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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第四十二章・斉藤と豹魔

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茶屋の奥では……

斉藤と豹魔がお互いの出方を伺っている間、椿は店主の許可を得ておときを店の奥に連れて行っていた。

「黒崎豹魔!!来い!」


 二人の間に、再び緊張が走った。


 * * *


 その頃、茶屋の奥では、椿がおときを座敷に寝かせていた。


「おときさん、聞こえる? もう大丈夫だからね」


 椿が頬にかかった髪をそっと払う。

 

 おときは薄く目を開けた。


 その手は、まだ鈴蘭のかんざしを守るように握りしめている。


「……はじめさんは……?」


「大丈夫。斉藤はあの男を引き受けているよ。今は何も心配しなくていい」


「……でも……」


 おときの目から、また涙がこぼれた。


「……はじめさんが……私のために怪我をしたらどうしよう……」


 椿はおときの手を包み込んだ。


(そうか、おときさんはまだ斉藤さんの本気の殺気を感じた事がないんだ。きっと斉藤さんはおときさんを怖がらせないようにわざと……)


「大丈夫。おときさんが思っているより斉藤さんは強いよ。それに、斉藤さんはおときさんを守るために戦っているんだ。だから今は斉藤さんを信じて」


 おときは唇を震わせながら、小さく頷いた。


「……はい……」


 椿はおときの手に握られている鈴蘭のかんざしを見つめた。

 少し歪んでしまった飾りを、おときは決して手放そうとしなかった。


「……大切なものなんですね。そのかんざし」


「……はい……」


 おときは、かんざしを胸元に抱き寄せる。


「……はじめさんが……私にくださった……大切なものです……」


 椿は何も言わず、おときの手をそっと握り続けた。

 その外では、斉藤と豹魔の戦いが続いていた。


 静かな青い炎と、荒れ狂う業火。


 二つの炎が、今まさに激しくぶつかり合おうとしていた。

次こそバトルシーンです。苦手だけど頑張ります。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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