42.暴威
戦闘シーンを書いてるのは楽しいのですが、どうも長く書けないんですよねぇ……なんかいいアドバイスがあればお待ちしておりますm(_ _)m
ちなみに本日も懲りずに2話更新です。
この話は1話目となります。ご注意ください。
まず最初にその集団にたどり着いたのは【虎吉】だった。
まさしく、虎まっしぐら。
食べ物じゃないんだけどなぁ……
でも、【虎吉】にしてみれば、あんまり変わらないみたいで。
集団の中に単独で突っ込んだのだから、当然周囲はモンスターだらけだ。
そんな中、【虎吉】は1匹のオオカミを咥えると、振り回しだした。
おー、他のオオカミが、それにぶつかりドンドン吹き飛ばされていく。
さっきまで綺麗に揃っていた隊列も、今やバラバラだ。
このチャンスを見逃す手は無い。
シズクと私はほぼ同時に集団の前にたどり着く。
【虎吉】がそれはもうこれでもかというくらいの目立ち方をしているので、誰もこちらには気を配ってすらいなかった。
「どぉりゃぁっ!」
シズクが【砕辰】を大きく横に薙ぎ払う。
すると集団の前方にいた、オオカミ達の数匹が……綺麗に横に2等分されていた。
初めて見たけど凄い切れ味!
こんなに切れるもんなのか……
それに気づくオオカミも現れだしたが、シズクは止まらない。
ブンブン振り回しながら、前方から徐々にその集団を削り取っていった。
その光景は凄惨の一言なんだけど。不思議とグロさはない。
なんでだろ?
一応、18歳未満の冒険者に対しては、標準で流血や断面の表現が緩和されているからそのせいかな?
いや、違う。
きっと、アレには負けてるからか。
目の前のにはまだ形があるから……なのかもしれない。
って、そんなこと考えている場合じゃない!
私も負けていられない。
【宛転】を使い、2回転。
そのままの勢いで、目の前にいるオオカミを横から振り抜いた。
『キャポッ!――』
オオカミは変な声を出しながらそのまま吹っ飛んで、オオカミの集団へとダイレクトイン! ストラーイク!
速度を殺さず、さらに回転を加えて……別のオオカミをクリーンヒット! これまたストラーイク! ダブル!
よし、この調子でターキーを……
「カノン後ろっ!」
アクアの声で後ろを……ってどっち!?
回転してるからわからな……目の前にオオカミ!
やばっ!? でも私は急に止まれない!
そのままの回転は止めず一旦しゃがんでオオカミをやり過ごす。
依然、回転中の私。
何が凄いって、【宛転】が凄い!
とにかくスピードが落ちない。
むしろ、どんどんと早くなっている気も……あ、さっきのオオカミのお腹が見えた。
私は横回転を縦に変更。
そのまま、オオカミの腹へと相棒を振り上げる。
オオカミはそのまま天高く打ち上がった。たーまやー!
そして再度、縦回転を横回転へ。
目が回るのを防止するため、さっきとは逆回転にしてみた。
一度縦回転を挟めば、こんなこともできるんだね。
よし、この調子でどんどんいくよー!
「準備完了! いっくよー!」
「「オッケー!」」
「【ウォータートルネード】!」
私の少し横を例の魔法が通り抜ける。
直後にモンスターの悲鳴に近い声が聞こえたところをみるとクリーンヒットしたのだろう。
この調子で、どんどんやっちゃおう!
さて……残るはクマだけだ。
だけなんだけど……なぜかそのほとんどが瀕死だった。あ、あれ?
たしかに何匹かオオカミをクマ方面に向かってぶっ飛ばした記憶はあるけど……それが効いたのかな?
『ガウッ?』
「ああ、いいぞ」
『ガウッ!』
あ、【虎吉】が突っ込んだ。
クマ……逃げてる。
捕まった。
ちょっと食べてはまた次のクマへ……
【虎吉】は美食家だねぇ。
そんな贅沢な食べ方……あ、そうじゃないっぽい。
移動力を削ってたみたいだ。
後ろ足を重点的に噛んでるもんね。
これで逃げられることもないのだろう。
すべてのクマの移動力を削いだ【虎吉】は、その後、1匹を見繕い、食べだした。
余程お腹が空いていたのだろう。
戦闘中も食べてた気もするんだけど、どうやらまだ足りなかったらしい。
ちなみに、その間オオカミにお尻をカブられてた気がするんだけど、気にも止めていなかった。
そうだね。耐久無限装備だもんね。
……ちょっと反則な気がするんだけど。
大丈夫なのかな?
