亡き者に送る鎮魂歌
やめる気のない初投稿です。
私は息を切らしながら、戦火に包まれた街の中を走る。後ろを振り返らずただひたすら走る。
涙が止まらない。これはきっと、自分へのふがいなさ、ナレガとの別れ、そして不条理なこの世界に対する悲しみ…。いろいろな感情が混ざり合って生まれたものだ。
私は立ち止まる。広場までの道のりが異様に長く感じる。来るときはこんなに走っただろうか。
呼吸が荒い。子供が心配そうな目でこちらを見ている。
「大丈夫…。あと少しだからね。」
私は自分に言い聞かせるようにつぶやく。
しかし、現実はそううまくはいかない。
「……っ!」
建物の影から出てきたのは何人もの帝国の兵士。皆私たちの方を見て何やら話し込んでいる。
どうせ撃つ勇気もないくせに、私は銃を構える。これを見て逃げてくれれば良いのだが…。
しかし、帝国兵たちは一斉に剣を抜き始める。弓矢を持つ者もいる。
やるしかない。ここで戦わなければ、私もこの子も命を落とす。
そんなことになったらナレガは何のために敵を食い止めたのかわからない。
私は帝国兵が弓を引くよりも早く銃弾をばらまく。ゲームとは違う、耳をつんざくような銃声。そして反動。威嚇射撃だけで撤退してくれ…。そう祈りながら私は弾を撃ち続ける。
その時、私の肩に矢が突き刺さる。一瞬、自分の身に何が起きたか分からなかった。
銃が地面に落ち、肩のあたりが生暖かくなる。状況を理解した瞬間、激痛が走る。
「…っ!痛い…痛いよぉ……!」
私は銃を拾い上げようとする。死にたくない。子供は怯えていて動けないようだった。
体が動かない。視界の隅に方に刺さった矢が映る。地面が赤く染まっていく。
「私が、私がこの子を守らなきゃ…。」
私が銃を拾い、視線を上げた時にはもう帝国兵は目の前にいた。
ごめんナレガ……。私、本当に何やってんだろ…。
それでも私は剣が振り下ろされる瞬間までずっと、帝国兵を睨み続けた。
死にたくない…こんなわけが分からない世界でも、私のことを大切に思ってくれている人がいるのなら…
* * *
「……。」
腕が痛い。それも耐えられないほどの激痛だ。
「……痛ぇ。」
俺は辺りを見回す。粉々になった小手と、使い物にならなくなった右手。
だが、俺は生きていた。瀕死の重傷を負いながらも、再び目を覚ましたのだ。
「なんで生きてんだよ…。」
戦場の真っただ中で誰にも襲われず生きていたのは奇跡に近い。
こんなボロボロの身だ。死体と間違われて放って置かれたのだろうか。
「……そうだ、柊!柊は無事か!?」
俺は広場に向かおうと体を動かす。だが体全体が重い。疲れからか、痛みからか体が言うことを聞かない。
「あの、あんまり動かないほうがいいですよ…?私の魔法は応急処置みたいなものですから…。」
不意に後ろから声がする。俺が驚いて振り返ると、そこには気の弱そうな、小柄な少女が立っていた。
失った者に救いを求めて。




