↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
49/174

幕間⑥-4 勇者壮五、追放される 後編

※勇者壮五視点


 出てきたのは、女のような狒々。一言で言えばBBA。


 おい! 確か孫とかなんとか話してなかったか!?

 自分の姉の間違いじゃねーのかよ!? 


「ははは、驚きになられましたか。

 孫は呪いの被害にあいましてな」


「呪い……。

 ということは、それを解呪すれば元に戻るということですか?」


「いえ、解呪してこの状た――」


「す、すみません!

 僕には早すぎました!

 失礼しました!」


 冗談じゃねえ!!! クソが!!!

 いくら貴族の娘言ったって、こんなBBAと結婚できるわけねーだろ!



「待ちなさい。

 このままでは貴方は本当に道化みたいな存在で終わってしまいますよ?」


 ここから去りたくて仕方がねえ。

 だが、足が止まっちまいやがった。


「1年などと言っていますが、それで終わるわけがない。

 魔王が復活するという10年先までは辺境でくすぶることになるでしょうな。

 いや、成長した転生者たちだけで魔王を片付けてしまうこと、あるやも」


「そんな!

 あんなク……いや、彼らでは何年かかったってそんなに強くはなりませんよ」


「そうですか?

 でも、あの鑑定士は貴方をたおし――」


「――違う!!!!!!」


 違う!違う!違う!違う!違う!違う!

 アレは! 寄生虫野郎が! 俺を! 卑怯な手で! はめたから!

 クソ! クソッ! クソォッ!


 気づくと俺はテーブルを何度も叩いてた。

 そこから今にも真っ二つに裂かれそうになってやがる。



「それで、僕をどう利用するつもりなんですか?」


「利用?

 ははは、ご冗談を。

 今の貴方にコマとしての利用価値なんてないでしょう」


 ……なんだと?


「もはや、貴方の本性は多くのかたが見抜いている。

 いけませんねえ、あんなおおっぴらに感情を露わにしては」


 うるせえ!

 だから、寄生虫野郎が全部悪いんだろが! なぜわからねえ!! ジジイが!!


「ですが、まあ、もし孫を孕ませて頂けるというのでしたら。

 その子供は貴方と一緒に大事に扱わせてもらう事にしましょう。

 できるのなら、ですが」


 クソが!!! 俺は種馬扱いかよ!!!!

 だいたい、あんなBBA、どうにもならねーだろうが!!


「まあ、私としましては、別に返事はいつでも構いません。

 なんでしたら、一度ベレビア砦を見てくればいい。

 返事はその後でも構いませんよ?」


「しばらく、考えさせてください」




 なんて言って別邸を出たが、ぜってーありえねえー。

 あんなクソBBAを押しつけられるなんて、死んでもお断りだ。


 クソッ。期待しただけムダだったぜ。



 ――!


 急に手練れの気配が、背後に現れやがった。

 クソマズい空気をビンビンと感じる。


「いい度胸だ!!!」


 振り向いた俺の前にいたのは、あの筆頭審問官。


「ご無沙汰しております」


「貴方は! 確か教会に所属しているんですよね!

 僕についてなにか聞いてませんか!?

 それとも……まさか!? 俺の命を狙いに――」


「それこそ、まさかです。

 不意打ちでも貴方を倒せるくらいなら、貴方にあの依頼をしたりはしない」


「では、なんですか?

 挨拶でもしにきたのですか?」


「まあ、そんなところです。

 普段はこんなことしないんですけどね」


「では、挨拶ついでに聞かせてほしい。

 教会は結局僕をどうしたいのですか?

 追放したい? それとも、ホントにタダの長期訓練?」


「その質問に一番近い答えは、やはり『追放』なのでしょう」


 ……コイツ、ウソ、ついてねえ。

 そう感じた俺は、発作的に筆頭審問官を切り捨てていた――。



「ふむ、殺人に抵抗がなくなってますね。いい傾向です」


 振り返ると、切り捨てたはずの審問官がそこにたっていやがった。

 さっきまで審問官がいた場所を見返すが、倒れているはずの場所になにもねえ。


 なんだ、コイツは。

 確かに手応えはあったのに。


「ただ、あの翁の言うように教会が見限ったというのは、正確ではない」


「じゃあ、どうだっていうんだ? あぁ?」


 つーかコイツ、あそこでの会話を聞いてたのか?


「教会としても、貴方の処遇については困り果てている。

 なにしろ、どうあれ魔王を倒すにはその手を借りないといけないのですから」


 ああ、そうだな俺もそう思うぜ。


「一方、魔王の存在が確認されたのは500年もの昔。

 単なる伝説、歴史書特有の誇張表現、当時の教会の自作自演。

 そう思っている方は教会内に限らず数多くいるのが現状」


「話が見えてこねえなあ。なにが言いてーんだ?」


「つまり、さまざまな意見を持っている人が教会内にいるということです。

 ただ、ある見解については、全員ほぼ一致しています」


「なんだ? その見解ってのは」


「貴方と鑑定士との間に距離を置くべき、という見解です」


「……ふざけるなよ、クソが!!!!!

 じゃあ、なにか?

 教会は俺よりもあの寄生虫野郎を王都に残すことを選んだってのか!!!!」


「その通り。

 今の貴方はご意見番として機能していますが、いなくても困るわけではない。

 根本的に勇者の領分は戦闘。今、王都にいても持て余すだけですから」


「それはアイツだって同じだろうが!?」


「その辺りは論じても意味はないでしょう。肝心なのは教会が決めた方針。

 それは貴方を王都から追い出して、そのあとのことは未来に丸投げした。

 そういうことです」


 ……がぁぁあああああぁぁあああぁあぁ!!!!!!

 なんで! なんでなんでなんでなんで!!!

 いつもどうしてアイツだけが選ばれる!!!!!

 いつも!!!! いつもいつもいつも!!!!!!


 ここは!! 俺だけの世界なんだ!!!!

 俺が主人公なんだ!!!!!

 俺が!俺が!俺が!俺が!!!


「……ですが、私は皆、いささか視野が狭すぎるのではないかと思うのです」


「――へ? どういうことだ?」


「なにしろ貴方が今から行くところは最前線なのですから。

 状況はいくらでも変わるということです。十年待つことなく。

 それこそ、一年後、一ヶ月後、一週間後、可能性というなら今日明日中でも」


 ……けっ、そんなにうまくいくものかよ。

 いったい何年、今の状態が続いてると思ってんだ。


「ゆめゆめ、あの翁が言うように腐って、最大のチャンスを失うことがなきよう。

 常に最善を尽くすことをおすすめいたします」


 筆頭審問官は、そう言い残して、去っていきやがった。

 つーか、そんな言葉を残すくれーなら俺の追放を止めろっての。




 ……だがまあ、子分共をダマす戯れ言としては上等かもしれねー。


 これは訓練や演習じゃなくて遠征。

 近々、敵が総攻撃を仕掛けてくる。

 それを俺たちが撃退すれば俺たちは英雄だ、と。


 こうなったら、1人でも多くの子分どもを道連れにしてやる。

ここまで読んでいただいて、ありがとうございます!


もし、


・面白かった!

・続きが気になる!

・更新がんばって!

・応援するよ!


と思われた方


よろしければ

広告の下にある☆☆☆☆☆から評価をいただければ大変うれしいです。


すごく面白かったなら☆5、あまり面白くなさげでしたら☆1と、

感じたままでかまいません。


また、ブックマークいただければ作者の励みになりますので、よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。