂ではそういう関係だって……」「キャー! やっぱりぃ!?」「イケマセンワ! そんなのハレンチですわぁ! でも、私も先輩といつか……」「ざわざわ……」

 そして、まるでその構築した関係をどうだと周囲に見せびらかすように歩くマリン。
 それに応えるようにざわつく周囲。
 半ば引っ張られるように歩く環那は、いつものことなので特に気にしていない。
 そのことが、さらに周囲の誤解を産み出し、育て上げ、今や真っ白な大輪となって咲き乱れる結果となっていた。

「お、あの子可愛いじゃん。ちょっと声掛けてみようぜー」

 しかし、中にはその大輪を汚そうとする輩が現れる。
 見かけ的には見目麗みめうるわしい2人がイチャイチャしている(環那にはその自覚はないのだが)だけなのだ。
 そういった者が現れるのも自然の摂理と言えるのかもしれない。

「おい馬鹿やめろ!」

 ただ……そんな輩は例外なく……あまりいい結果を迎えることはなかった。

「ねぇねぇそこのふた――」

 ――クルナ。イネ。イマスグニ。

「あがっ!?」

 男を襲う謎の息苦しさに、思わずその場にうずくまる。
 なんだこれは? まるで呼吸のやり方を忘れてしまったかのような息苦しさ。
 なぜこのような状態になってしまったのか。わからない。理解ができない。
 ただ、そんな混乱の渦中に、必死に答えを探し求めていた視線が――ついにそれを捉えた。

「はぴゃっ!?」

 困り顔の女の子……の隣から浴びせられる絶対零度……いや、それすらも生温いと感じられるほどに冷え切った視線を。

 外したいのに外せない。
 逃げ出したいのに動けない。
 ただただその場でそれが通り抜けるのを祈るのみ。
 自分から関心がなくなることを願うばかり。
 それ以外のことは何もできなかった。なぜなら許されていなかったから。

 ――ウゴクナ。サワグナ。ジャマスルナ。

 気づけば、いつの間にか男の股ぐらにはじんわりと温い紋様が広がり……その場で意識を手放した。

「だから言わんこっちゃない……」「今年に入って……すでに何人目?」「5……いや、6人目じゃない?」「でも去年よりは少ないよね?」「去年は誰も知らなかったから……あれは悲惨だったね……」「可哀想に。あの子も当分……」「でも自業自得でしょ?」「そうね……今やこの辺じゃ有名だものね」「そうそう、手を出しちゃいけないのよ……」

 人を射殺せるほどの殺気に指向性がついた結果、白い大輪は凶悪なトゲをその身に纏った。
 軽はずみに触れてはいけない。
 遠くから愛でるぐらいが美しい。
 いつしかそうささやかれ始め、今では……

「『白薔薇しろばら』さんには……」

 そんな異名すらつけられていたのだった。

「カナ早く行こー!」

「ねぇマリン。あそこの男の人、急に倒れたみたいだけど大丈夫なのかな?」

「大丈夫だよー周りに友達もいたみたいだし、行っても野次馬になっちゃうよー」

「ならいいんだけどさ……」

「それより、早くしないと遅刻しちゃうよー?」

「ちょ、ちょっと、そんなに引っ張らなくても大丈夫だからー!」

 以上が、マリンのリアルである。


マリンの精神力の異常な高さの根幹を少しでも感じていただければ……

本編はもうしばらくお待ちくださいm(_ _)m
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