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「ふははっ、兄上、焼きもちですか?」


そうユーリが殿下の言葉に盛大に笑いだした。


「っ...そんなんじゃない!てかお前はいい加減離れろ」


そう言ってまたユーリのことを引き剥がす。


つい昔のようにユーリに接しちゃったけど、ユーリも王子様だしちゃんとユーリ殿下って呼んだ方が良かったのかしら。


「えっと、殿下...やっぱりユーリも敬称をつけて呼んだ方がよかったでしょうか...?」


と少し不機嫌そうな殿下に恐る恐る聞いてみる。

しかし私の言葉に殿下はため息を漏らしている。


するとまたユーリがどっと笑いだした。


「ひーっお腹痛い!ソフィそうじゃないでしょ!昔から天然なとこ変わってないね」


そう言いながらお腹を抱えている。

私は何か間違えてしまったようだ。


「ユーリ、もう出てけ。今度は突然来るんじゃないぞ」


殿下がユーリを部屋の扉まで無理やり押している。


「兄上分かった、分かったからっ!んーじゃあソフィまた会いに来るからね!」


そう言ってユーリは私に手をフリフリしながら行ってしまった。



さて、この空気どうしたものかしら。

沈黙が気まずいのですが...


すると殿下が口を開いた。


「ソフィ、もう単刀直入に言うから聞いてくれ。僕は君に昔のようにレイと呼んで欲しいんだ。なんだか君に殿下と呼ばれるのは遠く感じてしまう...」


そう少し寂しそうな顔をして仰った。

確かに昔はレイって呼んでたのよね。

今はなんだか恥ずかしさと恐れ多さを感じちゃって呼べてなかったのだけれど。


「分かりました。えっとレイ...様?」


「様はいらない」


私はその強い眼差しに圧倒されてしまう。


「っ...レイ...」


さっきまでの殿下の暗い表情が嘘かのように、パッと明るくなった。


うぅ、よく昔の私は普通に呼べてたわね。

なんだか恥ずかしくて顔が真っ赤になりそうだわ。


「ソフィありがとう...実はユーリの言葉図星だったんだ。ソフィがユーリにあまりにも親しくしていたから、嫉妬してしまっていた」


(嫉妬...?殿下が私に?)


なんだか信じられないわ。

殿下には悪いけれど嬉しいという気持ちが溢れてくる。好きでいてもらえているのを実感する。


「だから本当は敬語もいらないんだがな」


そうからかうように殿下は言っている。


「敬語はまだ無理です!」


なんだか昔の話し方も忘れてしまっているもの。


「まぁ僕たちはこれから長い付き合いになるからね。その過程でお互い遠慮をなくしていこう」


「はい、レイ」


なんだか今、スマートに名前を呼べた気がする。

ふふっ少し昔に戻ったみたいだわ。

そりゃ恥ずかしさはあるけれどレイって呼べることは嬉しい。


『長い付き合いになる』か。

昨日までの私は全く考えもしなかったことね。

今も夢みたい。これから素敵な思い出をレイと作れますように。




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