激しいぶつかり合い
斉藤の一言で、二人の戦いは始まった。
豹魔は意外にも倒れない。どうやら威勢だけの男ではないようだ。
「……おしゃべりな野郎だ」
斉藤が静かにそう言った瞬間、豹魔は大きく踏み込み、斉藤の胴を狙って体当たりを仕掛けた。
斉藤は正面から受け止めることなく、身体を斜めに開いた。
豹魔の巨体が斉藤の脇を通り過ぎる。
その背後へ回り込んだ斉藤は、刀の柄で豹魔の背を強く打った。
「ぐっ……!」
豹魔の身体がわずかに傾く。
斉藤は間髪入れず、足元へ踏み込んだ。刀の峰が豹魔の膝裏を打つ。
「おおっと!」
豹魔は片膝をつきかけたものの、地面に手をついて踏みとどまった。
そして、獰猛な笑みを浮かべて振り返る。
「いいねぇ……!そうこなくちゃ面白くねぇ!」
「…………」
豹魔は地面を蹴り、斉藤へ向かって突進した。
大きな肩を前に出し、斉藤の身体ごと押し潰すような勢いだった。
斉藤は刀を構え、正面から迎え撃つ。
だが、豹魔は刀の切っ先を恐れなかった。
肩口に浅い傷を負いながらも、そのままこちらへと突っ込んでくる。
「……っ!」
斉藤は咄嗟に身体を捻った。
豹魔の肩が斉藤の脇をかすめ、二人の身体が激しく交差する。
斉藤の足が地面を滑った。
豹魔は勢いを殺さぬまま振り返り、再び太刀を振り上げる。
「捕まえたぜェ!」
豹魔の刀が斉藤の肩をかすめた。
豹魔の身体が前方へ流れる。
「…………」
斉藤はその隙を逃さず、豹魔の脇をすり抜けるように踏み込む。
刀の柄が、豹魔の顎を打ち上げる。
「がっ……!」
豹魔の頭が大きく仰け反った。
それでもまだ倒れなかった。普通の人間ならここで膝をついているところだ。
豹魔は口元を拭い、血の混じった唾を地面へべっと吐き捨てた。
「……てめぇ……!」
赤茶色の瞳がぎらりと光る。
「やっぱり、ただの剣士じゃねぇな……!」
豹魔は首を鳴らし、両腕を広げた。
斉藤さんのバトルシーンという事で、いつもより張り切っております。そして斉藤さんはほぼ無言というね。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




