74.夏の陽の下で今しかない青春を①
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大型レジャー施設。ただのプールだけでなく、ウォータースライダーや流れるプールなど遊ぶ事を前提とした、僕が住んでいたような田舎では本当にあるのかも信じていなかった夢のような施設が目の前にある。
「おぉ………」
「お前が田舎育ちなのを忘れそうになるけどよ、流石にこれは田舎には無いからな。どうだ、すげえだろ」
「別にてっちゃんの物じゃないでしょ。じゃ、あたしたちこっちだから後でねー」
「俺たちも行こうぜ。都心に住んでても滅多に来ねえから楽しみだったんだよな」
写真では見ていたし、なんなら紹介動画もチェックした。でも実際に来ると思ってた数倍大きい。下手をすればおじいちゃんの家の裏山くらいあるかも……流石にそれはないか。
しかも夏休み中だからか、僕らのような学生や家族連れが入り口で行列を作っていた。幸いにして僕らは早めに着いていたから巻き込まれずに済んだけど、後ろを振り向くと大行列が出来ていてギョッとした。
それだけ早く来たのにもかかわらず、僕らが来た時には既に更衣室にかなりの人がいた。こんなにも人気がある施設…田舎にはなかったなぁ。
僕もさっさと着替えよう。女性陣を待たせるわけにはいかないからね。
「真琴…お前また体締まってないか?」
「え、どうだろう…。最近少しだけトレーニング方法と量変えたからかな。目に見えるくらい効果が出てるなら続けようかな」
「それ後で教えてくれ。俺もムキムキになりたい」
「これだけじゃムキムキにはなれないよ…?」
そうなのか!?と驚く哲也はさておき、月奈が選んでくれた水着に着替えて外へ出る。
やっぱり実際に見ると、スケールの大きさに開いた口が塞がらない。アトラクションも想像以上に大きいし、プールだって何百人も入れる規模だ。これはプールというより水を使った遊園地と言った方が正しいかもしれない。
哲也と一緒に女性陣を待つ…けど一向に出てこない。中で何かあったのかと心配になったけど、まさか入っていく訳にもいかないので待っているしかない。
「遅いね…」
「どーせ月奈が恥ずかしがってんだろ。大人しく待ってようぜ」
哲也って意外と理性的なんだよね。こういうところだけは見習いた―――。
「ねえねえ、お兄さん達二人だけ?」
「え?いや」
「私たちと遊ぼうよ!ちょうど2対2だし!」
「あん?誰だあんたら」
これが噂に聞く逆ナン…!気分は格ゲーで逆択を通された時によく似てる…。つまり碌でもないってことだね。
でも困ったなぁ。月奈たちがいないから強く断るのも嘘だと思われそうだし…。
「俺たちツレ待ってるんで。別んとこ行こうぜ」
「まあまあ、そう言わずにさっ!待ってる間だけでも!ね!」
そりゃ強引だよね…。こういう人たちは男に飢えてるって何かの本で読んだ記憶がある。あの哲也でさえ押されてるのに、僕じゃ何も出来ないだろうし…。
「いやだから…」
「お姉さんたち、そこどいてくれる?」
「あ?私たちが先に…」
「分かんない?そこの彼らが待ってるの、あたしたち。それとも大声で叫んであげよっか?ここに男漁りに来てるクソビッチ共がいますーって」
「あんたら…!」
あー、タイミングが悪いなぁ…。というか月奈さん、とても怒ってらっしゃる?なんで?
「月奈、女の子がそんな汚い言葉使っちゃダメじゃないか。もっと穏便でお淑やかに…ね?」
「まあ、真琴くんがそういうなら…」
「ということなので、お引き取りいただけると助かります」
「「ご、ごめんなさーい!」」
そんなプチハプニングもありつつ、月奈たちと合流することが出来た。
そして僕が密かに楽しみにしていた月奈の水着姿は、ハプニングも忘れて思わず見惚れてしまうほど似合っていた。
トップスは白のオフショルダーで、元々線が細く綺麗な月奈にぴったりな印象。ボトムスはそれとセットのホットパンツにパレオ。小柄な月奈を一番活かすならこれ一択、と言い切れるほどはまっている。
対して美波は鮮やかなオレンジ色のビキニ。とにかく目立つ。僕にこれ以上言えることはない。
「えと…真琴くん。どう、かな…?」
「よく似合ってるよ。月奈は肌が白いからもっと清楚って感じがしてすごく良いと思う」
「ありがと。えへへ…真琴くんって褒め上手だよね」
「おうお二人さん。イチャつくのは構わねえがそろそろ水に入らねえか?俺はもう我慢できねえぞ」
「「イチャついてない!!」」
「イチャついてんじゃん。あーやだやだ。美波、さっさと行こーぜー」
その前に準備運動、と軽く体を伸ばす哲也。今のも気を遣って二人きりにしようとしてくれたんだな。そんな親友の優しさに感謝しながら、初めてのレジャー施設を存分に楽しもうと心に誓った。




