これが私の異世界デビュー!
ここからが本当の初投稿です。
「死んだぁ!これ死んだよ!死んだ死んだ!」
私は花の高校生!成績優秀、品行方正、友達もたくさんいるし日常生活には何一つ不自由なし!
そんな私の最近の趣味はゲーム。最近は家に帰るとずっとテレビの前から動かない。
「ひーちゃんはゲームばっかりやってんのに全然成績落ちんね。」
「本当本当、どうしたらそんな賢くなれんの?」
「運動神経もいいしねー。」
今日は家に集まって勉強会。まぁ、私は勉強しなくても点は取れるから教える側なんだけど。
皆が勉強してる間は一人でFPSをやっている。
「あ、ここ分からん。ひーちゃん教えて。」
さっそく来た。
「ちょいまって。もうすぐ終わるから。」
ゲームも終盤。大接戦の好ゲームだ。なんとしても勝ちたい!
神経を研ぎ澄ます。敵の姿が見えた。ここしかない!
私はドットサイトを覗き、標準を合わせ、引き金を引く。
パァン!
赤い空の下、響き渡る一発の銃声。目の前には荒れ果てた広野。
「は・・・?」
私は確かに愛実の家で勉強会をしていたはずだ。
ここは愛実の家・・・じゃない、どう考えても。
そもそも眼前の光景を見るに私たちのいる世界なのかも疑わしい。
「愛実~?香菜~?真月~?」
皆の名前を呼びながら、一人荒野をさまよう。もちろん返事はない。
「なんだよぉ・・・。どうなってんだよぉ・・・。」
異世界・・・というやつか?
見たことのない空の色。ここは本当にどこなんだ。
いつもは楽観的な私も、この時ばかりは焦っていた。
乾いた風が頬を撫でる。砂埃が舞う。
この世界では何があったのか、まるで全てが滅んでしまった後のような荒廃した風景。
もしかして私以外誰もいないんじゃ・・・。そう思えるほどに寂しい。
そもそもこの服装は何なんだ?迷彩服に、銃火器?手榴弾?
まるでゲームの中の装備。FPSの装備そのもの・・・。
私は太陽が浮かぶ方向にひたすら歩き続けた。そもそもあれが太陽なのかも怪しい。
私たちの元いた世界とは違う。温かみを全く感じない偽物のような太陽。
どれぐらい歩いただろうか。時間が経てば経つほど、この世界の歪さに不安になる。
太陽はいつまでたっても沈まず、どこまで行っても赤黒い空が続いている。
生き物の姿は見えず、木々は枯れ、地面はひび割れている。
「あ・・・。村か?村か?村だ!」
遠くの方で微かに灯りのようなものが見える。
さっきまでの疲れはどこへやら、私は全力で走り出す。
人か?いや、異世界ならオークとかエルフとか?いや、もっとやばい奴かも・・・。
でも今は藁にでもすがりたい気分だ。私のコミュ力なら大丈夫!何とかなる!
弱気だった私はもういない。よしよし、ここから私の華麗なる異世界デビューの幕開けだ。
こんな滅びかけの世界でも来ちゃったものは仕方ない。考えるべきは今!そしてこれからだ!
三章が始まりました。今度の主人公はなんでもできる系です。