幻想に捧げる鎮魂歌
インターネット回線が改善されるらしいので初投稿です。
「なんだと…」
俺は戦いを唖然と見ていた。
フリッツの剣技は美しい。
それでいて無駄がなく、隙がほとんどない。
「強いな!」
あぁ、強い。
だが…
「敵が悪すぎる。」
そう、山田さんの言うとおりだ。
敵があまりにも悪い…
「うおおおおおお!!」
魔女っ娘ミミが突っ込む…
フリッツは意図も簡単にそれをかわす。
「こしゃくなぁぁ!!」
そう…あまりにもミミが弱すぎる。
これではフリッツの強さが霞んでしまう。
それになんだか見ていて可哀そうだ…
「で、なんであいつがこの大会に出てるんだ?」
ほんとに疑問である。
その疑問に俺たちの前の席の男が答えた。
「なんでってそりゃあ…なんでだ?」
答えられなかった。
なにかがおかしい。
何がおかしい?
「おぉ!見ろ!権丈院!」
俺は飯山に無理やり頭をフリッツたちの方へ向けさせられた。
フリッツは剣に氷を纏いいままさに止めを刺そうとしていた。
ミミは地面に転がっている。
「氷魔法!フリッツは魔法もつかえたのね。」
「すげぇ!!」
フリッツの目にも留まらぬ一閃。
大気が一瞬で凍りつく。
が、倒れたのはフリッツだった。
何が起きたのか俺にもわからない。
「クククッ…アハハハハハハッッ!!」
ミミは笑いながら立ち上がった。
それは…とてもさっきまで話していたミミとは違う。
足元の魔方陣に照らされて不気味に輝くその姿はまるで悪魔か…
「な、何を…した?」
地面に倒れたフリッツはミミに息も絶え絶え尋ねる。
ミミはフリッツの声に気づき、不気味に笑った。
「ありがとう!ありがとう!君のおかげで魔力はチャージできた!
素晴らしい!さすがは円卓の聖騎士!一瞬の魔法ですらこの質と量!」
ミミは胸の谷間に隠していた試験管のふたを開けた。
フリッツが何とか立ち上がろうとする横で、ミミは試験管の中の液体を地面に垂らしていく。
それは俺たちからはよく見えた。
「魔方陣?」
フリッツから魔力を奪った魔方陣とは別のさらに巨大な魔法陣。
ミミが垂らした液体は大きな魔方陣を作っていく。
ものの数分で巨大な魔方陣は完成し輝きだす。
「さぁ!!最高のパレードを始めよう!!」
ミミはナイフを手に取った。
そしてそのナイフをフリッツに投げた。
観客席からは悲鳴や怒号が響く。
「なぜ、助けに行かない!?」
「結界だ。結界が張られている!」
よく見るとミミとフリッツを囲むように…いや巨大魔法陣を包むように紫色の壁がある。
よく見なければわからない程度、そしてあまりにも巨大なために気づけなかった。
「契約者の血を持って我汝を司る。」
その言葉を聞き、フリッツはその目を見開きミミをにらんだ。
ミミはすべて思惑通りといった表情を浮かべ、フリッツを見ていた。
「逃げろ!みんな逃げろ!!」
フリッツが叫ぶ。
その声はすぐに別の轟音にかき消された。
フリッツもミミもなにもかも煙に包まれ見えなくなる。
熱線が地面を赤熱させ吹き飛ばしたのだ!
地面には煙を吹きだす巨大な穴が開いていた。
ぽっかりと空いたその穴からそれは現れた。
「あ、あれは見たことがある!」
不気味な唸りをあげて駆動する。
鈍く輝く体。
腕の武骨な銃器が金属音を上げる。
頭部にあいた一つ穴には煌々と輝く赤い炎が宿っていた。
初投稿でした。
本編に名前の出てこないレガリアくん。