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見なくても、次はあなたです――捨てた動画が紙になって届くまで  作者: 竜太郎


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383/540

同時刻の受領印・4

十二月の冷たい雨が、臨時記録室の窓を曇らせていた。第383話で確認するのは、怪異の規則ではなく、人間が規則だと思い込んだものの脆さだった。正体、目的、選定理由、停止法は不明のまま。分からない欄を推測で埋めない方針だけが残っていた。

 午前二時十七分、離れた三つの町から同じ映像が届いたという連絡が入った。保管者同士に面識はなく、通信履歴にも移動の交差にも共通点はない。三つの封を切っていない写真袋には同じ犠牲者の最期と、存在しない撮影時刻が残っていた。偶然の複製とするには、未公開部分まで一致しすぎていた。

 雨宮千景は受取人の人数から次の対象を絞る案に反対した。一通でも選定理由は不明だった。三通になったから意味が増えたと考える根拠はない。記録班は各保管者の同意を取り、映像を見せず、生活圏にいる希望者だけへ注意を伝えた。

 予測された時間より前に、三つの町のどこにも関係しない人物が死亡した。その家の空の写真立てには、三人が保管したものと同じ映像が現れていた。受取人が複数なら対象もその近くにいる。その仮説は、一度も役に立たないまま崩れた。

 藤代修司は三通を別事件に数えず、一人の死へ続いた三つの到着として台帳へ記した。増えたのは手がかりではない。経路らしく見えたものが、また一つ経路ではなかったという記録だけだった。

 夜明け前、封じた封を切っていない写真袋の余白に、知らない部屋の一角が浮かんだ。次の対象を示す保証はない。警告とも誘導とも断定できない。

「届いた事実だけ残そう」

 雨宮千景は第383話の記録を閉じた。廊下では新しい電話が鳴っていた。連鎖は止まらず、誰かがまた前の犠牲者の最期を受け取っていた。

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