2/2
回転職
その針は曲がっていた、
いやネジ曲がっていた。
その曲がった針は、仕事に飽き飽きしていた。
毎日同じ時間、同じ距離だけ回り続ける。
果たして、自分に意味はあるのだろうかと考えていた。
毎日働いている。それでも誰かに感謝された記憶は、一度もなかった。
時を刻むより、自分という存在を刻みたかったのかもしれない。
針は転職を決めた。
面接では、何時を指せるかを聞かれた。
針は、そのすべての時間を履歴書に刻んでいた。
その後自己PRを求められたので、
「デジタルに関心があります」
ただそれだけを答えた。
それを聞いて唸った採用担当は曲がった針よりずっと細かった。
針は面接に受かり、転職に成功した。
どうやら採用担当は、針の曲がり方を個性として評価したようだった。
新しい職場で曲がった針は正確さではなく、ただ速さを求められていた。
ただ早く、誰よりも早く……。
目に止まらない速さで回転する曲がった針は、ある日、自身が光を帯びていることに気がついた。
はじめは喜んだ。
しかし、針は光を帯びるほど、時間から遠ざかっていた。
それでよかった。
時計の針だったときよりも確実に人に見られていた。
なんだ。
曲がったままでよかったのか。
その答えを知る者は、もう誰もいなかった。




