バトルフィールド:レディング
初投稿が捗る季節ですね。
「おい待て!コラ!」
勢いよく飛び出した私はナレガに掴まれものすごい力で引き戻される。私は勢いよく後ろに倒れる。
痛ったぁ・・・。ナレガを睨みつける。人助けをしようとしたのに止められた。納得いかない。
「お前…!一人でどうしようっていうんだよ!?銃があれば勝てると思っているのか!?」
ナレガは私の胸倉をつかみ、大声で私を怒鳴りつける。お前は私の何なんだよ!
こっちはいきなり訳の分からない世界に連れてこられて…。帰れないって言われて…。
もう嫌なんだよ!私の好きにしたっていいだろ!こんな世界望んできたわけじゃないんだ!
「放して…。」
私はナレガの手を振り払う。ナレガは怒っている訳じゃない。たぶん心配してるんだ。自分勝手な私を…。
「ナレガ…。どうしてそんなに私のことを心配するの…?あなたは私の…何なの…?」
私は自分が嫌になる。こんなにも私のことを思ってくれている人のことを、私は何も思い出せない。
ナレガは旅の仲間だって説明してくれたけど…。きっと道中色々なことがあったはずだ。
だけど何一つ思い出せない…。だから私は…もうナレガと一緒にいる資格なんて…。
「お前が人助けをしたいっていう気持ちは痛いほど分かる…。でも一人じゃ行かせられない。」
ナレガは私に待つように指示した後、兵士の下へ向かう。一人立ち尽くす私。
すぐにたくさんの人が寄ってくる。皆口をそろえて私に助けを求める。
「私の子供も助けて!」「恋人がまだ取り残されているんだ!頼む!」
考えてなかった…。一人の言うことを聞いたら皆私に頼みごとをするに決まっている。
それでも私は必死にメモを取る。いったい何人の人が被害にあっているのだろう…。
「おい、行くぞ。」
肩をたたかれる。振り返ると苦い顔をしたナレガ。
どうやら兵士から許可をもらったようだ。
私とナレガは大広場を出て、戦場へ向かう。
* * *
私とナレガは情報を頼りに、町の中を駆ける。
途中、黒服に身を包んだ不気味な集団に襲われかけたが、ナレガがすぐに黙らせた。
どうやらこいつらがこの国を襲っている連中らしい。
道中何発か発砲したが、その度に奴らは撤退した。結局、私が奴らに弾丸を命中させることはなかった。
銃の威力に怖気づいて逃げ出したのであろうか。それなら楽で良いのだが…。
何度か戦闘にはなったが、私たちは無事に東の街へたどり着くことができた。
「子供を回収したらすぐに大広場に戻るぞ。戦場は危険だ。」
ナレガの言葉に私は頷く。もとより戦場に長居する気はない。
私は辺りを見回し、逃げ遅れた人がいないか探す。
「……!」
いた!多分あの子だ!緑の髪の小さい子!服装も一致する。私は不安を煽らないように銃を隠す。
でも、隣にいるのは誰だろう…。見た感じ騎士みたいだけど…。私たちが来る前に保護されたのだろうか。
私たちが近寄ると子供と、もう一人。剣を携えた女性の騎士が振り返る。
「大丈夫?助けに来たよ!」
声をかけると、子供が駆け寄ってくる。私はそれを抱きとめ、頭を撫でる。
「怖かったね。ケガはない?」
子供が頷き、騎士を指さす。どうやら彼女に守ってもらっていたみたいだ。
「あの、ありがとうございました!」
私は頭を下げる。騎士はにこりと微笑む。
「気を付けろよ。戦場では皆等しく死ぬ可能性がある。大切な人がいるならばしっかりと守ってやれ。」
私もつられて微笑む。なんだか素敵な人だな。
私は子供を連れてナレガの元へ戻る。しかし、何やら様子がおかしい。
「……ナレガ?」
「柊、俺の後ろに隠れてろ。絶対に離れるな。こいつは…帝国の人間だ!」
「待って、どういうこと!?帝国って何…?」
「王都を襲ったやつらだよ!」
騎士の方を振り返る。明確な敵意。私でもわかる殺気。
静かに剣を抜くその姿は先ほどまでとはまるで別人だった。
「子供だけなら逃そうかと思ったが…。戦えるものがいるのなら始末する必要があるな。」
ナレガが戦闘態勢に入る。私も銃を取り出し、照準を合わせる。
「……驚いた。貴様は異世界人だったのか。ならば加減はしない。」
「私はセレネ=ロイアッド。帝国中佐としてここで貴様らを葬る!」
灰色の空の下。剣と弾丸が交差した。
もっと書きたかったけど文字数が大変なことになりそうなので抑えました。
中佐なのになぜ戦場に一人なのか!?その答えは次話で明らかになります。




