【祝】総合評価1000P記念特別号
皆様のお陰でなんと総合評価1000Pに到達することができました。
本当にありがとうございますm(_ _)m
そのお礼というわけではございませんが、本編では書けなさそうな部分をこういった形でお届けしたいと思います。
ただ、これを思いついたのが昨日の夜ということもあり、それほど長いものではありません。あらかじめご了承ください。
おまけ程度と受け取っていただければ幸いです。
あ、もちろん本編も予定通りに投稿しますので、ご安心ください。
それでは、これからも『Free ~フライパンから始まるエトセトラ~』を何卒ご贔屓のほどを、よろしくお願いいたしますm(_ _)m
~冴木美嘉inリアル~
「ほらー何やってんだよ! 1歩目がおせーから対応できねーんだろーが! リベロの名が泣くぞー!」
「は、はい! すいません!」
「次はしっかりなー! では、監督。次、よろしくお願いします」
「あ、ああ……というか、そういうのも含めて、俺の仕事なんだが……」
ここは、学校の体育館。
現在は放課後であり、各クラブが練習に勤しんでいた。
その中でも、去年から頭角を現してきたクラブがある。
そう、何を隠そう女子バレー部だ。
現キャプテンの冴木美嘉を筆頭に近年怒涛の快進撃を続けていた。
「何やってんだー! なんでお前は脇が開くんだよ! ちゃんと締めないと狙ったとこに行かねーだろーが!」
「ごめんなさいっ!」
「謝らなくていいから、脇閉めろ脇!」
「はいっ!」
「次いくぞっ! では、監督。次、お願いします」
「ねぇ、俺もういらなくね?」
時は遡ること約1年前。
この頃、バレー部に入った冴木は、入部当初からその類まれな運動神経を遺憾なく発揮し、あっという間にエーススパイカーの座へと上り詰めてしまっていた。
特にその長身から繰り出されるバックアタックは強烈で、県内でもそれをブロックできる者は片手で足りてしまうほど。
それほどの逸材であった。
「次! お願いします!」
「あれが噂の……」
「ええ、冴木美嘉です。中学時代からバカげた話に事欠かない化物てすよ」
「でも、なんで我が校に? あれだけの逸材だ。強豪校のスカウトも黙ってはいないだろ」
「噂ではかなりの数のアプローチがあったらしいですよ。ですが、頑なに固辞し続けたのだとか」
「理由は?」
「わかりません」
「そ、そうか……まぁいずれにせよ、これはチャンスだぞ監督」
「わかっております校長」
「我が校初の全国大会出場……頼んだぞ」
「御意」
「次! お願いします!」
だが、いつの時代も光あるところに闇があるように、その勇姿を快く思わない人物も当然存在するわけで……
「なんであいつ、他校の強豪校に行かなかったのよ」「はっ! きっと目立ちたいんだろ。面白くねぇ」「可愛くないわねー」「調子乗ってんじゃねえってんだ」「これはやっぱり、少し可愛がってあげる必要があるみたいねー」
つまりは女子バレー部の上級生達であった。
それから始まる陰湿な行為。
時に下級生という理由だけで、ずっと走らせたり、時にユニフォームやシューズを隠されたり、最終的には校舎裏に呼び出され……
「てめぇー! 生意気なんだよ!」
「そうよそうよ!」「やっちゃえー!」
「「「キャハハハハハッ!」」」
「……」
「おい、なんか言えよ!」
「……が……」
「あ? 聞こえねぇんだよ」
「俺の何が気に入らないっていうんです!」
――壁ドーン!
「ちょっ!? なんだよてめぇ! ち、ちけーんだよ! 離れ――」
「言ってくれるまで離れません! 俺のどこがダメなんですか!」
――顔ズズーイ!
「だから、ち、近いって……離れろって……言ってんだろ……と、吐息が……」
「それがなんだって言うんですか! 俺は言ってくれるまでここを離れないですからね!」
――両手でドーン!
「おまっ……離れないって……もう……バカ……」
――ギュッ。
「離さないで」
「…………はっ?」
「ちょ、ちょっとちょっと! 明美何言ってるのよ! みんなでやっちゃうんでしょ!?」
「そうよ! 明美裏切るっていうの!?」
――さらにギュウッ!
「……もう、どうでもいい」
「「はぁっ!?」」
「ちょ、ちょっと先輩! 離してください」
「う、うん。でもまたあとでね?」
「え? え、ええ。じゃああとで教えてください」
「うん……優しくしてね」
「えっと……まぁいいや。とりあえず!」
――ぐるりんっ!
「「ひぃっ!?」」
「お2人も俺が何か失礼なことをしていたのなら謝ります! だから、遠慮なく言ってください!」
――顔ズズズーイッ!
「「ちょ……止めて……」」
――ダブルで壁にドンドドーン!
「「あっ……」」
「さぁ! さぁさぁさぁ!」
――アローがヒューンでハートにシューッ!
「「もう……どうにでもして……」」
「……はっ?」
こうして、上級生達は物凄い速度で籠絡されていったのだった。
そして、現在。
「美嘉先輩……素敵」
「抜け駆けはなしよ」
「できるわけないじゃない」
「そりゃそうか」
「だってこんなに……」
女子2人の視線の先には、物凄い数の人だかりができていた。
その大半はバレー部員だ。
去年と比べて増えに増えていた。
ほとんどが1年生ではあるものの、その中には有力選手と言われる人物の姿もちらほらと。
そして……
「冴木キャプテン! お疲れ様です! これタオルです!」
「ありがとう」
「はぁ~ん! どういたましてー!」
同様にマネージャーも増えに増えていた。
なんとその数、8人。
しかも、これでも厳選して……である。
「よそ見ばっかりしてるんじゃないわよ!」
「あんただって!」
なぜか、隣のバスケットボール部員も増えていた。
その隣の卓球部も。
冴木美嘉という人物から始まったこの大騒動。
少なくとも卒業するまでは収まりそうになかったのだった。
「ねぇねぇミカ」
「ん?」
「そういや、なんでこの高校を選んだの? スカウト……一杯来てたんでしょ?」
「そんなの決まってるじゃねぇか」
「そうなの?」
「カナの友達の座は渡せねぇってことだよ」
「何それ……たったそれだけの理由で?」
「十分だろー。あとは姉貴もいるしな!」
「あ、なるほどねー。なんか納得」
「まぁ姉貴はついでだけどな」
「ん? なんか言った?」
「なーんも」
以上が冴木美嘉のリアルである。
「で、今日は何時頃ログインする予定なんだ?」
「えっとねぇ~――」
 




