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なかなかダンジョンマスター、ハーレムにならず、申し訳ありません。
必ずその要素は入れますので、お見捨てになりませんよう、お願い申し上げますm(__)m
イズメリィの首都は、カクテラというそうですの。まずはそこに行き、そこから南西の竜人自治区にいくそうですわ。そこに龍の魂はあるそうですの。
というわけで、まずはここパルスネから発たなければならないのですけれど……
「ゴブポッ!……気持ち悪い、うえッ」
豚はこの有り様ですわ。
ギズロフはどれだけ飲ませたのかしら。
ギズロフはゲラゲラ笑っていますわ。ロキシーはいつも通り無表情でひたすら見ていますわね。メイベルは無言で青筋を立てていますわね。
とりあえず豚の背中をさすりましょうか。
「へぐぇ!……吐けないのに気持ち悪い……こんなところにこだわらなくてもいいのに、おうぇ」
ギズロフは笑いが止まらないようですわ。
「おう、こうなったら迎え酒か?酒場に行くか」
「これ以上はダメですわ!」
「ギズロフ、あんたには見物のようだけど、あたいらはこいつの汚ぇ姿を見るために遠出した訳じゃねぇよ」
メイベルは外見上こそ静かですが、心中ではどう思っているか分かりませんわね。
「仕方ねぇな。じゃあ水でも飲ませてもう一泊するか。」
それが妥当だと思うのですけれど、メイベルは鼻を鳴らして不服そうですわね。「丁度いい。姉ちゃん、メイベル、一緒に回復薬買って来てくれねぇか」
いきなり何を言うのでしょうか。
メイベルは、目をむいていますわね。
「1人でも行けるわ!バカ!」
「私は1人でも大丈夫ですわ」
この人と一緒に行くなんて、神経がすり減って無くなりますわ。
「いや、イズメリィは竜人がいるから、2人一組で行動した方が良いだろう。行ってこい」
ギズロフに急かされて、メイベルと私は薬屋に行くことになりましたの。
宿屋のすぐそばの通りが、パルスネのメインストリートのようですわね。そこから道なりに行けば良さそうですわ。
そしてメイベルと2人きり、辛いですわね。メイベルとは仲間でもありますから、沈黙を埋めなければならない気がする分、ただ黙っているわけには行かないというのも気にかかりますわ。
今は私が前を、彼女が私の後ろを歩いていますの。
私のフォローのためだそうですけれど、本当にフォローしてもらえるかは未知数ですわ。
お金を持っているのは、メイベル……もう彼女一人でいい気がしますわね。
それでも、町並みは綺麗で、これを見るためなら来て良かったですわね。
屋根はカラスの羽のように黒く統一されてますの。
町並みに目を奪われていると、広場に出ましたわ。
広場の中央に噴水がありましたの。そこを背にするように、1人立っていましたわ。昨日見た、青い肌の方でしたわ。
その人は裸で立っていましたの。
その周りを大勢の人間が囲っていましたわ。
ものものしい雰囲気で、それゆえ、目を離したら何かが起きそうな気がして仕方ないですの。
「おい、あんなの見てんじゃねぇよ」
メイベルは、はじめは私の肩を叩いて言いましたが、すぐに、手を掴んで駆け出しましたの。
引きずられるように道を急いだ私たちは、彼の行く末を見ることもなく道を急いだのですの。
薬屋につくと、若い男性が薬を売っていましたの。
「いらっしゃいませ。何をお買い求めですか?」
回復薬、と言う前に彼女が口を開きましたわ。
「酔い止め。それと回復薬を頼む」
酔い止め?そんなものがあるのかしら。
もしかして、豚のために?驚いて彼女の方を向くと、にらまれましたわ。
薬は私が受け取りましたわ。
真意は不明、それで構いませんわね。きっと豚に使うのでしょうし。
宿屋に帰るとき、あの広場に寄ってみましたの。
そこにはもう、あの方も人だかりもありませんわ。
ただ、青い水たまりがあちこちに残っていますの。
何かしら?
「そんなもん見てんじゃねぇよ」
メイベルが止めましたが、何が悪いのかしら。
「これは、何ですの?」
「……竜人の血だよ」
私の血の気が引きましたわ。
ここまで、血を流していれば、あの方は少なくとも大怪我をしているに違いありませんわ。
「じゃああの方は……」
「あれを人と見るな。魔物だと思いな。」
「……どうしてですの?」「魔王とつながりがあるからな。そのせいで人に住み処を奪われたから、人に恨みを持ってる。魔物と変わりねぇのさ」
「それでも、殺していいわけではないでしょう」
「いいか?言葉で解決できないんだから武力で追っ払うしかないんだよ。これ以上ガタガタ言うんなら置いていく。薬出しな」
そう言われてはどうにもなりませんわね。
口を閉じて、おとなしく帰路につくしかなかったのですわ。
泊まっている部屋に帰り、豚に酔い止めを飲ませると、しばらくして元気になりましたわ。
「胸がすっきりするな〜ありがとう茜ちゃん」
「お礼はメイベルさまに言ってくださいまし」
キッとメイベルににらまれたのを見なかったことにしましたが、一点の疑問は残ったままでしたわ。
竜人は人か否か。
この問いはしばらく心に残りましたの。