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【コラボカフェ開催】ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する【アニメ化しました!】  作者: 雨川 透子◆ルプなな&あくまなアニメ化
〜7章3節〜

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301 未来への提案

挿絵(By みてみん)

ルプななコラボカフェ開催中!

2026年2月4日〜3月1日まで、東京池袋にて開催!

そして大阪での3月開催も決定です!


詳細▶︎

https://emocafe.jp/collaboration/rupunana/

 思わぬ追求に、改めて背筋が伸びた。


「な……なんの、ことでしょう」

「お前がこの演練を提案したことには、何らかの目論見があるだろう」


 すべてを見透かすような青の瞳が、リーシェのことを真っ直ぐに見下ろす。


「一見すれば、何をしでかすか読めないようだが。――実際の所、他国の人間が関わることには慎重な判断を下すのが、お前の性分だからな」

「……っ」


 形だけの微笑みを浮かべたリーシェは、内心でぎくりとしてしまう。

 だが、これ以上の誤魔化しようもない。


(やっぱり悟られてしまっているわ。アルノルト殿下のお怪我を隠すことや、ヨエル先輩との約束を達成することだけが、この演練の目的ではない)


 リーシェはひとつの覚悟を決めて、口を開いた。


「……恐れ多くも、あなたの『妻』より進言を」


 リーシェはアルノルトを正面から見据え、ひとつ尋ねる。


「この場では、ガルクハインの勝利に終わりました。とはいえアルノルト殿下も、この演練で改めて感じられたのでは?」


 リーシェが背にした主城の頂に、旗が翻った。

 青空の中にはためくのは、ガルクハインの大きな国旗だ。


「ハリル・ラシャとシャルガ国の軍事力は、強大であると」

「…………」


 彼らの視線が、リーシェに注がれる。


(この演練は間違いなく、二ヶ国における血肉となったはず。……ガルクハインの、アルノルト殿下の騎士がどう戦うか、そうした情報を得たのだもの)


 だからこそ、危うい側面を持っているのだ。


(このひとつひとつが、ガルクハインにとっての命取りになるかもしれない。未来のことを思うのなら、軍事演習など行うべきでないのは明白だわ)


 リーシェは真っ直ぐにアルノルトを見据え、口を開く。


「おねだりしたいことがございます。アルノルト殿下」

「……言ってみろ」

「ガルクハインの未来を思えば、このような交流の仕方は、適切ではありません」


 その言葉に、ヨエルが小さく呟いたのが聞こえる。


「……つまり、今後はもう二度と、他国との演練なんかするなってこと……?」

「…………」


 ザハドは沈黙のまま、引き続きリーシェの出方を窺っているようだ。

 リーシェは、表情を変えないアルノルトに向けて、言葉を続ける。


「アルノルト殿下。私は……」


 ひとつ呼吸を継いだあと、はっきりと告げた。


「――もっともっと盛大に楽しく、皆さまと仲良くするべきだと思います!」

「………………」


 アルノルトが、とても分かりやすく眉根を寄せる。


「……おい、リーシェ」

「だって、勿体無いではありませんか!」


 リーシェはアルノルトの向こうをひょこっと覗き、ザハドとヨエルに微笑んだ。


「ハリル・ラシャ国もシャルガ国も、このガルクハインに無い力をお持ちです。華やかで柔軟性に富んだハリル・ラシャの、戦争以外の実戦に慣れた戦い方……シャルガ国の、統率よりもひとりひとりの戦術を重視した戦術や、ヨエルさまの鋭い剣術」


 戦闘演習のひとつを取っても、三ヶ国の違いは明らかだ。


(本当は、今回の演練で見たもの以外にも、たくさんの個性があることを知っているけれど)


 この人生のリーシェなら、今はまだ知らないふりをしなくてはならない。


「両国との協力関係を築くことは、大きな力になり得ます」


 これは、ひとつの賭けでもあった。


(ハリル・ラシャとシャルガ国は、これまでの人生において、いずれ『皇帝アルノルト・ハイン』と敵対する運命の国だもの。……いいえ、それどころか)


 両手をきゅうっと握り込み、内心の危惧を押し殺す。


(――アルノルト殿下はもう既に、この二ヶ国を敵に回して、戦争をすると決めていらっしゃるかもしれない)


 それすらも知らない顔をして、リーシェはいっそう微笑んだ。


「アルノルト殿下はご多忙ですから、今すぐにとは申し上げません。……たとえば、婚儀の間のおもてなしを、私にお預けいただくのはいかがですか?」

「…………」


 その提案に、アルノルトが両目を淡く眇める。


(私と出会う以前のアルノルト殿下が、ご自身では関わらなかった唯一の政策。それが、『戦争以外の手段による、他国との外交』だわ)


 婚約を申し込まれた夜ですら、アルノルトがリーシェの故国に居たのは、敵対し得る存在を追うためだった。

 ガルクハインの外交を担うのは、総じて皇帝アンスヴァルトの派閥だ。だが、斬り込むことは不可能ではない。


(今のアルノルト殿下であれば、他国と協力して得るものに、目を向けてくださるはず)


 事実、ここまで積み重ねて来た。

 コヨル国との同盟や、クルシェード教団との約束を。シグウェル国とも盟約を結び、それらが発展のきざしを見せている。


(これまでの人生から、少しでも未来を変えなくては。もちろん、強力な兵力を持った国と友好関係を築くことは、却って戦争を呼び寄せる危険もはらむけれど)


 友好関係を築く選択が、平和に繋がるとも限らない。この二ヶ国との同盟が、戦争の武器になる可能性もある。

 だが、リーシェは決めたのだ。


(私が、アルノルト殿下に提示し続ける。火薬や造船技術と同じように、戦争に使うこと以外の、明るい道があるのだと)


 だからこそ、リーシェはこの演練を提案した。

 ザハドに承諾してもらうべく、過去の人生の知識を使って。きっと喜ぶであろう遊戯めいた趣向と、彼が好む『宝石』を用いたのだ。


 アルノルトが負傷していることを誤魔化しつつ、ヨエルとの約束を果たす。それ以外の三つ目の目的が、この変化のきっかけを得ることだった。


(アルノルト殿下は、ひとつの事柄に複数の意味を持たせて成すお方だもの。それをお傍で見ている私も、同じ手段を取れるように成長していかなくては駄目)


 リーシェは自分自身に言い聞かせる。


(この人生でも、一歩も学びの歩みを止めない。……そうしなくては、アルノルト殿下に追い付けない……)

挿絵(By みてみん)


ルプななコラボカフェ開催中!

2026年2月4日〜3月1日日まで、東京池袋にて開催&大阪でも3月に開催です!


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