茶屋の奥では……
斉藤と豹魔がお互いの出方を伺っている間、椿は店主の許可を得ておときを店の奥に連れて行っていた。
「黒崎豹魔!!来い!」
二人の間に、再び緊張が走った。
* * *
その頃、茶屋の奥では、椿がおときを座敷に寝かせていた。
「おときさん、聞こえる? もう大丈夫だからね」
椿が頬にかかった髪をそっと払う。
おときは薄く目を開けた。
その手は、まだ鈴蘭のかんざしを守るように握りしめている。
「……はじめさんは……?」
「大丈夫。斉藤はあの男を引き受けているよ。今は何も心配しなくていい」
「……でも……」
おときの目から、また涙がこぼれた。
「……はじめさんが……私のために怪我をしたらどうしよう……」
椿はおときの手を包み込んだ。
(そうか、おときさんはまだ斉藤さんの本気の殺気を感じた事がないんだ。きっと斉藤さんはおときさんを怖がらせないようにわざと……)
「大丈夫。おときさんが思っているより斉藤さんは強いよ。それに、斉藤さんはおときさんを守るために戦っているんだ。だから今は斉藤さんを信じて」
おときは唇を震わせながら、小さく頷いた。
「……はい……」
椿はおときの手に握られている鈴蘭のかんざしを見つめた。
少し歪んでしまった飾りを、おときは決して手放そうとしなかった。
「……大切なものなんですね。そのかんざし」
「……はい……」
おときは、かんざしを胸元に抱き寄せる。
「……はじめさんが……私にくださった……大切なものです……」
椿は何も言わず、おときの手をそっと握り続けた。
その外では、斉藤と豹魔の戦いが続いていた。
静かな青い炎と、荒れ狂う業火。
二つの炎が、今まさに激しくぶつかり合おうとしていた。
次こそバトルシーンです。苦手だけど頑張ります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




