話し上手は聞き上手
話数が3桁に入るまでは初投稿です。
「気になりますよね?気になるでしょう?そこで使うのがこれ!古代トカゲの尻尾なんですよ!」
図書館を出て、演武大会に向かう俺の後ろを魔女がついてくる。
名前も告げず、ひたすらに魔法の魅力を説く彼女。この世界の魔女は皆よく喋る。
「あ、申し遅れました。私、ミミといいます!魔法学校2年の特待生!今は訳あって王国におります!」
「で、ですね!いまならなんとこの黄金鳥の尾羽で作った魔道具が格安で・・・。」
彼女はマシンガンのように途切れることなく言葉を発し続ける。俺が聞いているかなんてどうでもいいようだ。かろうじて名前と、魔法学校に所属していることは聞き取れた。
「ん?魔法学校?お前、魔法学校にいたのか?」
「そうなんです。よく分かりましたね!この魔道具は魔法学校において一番価値のある物だと・・・。」
もういいです。とりあえず彼女の話が終わるまで、俺の話は聞いてもらえないようだ。
「・・・ということなんです。あ、もう時間だ!そろそろ行かなきゃ!
あの、ぶつかってしまってすいませんでした!あと、話を聞いてくれてありがとうございました!」
最後まで俺の話を聞こうともしないまま、彼女は去っていった。
ミミ・・・だったっけ?嵐のような女の子だったな・・・。
「あ、権丈院君。来た来た。さ、見に行こうよ。」
「遅いぞ権丈院。時間はきちんと守れ。」
二人と一匹と合流し、俺は演武大会の会場に向かう。
道中、山田さんが詳細を教えてくれた。
演武大会とは。日頃の鍛錬の成果を示すため、実戦形式で試合を行う。
一人一試合。一試合は60分。勝負がつかない場合は引き分けとなる。
各部隊の部隊長、副隊長、円卓の騎士に準ずる者のみ出場を認められる。
観戦は自由。王国に所属する兵士はこれを見て己の糧とするとともに士気を高めるべし。
「・・・だってさ。」
「なるほど。参加資格があるんですね。誰でも出られるわけではないと。」
しかも聞いた感じ結構厳しそうだ。そんな大会に出場できるフリッツとジャスミン。
あいつら、実はかなりすごい奴らなんじゃないか・・・?
そして演舞大会が始まった。この国の戦い方は本当に多彩だ。
魔法を使うもの、剣を使うもの。中には魔物を召喚する者もいたり、分身するようなやつもいる。
「おい!飯山!あいつ二段ジャンプしたぞ!どうなっているんだ!?」
「権丈院!腕がめっちゃ伸びるやつがいるぞ!あ、火を噴いた!火を噴いたぞ!」
俺達は大盛り上がりであった。珍妙な技が出るたびに山田さんに解説を求めるも、山田さんも首を横に振る。俺たち三人は異世界の試合にくぎ付けだった。
「次の試合は・・・あ、フリッツだ!頑張れーフリッツ!」
「お前優男を応援するのかよ。俺はあっちの魔女っ子の方が好みだな。」
飯山が指さす方向を見る。どれ、フリッツの相手は・・・?
「え?」
その姿を見て唖然とする。なんで?なんでミミが大会に出ているんだ?
あいつそんなにすごい奴だったの?
フリッツやジャスミンはまだ納得できる。彼らは初めて会った時から騎士たちに慕われているのが分かっていたし、行く先々で皆に挨拶されるぐらい有名であったからだ。
でもあいつが?あのマシンガン娘が?
俺はあいつがそんなにすごい奴とは思えなかった。
まぁ、あったばかりだし。俺が知らないだけで奴は円卓の騎士?並に強いのかもしれない。
とりあえずはお手並み拝見と行こうか。
権丈院君はコミュ障ではない。屈強な男とも初対面の年下とも臆せず話すことができるからだ。




