↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
見なくても、次はあなたです――捨てた動画が紙になって届くまで  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
470/540

残す責任・2

怪異の記録を捨てた町でも連鎖は止まらなかった。第470話の朝、廃校の保管庫へ新しい連絡が入り、榊原凛は推測欄を空白のまま開いた。正体、目的、選定理由、停止法は依然として不明。分からないことを答えの形に整えないという約束だけが、記録班に残っていた。

 公的保存を求める側は、過去の映像を集めれば次の死を予測できるかもしれないと訴えた。破棄を求める遺族は、家族の最期を検証材料として残し続けることに耐えられないと言った。どちらにも、連鎖を止められる証拠はなかった。

 今回の電池を抜いた録音機には古い圧縮形式があり、真正記録と判定された。だが映像に写った場所は既に取り壊され、末尾の人物も特定できない。公開すれば誤認者を生み、破棄しても別の媒体へ現れる可能性がある。記録班は決定を急がなかった。

 澪は、所有権を班へ移さず、遺族がいつでも保存停止を選べる限定保管を提案した。閲覧には遺族側、警察側、記録班側の三つの鍵を要し、予測目的でも無断公開はしない。完全な正解ではない。ただ、救えなかった焦りを理由に死者を奪わないための境界だった。

「残すことも、消すことも、こちらだけでは決めない」

 雨宮千景は同意欄を作り直した。その夜にも死者は出た。制度は怪異への武器ではなく、生き残った人が二度傷つけられないためのものとして始まった。

 夜明け前、別の地域から着信が入った。新しい映像の末尾には、誰も知らない部屋が映っている。警告とも誘導とも断定できず、次の対象も選べない。

「映像ではなく、受け取った人のところへ行こう」

 榊原凛は第470話の記録を閉じた。待機者が車を出した。連鎖は続いている。それでも電話の向こうで、一人ではないと伝える声も続いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。