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割と浅めの歴史

「ちわーっす」



 俺は世界ちゃんの部屋の前に来ていた。



「何?」



 邪険にされたけど……。



「飯の差し入れです」


「ふむ、御苦労」



 御苦労じゃねぇよ……。

 善意を当然だと思われているらしい。



「沁ちゃんは起きた?」


「いや、まだ寝てる」


「そっか。でもグッスリ眠れたみたいで良かったよ」


「夜に寝てもらった方が助かったけどな」



 その方が都合が良いのは理解できる。

 まぁ言っても仕方ない。



「それはいいっこなしだよ、おっかさん」



 適当に茶化しておく事にした。



「お? 退魔ブレードの出番か?」



 手元でキラッと光る短めのブレード。

 包丁じゃねぇか!?


 newウェポンの登場に戦慄する。



「嘘嘘!? 帰りまーす!?」



 俺は逃げるように自分の部屋に戻った。











「さって、晩御飯の準備するかー」



 冷蔵庫を確認しようとすると、声を掛けられた。



「なぁなぁ御兄さん御兄さん」


「はいはい、どうしたー?」



 居間の不死ちゃんがゲーム機を抱えている。



「これなー、動くん?」


「おぉ、懐かしい。動くよ確か」



 古いゲーム機だった。



「前に片づけした時に気になっとったんよ」


「あれゲームに興味あるの?」



 そんなイメージは無かったけど。



「あるでー! 全盛期やー!」



 力説する不死ちゃん、思ったより好きなようだ。



「最近のゲームは操作が難しいから、昔のゲームばっかりやの」


「其処は携帯ゲームとかじゃないのか」



 あれは簡単そうに思えるけど。



「あれも難しいデー。毎週ルールの変わるスポーツをしてるようなもんやー」



 そういう風にも言えるのか……?

 確かに毎週のアップデートでゲーム内容が微調整されたりするが。



「その点、昔のゲームはルールが固定されてるから、一回覚えたことがずっと使えるん」


「裏技とか多かったもんな」


「せやね、大技林買ってたもん!」


「うわ、懐かし。俺も買ってたよ」



 大技林は裏技がいっぱい載った辞書だ。

 この本で買ってないソフトに夢を馳せた少年達も多い。



「そや、バトル〇ティあるー?」


「渋いチョイス来たー!?」


「戦車を鍛えてドンパチやー!」


「確かにあれは面白い。そして、ある!」



 あった!!



「飯の前にちょっくらやっちゃいますか!」


「さんせーい!!」



 俺達は、紅白のような見た目の懐かしいゲーム機を起動した。

 懐かしいタイトル画面に涙が出そうになった。

 中年は涙もろいのである。



「どうぞどうぞ」


「ありがとな! ウチ頑張るんよ!」



 不死ちゃんがコントローラを握ると、自分達だけの物語が始まる。

 それがゲームの醍醐味だった。


 そして気が付けば……。



「ぐぉおー、あとちょっとだったのに!?」


「次はウチの番やー。よぉ見とくんやでー! あっ」


「速攻死んでるじゃん!?」


「も、もっかい。御願いやー」


「どうぞどうぞ」


「見とくんやで!!」



 夜が更けて。



「ふぁあ、ちょっと眠たくなって来たなぁ」



 携帯の時計で時刻を確認した。



「あはは、もう十時か。……晩飯は!?」


「忘れてた!?」


「何か何か……、適当に買った総菜とー、納豆でも」


「納豆は美味しいなー」


「最高だよね!」



 慌てて食事の準備を終えて、晩食をいただくことに。

 納豆を御飯にかけるの最高だなー。



「しかし、昔のゲームって難しいね」



 操作は簡単なはずなのに、何故かうまく行かない。

 その歯がゆさで何度も繰り返してしまう。



「せやねー。難易度を上げて少しでも長く遊ばせたかったって言うよねー」


「今とは価値観が違ったのかもな」


「スマホゲーは長く遊ばせる為に、周回を増やすらしいデー」


「目的は同じなのに印象が全然違う!?」



 周回要素は手心を一つ……。


1983年にファミ〇ンが発売されたそうです。

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