まぁ、その分燃費が悪いってことだけど、それは本当らしい。
物凄い勢いだ。
なんだか、ボリボリいってるけど……あ、骨もいっちゃうのね。
そっとしておこう。
食事の邪魔をするのはマナー違反だ。
【虎吉】は大活躍だったしね。
たくさんお食べ。で、お腹一杯になったら、少しだけ撫でさせてね。
さて、残るは瀕死のクマなんだけど。
依然、目は死んでない。
グルルと唸りながらこちらを睨みつけている。
こういう動物が一番危ないと、どこかで聞いたことがあるのだ。まぁ今はモンスターだけど。
どちらにしろ、油断は禁物だ。
どうやって、止めを刺すべきか――
――パンッパンッパンッ!
……あ。
クマの眉間に数発の穴が空くとそのクマは地面へと倒れ伏した。
「魔法ばっかりだったからね! 使ってあげないと可哀想だよね!」
「ソ、ソウデスネ」
どうやら、止めの心配はなさそうだ。
「じゅ、銃!?」
「うん、私の耐久無限装備だよ」
「ハァッ!? なんだよそれ! 反則だろ!」
あ、そういえば、シズクはアクアのそれ、見るの初めてだっけ?
戦う前に出してたよ? あ、集中してたから見てなかったと、さいですか。
でも、反則とか言うけどさ、シズクもなかなか負けてないと私は思いますよ。はい。
あれ? さっきまでウーウー唸ってたクマ達がおとなしいような……
見れば、クマの目からハイライトが……えっと……なんというかその……ご愁傷様です。
【ニューディール平原:草木の中】
「「「……」」」
「なんぞあれ」
「「……」」
「おい、なんか言えよ」
「なんか」
「小学生か!」
「いやでもよぅ……なんて言えばいいんだよ」
「そりゃお前…………なんか?」
「だろ?」
「だな。俺が悪かった」
「今回だけだぞ?」
「かたじけない」
「「「……」」」
「いや、そうじゃなくてだな!」
「なんだよ」
「お前あれに勝て――」
「無理に決まってんだろうが! 俺のこの菜箸で刺されてぇのか!」
「……悪かった。だからもうそれはしまってプフゥ!」
「てめぇこのやろう! とうとう笑いやがったな!」
「バカ野郎! 俺がいまさらそんなのでバフッ!」
「おい! バフッてなんだ! バフッって! 今まで聞いたことねぇぞ!」
「まぁまぁサイバシマンそろそろ怒りを鎮めようや」
「とうとう蔑称まで付けやがったなこのやろう! 人を自爆野郎みたいな呼び方しやがって!」
「気のせいだよ気のせい」
「あったまきた! お前だってなー! お前だって……この……ピンポン玉ボーイが!」
「センスッ!」
「うるせぇ!」
「お互いその辺にしとこうぜ。底辺ズさんよ」
「「縫い針風情が黙ってろ!」」
「なんだこのやろう!」
「「てめぇこのやろう!」」
「「「……」」」
「やめよう」
「「だな」」
「話を戻そう」
「「だな」」
「あれって何匹いたんだろうな」
「数えるのも面倒くせぇくらいいたのはたしかだな」
「俺あの狼にトラウマあるんだけど」
「俺もだよ」
「縫い針では歯が立たなかったな」
「お前らもか」
「「「……」」」
「なぁ」
「なんだよ」
「街……戻るか」
「「だな」」
「夢ってゲームん中でも見れるんだな」
「「だな」」
「俺らは身の丈にあった遊び方をしような」
「「……だな」」
オオカミやクマがそれほど強く感じないのは、戦った場所から草原だからです。
本当はもっと強いんですよ?
菜箸パーティーは身の丈にあった戦いができればいいですね(にっこり)
次回は、23時投稿予定です。




