白と黒と交わる赤
初投稿をお知らせします。
「そ、そうだ!私の大切な人を!ナレガを助けてください!お願いします!」
私はアーサーの紹介を無視し、必死に頼み込む。
私を助けてくれたことは感謝してる。アーサー王も、その隣にいる明らかにこの世界に似合わない恰好をしている人も気になるけど、今は何よりもナレガを助けることを優先してほしい。
「ナレガ……?」
「私の、仲間なんです!狼みたいな……!あっちの方で騎士みたいな人に襲われて!」
アーサー王は私を落ち着かせ、迷彩服の人に指示を出す。
「佐官クラスが来ている可能性があるな……。向こうにはジャスたちを向かわせたが、念のためにお前も向かってくれ。この子は私が。」
「分かりました。」
何やら話し合った後、迷彩服の人は私の来た道を走り去っていった。速い。あっという間に見えなくなった。私はアーサー王と共に広場に向かう。
「ナレガ……お願い、無事でいて。」
* * *
「大佐、作戦は順調です。広場周辺の制圧はほぼ完了しました。」
血まみれの死体の中で、大佐と呼ばれた少女はつまらなさそうに髪をいじっていた。
「まだ聖騎士が出てきてないだろう。普通の兵相手じゃ面白くない。早く出てきてほしいものだ。」
少女はため息をつきながら、死体を眺める。
面白くない……。こんな奴らを殺しても何も得られない。
私が見たいのは人々が絶望に染まる姿。そのためには国の希望である聖騎士を殺す必要がある。
そうなればこの国の民は嘆き、悲しむだろう。それに王都の戦力を削っておくことは私の理想の世界を作り上げることにもつながる。
「大佐、今回の作戦は王国に私たちの存在を意識させること。民に戦争の恐怖を植え付け、我が国に恐れを抱かせることではないのか?」
中佐……。セレネ=ロイアッド。私はどうもこいつが気に入らない。私たち帝国はこの世界に何らかの恨みがあるもので構成されている。聞くところによればこいつは大貴族の娘として生まれ、大事にされながら生きてきたらしい。そんな人間がこの世界に恨みを持っているなんて……俄かには信じ難い。
わたしとこいつは生きてきた環境が違う。この世界に対する憎しみが違う。
「セレネ中佐。私は作戦内容なんてどうだっていいのだ。今回の作戦は後に我々帝国が侵略を進める際、必ずや立ちはだかるであろう大国…アレバルザン。その内部を混乱に陥れることであったな。」
「だがそんなことはどうでもいい、私はより多くの人が苦しむ姿を見ることができるのなら殺しも厭わない。」
私は満面の笑みで答える。中佐は静かに私を睨みつけていた。こいつは戦場に立つべき資格がない。殺すべき相手に情けをかける。帝国軍人としての資格がない。不愉快だ。
いつか隙を見て私の手で殺してやる。
大佐ちゃんは孤独に生きています。彼女にもいつか心の底から信頼しあえる仲間ができるといいね(他人事




