死神と少女
はつとうこうだにょ
「ひぃ…どこもかしこも帝国兵だらけですよ…」
私は呟いた。言葉に発することで恐怖を少しは和らげることができる。
物陰から物陰へ静かに移動する。アーサー王はとても素早く無駄なく動く。
私もあのぐらいの動きができればいいけど。腕も負傷しているししかたないね。
にしても帝国兵は広場に近づくほど多くなっていた。
完全に広場は包囲されている。
どうする?これはマジでやばい状態だ…
「どうしよう…」
私はどうすればいい?おもわずアーサー王を見つめた。
アーサー王は敵兵の方を見つめ静かに思案している。
「申し訳ない…この国の事情に貴女方を巻き込んでしまって…」
アーサー王は静かに言い、私に微笑んだ。
決意に燃える目。
それはなにか…悲痛なものを感じた。
彼の口から一か八かの作戦が語られた。
それはとても無謀なものだった。しかし、今は彼を信じるしかない。
私には…とても彼の決意を止めることはできない。
彼は剣を抜き、物陰を飛び出した。
その動きは一切の迷いがない。
自らが犠牲になろうとも彼は一切の迷いなく、敵に切りかかった。
アーサー王は強かった。
圧倒的だ。まったく無駄のない剣撃。
それは美しく、力強く、悲惨だった。
どんなに強くても個人の力には限界がある。
何十人も相手にすれば疲労がたまる。
アーサー王はその場にいる敵兵を掃討したが、帝国兵は次から次に現れる。
しかし、作戦はうまく進行していた。
この隙に私は子どもを連れて広場に戻る。そうすれば犠牲は無駄なものでなくなる。
「アリーさん…」
私はこのままでいいのか?
彼があんなに必死で戦っていたのに。
まだ動けないでいる。矢で射られた痛みから?恐怖から?
広場に戻ったらそれで平気なのか?
いや、完全包囲された広場に戻ったところでたかが知れてる。
それならここで突破口を開くしかない。
「うぉぉぉぉぉぉおおおお!!!」
私は叫んだ。
自分を奮い立たせるために。
そして、物陰から飛び出した。
片手でアサルトライフルを構え近くにいる兵士に掃射した。
すぐに反動で弾丸はあらぬ方向へ飛んでいく。
だが数発は敵兵に命中した。
新たな敵の急な登場は帝国兵を動揺させるのには十分だったようだ。
私は銃をその場に捨てる。ベルトからグレネードを取り出し、ピンを口に咥える。
思いっきりグレネードを引っ張る。歯が欠ける激痛とともにピンがグレネードから抜け口から零れ落ちる。私はグレネードを思いっきり遠くに投げつけた。
当たらなくてもこの爆発は大きく敵を動揺させることができるはずだ。
「君は!なぜだ!!」
「私も戦います!このままでは何も変われやしない!!」
私はそう宣言した。
それを笑って見守るものが一人。
黒の軍服…私は知っている。
あれは私の世界の服。
「素晴らしい!派手にやっていると思ったが聖騎士団長だったか!これはいい!それに…お前…」
彼女は私に向けて不気味な笑みを向けた。
背筋が凍るような笑み…深淵から見つめかえす異形の目。
「なんて…素晴らしい一日なんだろうなぁ、今日は。」
この異世界で…初めて本当の怪物を見たと思った。
初投稿でした。
いよいよ始まる大佐との戦い!?こうご期待!




