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少年と学園生活初日の朝②

お久しぶりです

「よよよ、ようこそっ!いいい、いらっしゃいませっ!ほほほ、本日の朝食を担当させていただいた、ラララ、ランと言いますっ!」


後ろ手に食堂の扉を閉じた瞬間、大きな声が響いた。

それは、先ほどカランさんが言っていた新人メイドである「ラン」のあいさつだったようで…

目の前には、体を九十度以上曲げた姿勢でぷるぷるふるえている、少女の姿があった。


「そんなに緊張しすぎないでくれないか?いくら正式に顔をあわせるのが初めてだとしても…僕としては、専属メイドになった以上、君も家族のように扱いたいのだから…」


僕は、目の前の少女に語り掛ける。


「そそそ、そんなっ!滅相もありませんっ!わわわ、わたしごときが家族だなどとっ!」


しかし少女…ランは恐縮してしまっている。


「そんなこと無いよ。すでに僕はそのつもりだし…他の専属メイドのみんなは、家族みたいに接してくれてるでしょ?」


「そ、それは………そのようにしていましたが………」


「ね?…だから、これからは君も僕になれて、早くカランさんみたいになってくれよ?仕事もプライベートも。期待してるからっ」


「あああ、ありがとうございますっ!」


「うんっ!…さて、それじゃあさっそく、席に案内してもらえるかな?」


「かしこまりました、ランネット様。こここ、こちらになりますっ」


話という説得?が終わったので、さっそく席に案内してもらう。


「こちらの席になりますっ。た、ただいま朝食をお持ちいたしますっ!お座りになってお待ちくださいっ!」


ランは、椅子をひいて僕を座らせた後、ぺこりとお辞儀をしてクッキングルームに入っていく。


「ありがとう」


僕は、その後ろ姿に向けて感謝を投げる。


「ふ、ふにゃっ」


すると、こちらに振り返ろうとしたランが、すてんところんだ所が見えた。


・・・

・・


「お待たせいたしました…こちらが本日の朝食になります…」


しばらくすると、クッキングルームからランがプレートにのった朝食を運んできた。


「ありがとう。いただくね?」


「ど、どうぞ、お召し上がりくださいっ」


「いたたきます…」


僕は、両手を合わせていただきますをしてから、クルミパンを手にとる。


「うんっ!おいしく焼けてるね。…ランは料理が上手なんだね?」


「ははは、はいっ!専属メイドですのでっ!」


「そっか…確かにそうだね」


「ははは、はいっ。専属メイドの試験の一つ…ですから。………そのぉ、スープの方はどうでしょうか?あっ、すみません…」


「謝らなくていいよ。そうだね、いただいてみるよ…」


僕は、スプーンでスープをすくって口にする。


「うんっ!おいしいよ。もしかしたら、カランさんよりうまいんじゃない?」


「そそそ、そんなっ!…確かに料理に自信はありますが、それは恐れ多いのですっ!」


「はははっ、そうそう。今の感じだよっ」


「???…そのぉ、何のことでしょうか?」


「話し方だよ。今、最後が「のです」になってたよ?…素はその喋り方なんでしょ?」


「あっ!………そう…なの…です」


「そうそう。その感じ。…さっきも言ったけど、専属メイドは僕の家族みたいなものなんだ。喋り方を変える必要なんて、どこにもないよっ」


「あっ!………その、わかり…ました…なのです…」


「あらためまして…これからよろしくね?ラン?」


僕は右手を差し出す。


「よろしく…お願いしますなのですっ!ランネット様っ」


ランはその手を両手で握り返してくれた。

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